新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突

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新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突
The New Map: Energy, Climate, and the Clash of Nations

ダニエル・ヤーギン(著), 黒輪篤嗣(翻訳)
東洋経済新報社 (2022/1/28)

ダニエル・ヤーギン
IHSマークイット副会長
「米国で最も影響力のあるエネルギー問題の専門家」(『ニューヨーク・タイムズ』紙)、「エネルギーとその影響に関する研究の第一人者」(『フォーチュン』誌)と評される。ピューリッツァー賞受賞者。ベストセラー著者。著書に『石油の世紀――支配者たちの興亡』、『探求――エネルギーの世紀』、『砕かれた平和――冷戦の起源(Shattered Peace: The Origins of the Cold War)』、共著に『市場対国家――世界を作り変える歴史的攻防』がある。世界的な情報調査会社、IHSマークイットの副会長を務める。

黒輪篤嗣 くろわ・あつし
翻訳家。上智大学文学部哲学科卒業。ノンフィクションの翻訳を幅広く手がける。おもな訳書に『ワイズカンパニー──知識創造から知識実践への新しいモデル』(東洋経済新報社)、『問いこそが答えだ!──正しく問う力が仕事と人生の視界を開く』(光文社)、『哲学の技法──世界の見方を変える思想の歴史』『ドーナツ経済学が世界を救う──人類と地球のためのパラダイムシフト』(以上、河出書房新社)、『宇宙の覇者ベゾスvsマスク』(新潮社)、ロバートソンほか『レゴはなぜ世界で愛され続けているのか──最高のブランドを支えるイノベーション7つの真理』(日本経済新聞出版社)などがある。

私の不勉強と無知がさらけだされ、
毎回、調査することを余儀なくされた書籍で、大変勉強になりました。

各国の歴史も勉強するよい機会となり、
世界をいろいろな視点から眺めることもできました。

対立軸ではなく、それぞれの主張を俯瞰することで、
平和な解決策を提示できるようでありたいと願っています。

ロシアとEU、アメリカのエネルギー

■プーチンの大計画

ロシアは世界の三大産油国の1つに数えられる。

天然ガスでは世界第2位の生産国であり(米国に次ぐ)、
今も世界最大の輸出国だ。

石油と天然ガスの輸出から得られる収入が、
国と国力の財政基盤になっている。

■天然ガスをめぐる危機

欧州へのロシアの天然ガスの供給
(欧州の天然ガスの総消費量の約35%を占める)は、
地政学的な対立の中心をなしている。

この緊張状態が一番あらわになっているのは、
亀裂が生じ、武力衝突にまで発展している
ロシアとウクライナとの関係においてだ。

その影響は欧州のエネルギー市場のほか、
米ロ関係にも及んでいる。

ウクライナとロシアは
このキエフ大公国につながる系譜を共有する一方で、
国のアイデンティティをめぐって激しく対立している。

二国は同じアイデンティティを持つというのが
ロシアの主張、
二国は別々のアイデンティティを持つというのが
ウクライナの主張だ。

ソ連崩壊後の激動期にも、
そのままの形で保たれた機関が1つあった。

ガス工業省を改組した国家ガスコンツェルンを
前身とする天然ガス会社、ガスプロムだ。

輸出用のガスパイプライン(とその輸出で得られる収入)は
ガスプロムの管理下に置かれ、
ソ連時代の西欧のおもなエネルギー企業との取引も
おのずとガスプロムによって引き継がれた。

2004年のウクライナの大統領選の選挙後、
不正に抗議する大規模な集会が
首都キエフの独立広場で開かれた。

この抗議行動はのちに「オレンジ革命」と
呼ばれることになる。

裁判所の命令でやり直された投票では、
ユシチェンコが勝った。

とうとう西を向いた大統領が
ウクライナに誕生してしまったということで、
ロシア政府は愕然とした。

ロシア政府はこれらの「色の革命」の背後には、
西側の非政府組織の支援があると見るとともに、
旧ソ連諸国からロシアの「特権的な」影響力を
排除することを目的とする西側の
「保安局」の支援もあるのではないかと疑っていた。

