限りある時間の使い方

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限りある時間の使い方
Four Thousand Weeks

オリバー・バークマン(著), 高橋璃子(翻訳)
かんき出版 (2022/6/22)

オリバー・バークマン Oliver Burkeman 
イギリスの全国紙ガーディアンの記者として、外国人記者クラブ(FPA)の若 
手ジャーナリスト賞などを受賞した気鋭のライター。著書『解毒剤 ポジティブ思考 
を妄信するあなたの「脳」へ』が世界各国で話題を呼んだ。ガーディアン紙で心理学 
に関する人気コラムを毎週執筆中。ニューヨーク・タイムズやウォール・ストリー 
ト・ジャーナルといったアメリカの有名紙、雑誌サイコロジーズやニュー・フィロソ 
ファーにも記事を寄せている。ニューヨーク在住。 

高橋 璃子 たかはし・りこ
翻訳家。京都大学卒業、ラインワール応用科学大学修士課程修了。訳書に 
『エッセンシャル思考』『エフォートレス思考』『スタンフォード大学で一番人気の経済学 
入門』(小社刊)、『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』(河出書房新社)、 
『ブロックチェーン・レボリューション』(ダイヤモンド社)などがある。 

今までにないタイムマネジメントの本で、
人生の本質をとらえていると思いました。

注意力が散漫で、
忙しさ依存に陥っている多くの現代人に
とてもおすすめです。

大きな石からビンに入れる前に

■「ビッグロック(大きな石)の法則」

「ビッグロック(大きな石)の法則」をご存知だろうか。

最初に言いだしたのは
『7つの習慣』で有名なスティーブン・コヴィーだ。

こんな話だ。

教師が教室に入ってくる。

大きな石をいくつかと、小石をひと握りと、
砂の詰まった袋と、大きめの瓶を持っている。

さて、教師は生徒たちに言う。

「ここにある大きな石と小石と砂を、
ぜんぶ瓶に入れてみましょう」

生徒たちは、
どうやらあまり頭が切れるほうではないらしく、
小石や砂からどんどん入れていく。

すると大きな石が入らなくなる。

教師はそれを満足そうに眺めてから、
したり顔でお手本を見せる。

まず大きな石を入れ、次に小石を入れて、
最後に砂を入れなさい。

そうすれば大きな石の隙間に
小さな石がきれいに収まりますよ、と。

要するに、もっとも重要なことから手をつければ、
重要でないことも含めて全部終わらせられる
という意味だ。

逆の順番でやろうとすると、
重要なことをやる時間がなくなってしまう。

ここで話は終わる。

ただし、これはイカサマだ。

そもそも教師は、瓶に入るだけの量の石しか
持ち込んでいない。

大きな石は何個入る、
と前もって確認していたわけだ。

でも時間管理の本当の問題は、
大きな石があまりに多すぎることにある。

そもそも実生活では、大事なことのほとんどは
瓶に入らない。

だから本当の問題は、
大事なこととそうでないことを区別することではない。

大きな石(大事なこと)がたくさんありすぎるときに、
いったいどうするのかということだ。

■タスクを上手に減らす3つの原則

●第1の原則 まず自分の取り分をとっておく

●第2の原則 「進行中」の仕事を制限する

●第3の原則 優先度「中」を捨てる

■無限の可能性の未来を手放す

フランスの哲学者アンリ・ベルクソンは
『時間と自由』という本を書いた。

ベルクソンによると、僕たちはつねに、
何かひとつに決めるよりも優柔不断でいることを好む。

なぜなら「われわれが思いのままにする未来が、
ひとしくほほえましく、ひとしく実現可能な、
さまざまの形のもとに、
同時にわれわれに対して現れるからである」。

「無限の可能性でふくれ上がった未来の観念は、
未来そのものよりもいっそう豊かであり、
そしてこれこそ、所有よりも希望に、
現実よりも夢に、よりいっそうの魅力が
見いだされる理由である」

皮肉なことに、人は後戻りできない状況に置かれたほうが、
選択肢があるときよりも幸せになれると
いうデータがある。

手持ちのカードを多く残しておくよりも、
「これしかない」という状況のほうが
満足度が高まるのだ。

結婚にしても、仕事を辞めるにしても、
子どもを持つにしても、家を買うにしても同じだ。

限りある時間の使い方

原題は、「4000週間」。

人の一生が約4000週間しかないということから
このタイトルがつけられています。

よくあるタイムマネジメントの話は、
限られた時間をいかに効率的に使うかという視点ですが、
この本はそうでなく、
人生の限られた時間をどう過ごすかという視点で
書かれています。