さらに由々しいのは、オレンジ革命をきっかけに
NATO──すでにバルト諸国が加盟していた──が
ウクライナのロシア国境に
部隊を派遣する可能性があったことだ。

ユシチェンコの勝利後、
ロシアは天然ガスの価格交渉で態度を硬化させた。

ウクライナがロシアに支払っている天然ガスの代金は、
西欧諸国が支払っている代金の3分の1以下だった。

すでに未払いの代金が何十億ドルにも膨らみ、
しかも今やロシアから離反しようとする大統領に
率いられているのに、
どうして、安価な天然ガスによって、
年間何十億ドルという規模の助成を
ウクライナに対してしなくてはいけないのか、
とロシアは言い立てた。

2006年1月1日、問題の解決が見通せない状況で、
ガスプロムがウクライナ向けの天然ガスの
供給を停止した。

しかしウクライナはこれに対し、
欧州向けの天然ガスを抜き取った。

その結果、欧州への天然ガスの供給が滞って、
ロシアは欧州との関係を悪化させる事態に陥った。

2009年1月1日、ロシアが再び
ウクライナ向けの天然ガスの供給を停止した。

プーチンはその後、欧州向けの天然ガスが
ウクライナによって抜き取られ、盗まれたと発表して、
ウクライナを通過する天然ガスの出荷を
全面的に停止した。

これらの天然ガス危機が、
ロシアと欧州のどちらにとっても、
エネルギー安全保障をあらためて
重視する契機になった。

■エネルギー安全保証をめぐる衝突

2011年、ノルド・ストリームと名付けられた
100億ドルのパイプライン──バルト海の海底を通って、
ロシアとドイツを直接つなぐ、
全長約1200キロの2列のパイプライン──の開通式が
行われた。

ウクライナを通らない新しいパイプラインの建設により、
ロシアはウクライナ経由の輸送への依存を
減らすことができた。

ドイツのメルケル首相はこの計画への支持を
表明するとともに、欧州とロシアのつながりは
「安全で強靭な協力関係」により、
長きにわたって続くだろうと話した。

EU全体では、天然ガスがエネルギー消費の
約25%を占めている。

これは天然ガスの総消費量の約35%を占める
ロシアの天然ガスによって、
欧州の総エネルギーの9%がまかなわれていることを
意味する。

新しい世界の資源地図

ロシアは、広大な国土を持ち、
豊富なエネルギー資源があることと、
さらにまだ開発されていない資源も
豊富にあります。

経済的な観点からだけ見れば、
アメリカと中国の2強になっていますが、
資源の観点からみれば、
ロシアは最重要国の一つであることに
変わりはありません。

ソ連崩壊後に、CISとして、
ロシア、ウクライナ、ベラルーシの3国が
手を組んだこと。

ゴルバチョフ、エリツィンの失脚は、
原油価格の暴落だったこと。

プーチンは、エネルギー産業を
政府の支配下に置いたこと。

二国は同じアイデンティティを持つというのが
ロシアの主張、
二国は別々のアイデンティティを持つというのが
ウクライナの主張。

ロシアとウクライナの関係は、
ソ連崩壊以来、こじれ続けていること。

これらを改めて理解しました。

さまざまな思惑の違いと、
ボタンのかけ違いによって、
現在の状況が生じていると考えています。

そして、2国間の関係だけでなく、
関係各国の置かれた立場による影響もさまざまです。

これを機会に歴史と地政学を
理解していきたいと考えます。

あなたは、ロシアの資源政策について、どんなことを知っていますか。

20220319 新しい世界の資源地図―ロシアとEU、アメリカ(1)vol.3352【最幸の人生の贈り方】

ロシアとウクライナのエネルギー

■ウクライナと新たな制裁

1994年のブダペスト覚書で、
ウクライナは核兵器の放棄と引き換えに、
領土の保全を確約されていた。

ところがロシア政府は、
ウクライナの「合法的な」政権が
西側の企てた「クーデター」で転覆されたことにより、
ブダペスト覚書は無効になったと主張した。

その後、分離派と非正規部隊、
それに「休暇中」のロシア兵が、
ウクライナ南東部のドンバスで軍事作戦を始めた。

紛争は長引き、いまだに終結していない。

死者数はこれまでに少なくとも1万4000人にのぼる。

米国とロシア、ロシアと西側の亀裂は
深まり続けている。

対ロ制裁の1つは、
特定の個人や組織を対象にしたものだった。

プーチンに近いか、
またはクリミアやドンバスでの活動に関わっていると
判断された個人や組織に制裁が科された。

また、ロシアによる世界の金融システムへのアクセスや、
国際市場での資金調達を制限し、同時に、
ロシアへの国外からの投資を禁じるという形でも
対ロ制裁は行われた。

しかし米国の指導的な立場──
それは資本市場とドルに支えられたものだ──は、
金融制裁を多用すれば揺らいでくるだろう。

各国がやがて代わりを見つけるからだ。

もう1つ、ロシアのエネルギー資源の力を
抑える制裁も行われた。

この制裁では、すでに高値になっている原油価格を
さらに上昇させないため、
ロシアの石油の生産を妨げないよう
注意する必要があった。

北極海の沖合での開発に
西側諸国が参加することが禁止された。

ロシアの北極海の大陸棚は
まだほとんど探査されていないが、
そこには膨大な石油・天然ガス資源が眠ると
考えられている。

■経済的苦痛と国家の役割

原油価格の暴落もロシア国内の産業活動には
大きな影響を及ぼさなかった。

実際、2014年から2016年にかけて、
ロシアの産油量は増加した。

安いルーブルで買い物をしなくてはいけない
ロシアの消費者にとっては、
輸入品がかなり割高なものと化した。

消費者はおのずと輸入品の購入を控えた。

一方で、ルーブルの下落のおかげで
ロシア国内で生産されたものの競争力は
国内外で高まった。

このことは製造業のほか、農業にも当てはまった。

ロシアは今や世界最大の小麦の輸出国だった。

ロシア経済が制裁と原油価格の暴落に、
予想よりもかなりよく持ちこたえたことは確かだった。

2017年に早くもマイナス成長から脱却し、
2019年には1・6%の経済成長を記録した。

この孤立により、企業の国家への依存度が高まって、
国内経済における政府の役割が拡大した。

ロシアの経済成長の勢いを取り戻す手段として
期待を寄せられることになったのは、
おもに一連の「国家事業」だった。

■ノルド・ストリーム2

2015年末、バルト海の海底で、
ロシアとドイツをつなぐ
第2のパイプライン「ノルド・ストリーム2」のルートを
決めるための調査が始まった。

このパイプラインの建設に対しては、
もとのノルド・ストリームのとき以上に
強い反発が起こった。

批判の声はポーランドとバルト三国など、
欧州の一部の国ばかりでなく、
もとのノルド・ストリームの建設では
支持する立場だったEUからも挙がった。

EUの中で、そのほかの国の反応は違った。

ドイツの外相とオーストリアの首相は共同声明で
「欧州のエネルギー供給は欧州の問題であり、
米国の問題ではない」と述べた。

欧州のあるエネルギー大手の幹部に言わせると、
米国が制裁を科すのは「自国の天然ガスのため」、
つまり米国のLNGの輸出のためだった。

2019年12月、110億ドルを投じた
パイプラインの完成まで、あとわずか数週間だった。

12月9日、プーチンがパリを訪れ、
ドイツのアンゲラ・メルケル首相、
フランスのエマニュエル・マクロン大統領、
ウクライナの新大統領ウォロディミル・ゼレンスキーと
会談を行った。