私にとって、出産してから40代前半まで、
やるべきことが多くて、
つねに時間いっぱい、体力が続く限り、
行動して、寝る前は疲れ果てているというのが
日常でした。

それはそれで、充実感があって、
よいのかもしれませんが、
結局のところ、体がついていきません。

そこで、その延長線上にある人生の選択肢を
手放しました。

これは、いくつかの人生の選択肢で
大きなものの一つだと考えています。

会社で出世するという選択をやめたのです。

その後、さらに会社で働くという選択も
やめました。

こうやって、一つ一つ、
大きな石を捨ててきました。

これは、私だけに限らず、
誰でも同じような選択をしていると思います。

選択の積み重ねが、現在の自分を作っているともいえます。

私も一時期、以下に生産的に
マルチタスクを行うかということに
挑戦したことがあります。

しかし、コンピューターの仕組みを学べば、
マルチタスクでやっているように見える
コンピュータも実は、時分割で、
タスクを切り替えているにすぎません。

脳も同じことです。

実はマルチタスクは、非効率であり、
最大限に活かすのであれば、
シングルタスクでフロー状態にすることのほうが
ずっと効率的です。

だから、現在は、マルチタスクをしないように
気をつけています。

作業を細かく分けて、
常に目の前のことに集中するほうが、
ずっと良い結果を出すことができます。

実は、料理を作るときに、
これが最も必要とされます。

そして、「まず自分の取り分をとっておく」というのは
人生の極意かと思います。

私が毎日メルマガを書き続けることができる理由は、
これに尽きるからです。

とにかく、1日の最初に行う。

そのためには、「朝早く、他の予定をいれない。」
というのも心がけていることのひとつです。

とはいえ、メルマガ発行当初の、
朝7:40に配信というルールを
復活させる予定はありません。

今目指しているのは、
自分のやりたいようにやって、
自分のやりたくないことはやらないで、
どこまで罪悪感なく、満足度高く、
生活を送れるかということです。

タスクをたくさんこなすことに満足を見出すのではなく、
タスクをこなせなかったとしても
罪悪感をもたないということを
目指しています。

これは、実は簡単なことではありません。

しかし、人生を幸せに豊かに過ごすために
大切なことだと考えています。

あなたは、どうやって、タスクを減らしていますか。

20220709 限りある時間の使い方_大きな石からビンに入れる前に(1)vol.3464【最幸の人生の贈り方】

「何が起ころうと気にしない」生き方

■難しいタスクをやり遂げるには

難しいタスクを落ち着いてやり遂げるには、
完璧に没頭できる状態を夢見るよりも、
嫌な気持ちをそのまま認めたほうがいい。

苦痛や退屈を否定せず、
今起こっていることをそのまま見つめたほうがいい。

禅の教えによると、人の苦しみはすべて、
現実を認めたくないという気持ちから
生じるのだという。

「こんなはずではなかった」
「どうして思い通りにいかないんだ」
という気持ちこそが、苦しみの根源なのだ。

■1日の困難は1日分でいい

過去は変えられず、未来はどうなるかわからない。

「未来を制御しようとするのは、
大工の棟梁の座を奪おうとするようなものだ」
と老子の『道徳経』は戒める。

イエス・キリストも、山上の説教で
同じようなことを言っている。

「明日のことを心配してはなりません。
明日のことは明日が心配してくれます」
とキリストは言う。
「1日の困難は1日分あれば充分です」。

■「何が起ころうと気にしない」

現代の精神的指導者ジッドゥ・クリシュナムルティが
1970年代にカリフォルニアでおこなった講演で、
講演の半ば、クリシュナムルティは突然立ち止まり、
前かがみになって、
『私の秘密を知りたいですか?』
と聴衆にささやきかけた。