1週間後、12月17日、米国上院で
数十億ドルという規模の国防予算法案が可決された。

その中にはノルド・ストリーム2に対する制裁案も
盛り込まれていた。

その3日後、12月20日、
ロシアとウクライナのあいだで話し合いがまとまった。

和解の内容は「結束」以上のもので、
ウクライナにとっては望みうる最高のものだった。

ロシアが引き続き5年間、
ウクライナ経由で欧州に天然ガスを
大量に輸送することを約束したのだ。

これによりウクライナの通過料収入の目処が立った。

さらに驚きだったのは、
ロシアがウクライナへの約30億ドルの賠償金の
支払いに応じたことだった。

ロシアとウクライナの長い争いに
ついに終止符が打たれてから数時間後、
ドナルド・トランプはフロリダへ向かう途中、
メリーランド州のアンドリュース空軍基地で
防衛予算法案に署名し、
ノルド・ストリーム2への制裁を発動させた。

欧州から見れば、米国の行為は
欧州の内政への不当な干渉だった。

バルト海の海底では、
完成間近のノルド・ストリーム2が
仮死状態で横たわっていた。

2014年、ウクライナ関連の制裁で
ノバテクが西側の金融にアクセスできなくなり、
さらなる困難に直面した。

270億ドルのLNG事業を継続させるには、
新たな資金注入がただちに必要だった。

結局、中国から120億ドルの融資が得られ、
中国が新たにこの事業に加わることになった。

ロシアは従来、中国に大規模な上流資産を
獲得されるのをいやがってきた。

しかし、今回はほかに選択肢がなかった。

LNGのタンカーの航路は
NSR(北極海航路)と呼ばれる航路も切り拓いた。

これは温暖化で北極海の氷が後退したことに
助けられたものだった。

この航路の開通を喜んだのは
日本、韓国、そしてとりわけ中国だった。

「北極近隣国」と自称する中国は、
この航路に独自に「氷上のシルクロード」
という呼び名も付けた。

北極圏の天然ガス資源を使った
LNG事業によって明らかになったのは、
ロシアが2020年代中に、
米国、カタール、オーストラリアと並ぶ
第4のLNG供給国になることだ。

北極圏のLNG開発は、
世界に影響を及ぼす大きな地政学的な転換を
示すものでもある。

いわゆるロシアの「東方シフト」だ。

新しい世界の資源地図

ロシアは、度重なる経済制裁のたびに
乗り越えてきたようです。

今回も経済制裁を見越して、
早々と金と中国元に軸足を移していたとも
聞いています。

経済制裁は、まわりまわって、
アメリカとヨーロッパと日本の経済に
悪影響を及ぼす可能性も考えられます。

世界の購買力平価GDP 国別ランキング
https://www.globalnote.jp/post-12801.html

2020年トップ10
中国
アメリカ
インド
日本
ドイツ
ロシア
インドネシア
ブラジル
フランス
イギリス

プライスウォーターハウス(PwC)が2017年に予測している
2050年の経済ランキングでは
https://www.pwc.com/gx/en/research-insights/economy/the-world-in-2050.html

2050年トップ10(予測)
中国
インド
アメリカ
インドネシア
ブラジル
ロシア
メキシコ
日本
ドイツ
イギリス

PwCでは、2つのグループに分けて概観しています。

G7:アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本、カナダ、イタリア
E7:中国、インド、インドネシア、ブラジル、ロシア、メキシコ、トルコ