聴衆は一体となって身を乗りだした。

高まる期待のなかで、クリシュナムルティは
ほとんど恥じらうような、小さな声で言った。

『実は、私は何が起ころうと気にしないのです』

「何が起ころうと気にしない」生き方とは、
未来が自分の思い通りになることを求めず、
したがって物事が期待通りに進むかどうかに
一喜一憂しない生き方だ。

それは未来を良くしようという努力を
否定するものではないし、
苦しみや不正をあきらめて受け入れろ
という意味でもない。

そうではなく、未来をコントロールしたいと
いう執着を手放そうということだ。

そうすれば不安から解放され、
本当に存在する唯一の瞬間を生きられる。

つまり、今を生きることが可能になる。

計画を立てて行動することは、
人生を有意義に生きるために欠かせない。

問題は計画を立てることではなく、
計画を何か別のものと勘違いしてしまうことにある。

計画というのは、すべて現時点での意思表示にすぎない。

■生産性依存

病的なまでの生産性依存は、
世の中に広く蔓延している。

社会心理学者は、
そういう状態を「怠惰嫌悪」と呼ぶ。

何もしないことが嫌で仕方ないという意味だ。

でも「時間を無駄にしたくない」
という気持ちのなかには、
どこか永遠の救済への憧れに近いものがある。

日々のあらゆる時間を努力で満たしていれば、
いつか幸せな未来がやってくる。

そう信じる気持ちは宗教とたいして変わらない。

休息を休息として楽しむために、
まずは事実を正しく受け入れよう。

あなたの日々は、完全無欠の
未来のための準備期間ではない。

何らかの達成を目標とするのではなく、
ただ活動そのものを楽しむこと。

僕たちはそんな活動をもっと日々の生活に
取り入れたほうがいい。

■忙しさへの依存を手放す

「現実を思い通りに動かしてやりたい」
という傲慢な態度こそが、苦しみを引き起こす。

中国では古くから、
この洞察が道教思想の中心にあった。

『道徳経』には、
しなやかで謙虚なイメージがあふれている。

真の賢者とは、
風に吹かれても折れずにしなる木や、
障害物を避けて流れる水のようなものだ。

事物はあるがままにそこにあり、
あなたの意志で変えられるものではない。

世界に影響力を行使する唯一の方法は、
現実に逆らうのではなく、
現実に合わせて動くことだ。

限りある時間の使い方

会社に入ったとき、毎年書いていたのが、
キャリア育成計画。

3年後、5年後の自分がどうなっていたいか
書く欄がありました。

ここで、いつも途方に暮れていたのです。

とはいえ、空欄にしておくわけにいかないので、
適当に書いていました。

56歳になった今でもそうですが、
3年前の自分が今の自分を想像できていたかというと、
そんなことはありません。

ましてや、10年前の自分は、今の自分を
まったく想像できないでしょう。

だから、3年後、10年後のイメージをつくって、
逆算するというのは、
どうにも自分に合っていないのです。

では、タイムマシンでどこかの過去に戻って、
やり直したいかというと、
そんなこともないですね。

選択と行動の結果、
自分が思い描いた最高の結果が、現在の自分です。

これでいいのではないでしょうか。

となると、将来のことをあまり気にしても
しかたないかと思います。

自分がやりたいことが、
社会に貢献していれば、
結果が勝手についてくると思っています。

そう感じたのは、コロナ禍になってからです。

何が起こるかはわからないわけです。

体調不調も突然起こります。

坐骨神経痛で、足が痺れたり痛くなったりします。

しかし、歩けないわけではありません。

外出先で痛くなったときも、
足をひきづりながら、
歩いてくれている足に感謝して歩いています。

痛いのは嫌だけども、
本当に歩けなくなるよりも
恵まれているではないですか。

ありがたいことです。

そして、痛みがなければ、
足に感謝することもなかったわけです。

二重にありがたいことです。

痛みがなくても、
感謝できる自分になることのほうが大切です。

「明日のことは明日が心配してくれます」
イエス・キリストの言葉は、
真実ではないでしょうか。

そして、「何が起ころうと気にしない」というのが
よいのではないかと、思っています。

これのために、ダライ・ラマの分析瞑想は
とても強力です。

「今」を楽しむ。

その積み重ねが人生そのものだと考えます。

あなたは、目的をもたない休みを楽しめますか。

20220710 「何が起ころうと気にしない」生き方_限りある時間の使い方(2)vol.3465【最幸の人生の贈り方】

この記事は、メルマガ記事から一部抜粋し、構成しています。

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