1995年は、E7の経済力はG7の半分
2015年に、E7とG7の経済力は同等。
2040年には、E7の経済力はG7の2倍。

ウクライナの国連での決議を国の投票数だけではなく、
経済規模で見てみると、
先進国と成長国という対立軸も見えてきます。

世界はアメリカとヨーロッパ主導で
動かなくなっているとも
いえるのではないでしょうか。

今回のロシアに対する経済制裁で、
制裁国が自らの力を弱めることになっていないか、
注意を払う必要があると考えます。

あなたは、どのような方法が平和的解決につながると考えますか。

20220320 ロシアとウクライナ_新しい世界の資源地図(2)vol.3353【最幸の人生の贈り方】

ロシアと中国、中央アジアのエネルギー

■東方シフト

中国は経済成長を支えるとともに、
大気汚染を抑えるため、
どうしても天然ガスの利用を増やしたかった。

一方ロシアは、ヨーロッパの顧客への
依存を弱めるとともに、
石油・天然ガスへの旺盛な需要があり、
なおかつ政策と経済の両面で方向性が近い国の市場に、
将来軸足を移す必要があった。

国家主導の資本主義経済モデル
「北京コンセンサス」でも、
両国の方向性は一致していた。

中国はドイツに次いで、
世界で2番目に大きいロシアの天然ガスの市場になった。

かつて中国とソ連は、
どちらが共産主義世界の盟主か、
どちらが世界革命の指導者かをめぐって
激しく競り合っていた。

しかしプーチンが大統領に就任すると、
中国とアジアを重視する姿勢を打ち出した。

西側とのあいだにすきま風が吹き始める一方で、
北京によき相棒が見つかった。

プーチンが中国を「重要な戦略的パートナー」と呼べば、
習も、両国は「最も信頼できる戦略的パートナー」同士と
応じた。

戦略的パートナーシップの妨げになりうる問題もある。

ロシアが憂慮しているのは、
中国人がかつて国境紛争の舞台になった国境を越えて、
ロシア側に大量に流入している問題だ。

人口が少なく、経済もふるわない極東ロシアでは、
空いた土地が次々と中国人の手に渡っている。

■ハートランド──中央アジアへの進出

中ロのこの新たな接近の動きがとりわけ注目されるのは、
中央アジアへの中国の進出と合わせて考えるときだ。

ロシア政府が「近い外国」と呼ぶその地域は、
米ロの地政学的な衝突の中心地になっていた。

中央アジア(カザフスタン、キルギス、
タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、
アゼルバイジャンを含む範囲)は
ユーラシア大陸のちょうど真ん中に位置する。

ソ連崩壊後、中央アジアの国々は独立を果たしたが、
ロシアは中央アジアでの特権的な地位を
固守しようとした。

中央アジア諸国は中国との貿易や中国からの投資を
歓迎している。

国民レベルでは、
中国の影響や中国人による農地の取得などに対して、
疑念や憤りがあり、
政府レベルでは、ロシア政府と中国政府のあいだで
いかにバランスを取ればいいかという悩みがある。

中央アジアの国々が中国に完全に取り込まれずにすんでいるのは、
ロシアによる関与が続いているおかげだ。

新しい世界の資源地図

ロシアのプーチン大統領は、
1952年10月7日生まれの69歳。

中国の習近平党総書記は、
1953年6月15日生まれの68歳。

プーチンは、2021年に法を改正し、
大統領の任期を2036年83歳まで
延期できるようにしました。

習は、2018年に任期を撤廃しました。

いずれも、長期政権の地位を確立しています。

二人がともに生きている限り、
この良好な関係性は続きそうです。

プーチンは、軸足を東方に動かしています。

ロシアの潜在的に豊富な天然資源と、
需要が拡大している中国は、
お互いに補完しあう関係にあります。

さらには、中期的な成長が見込まれるインドと
連携を組むことで、
より安定的な基盤をつくることができます。

インドとは、軍事的な協力関係を結んでいます。

そして、中国とロシアの影響を大きく受ける
中央アジア各国は、バランスをとる必要があります。

中央アジアについては、不勉強なので、
勉強をかねて、整理。

ちなみに、xxスタンというのは、
ペルシャ語で「土地」という意味です。
昔、ペルシア帝国の一部だったからです。

●カザフスタン共和国
世界第9位の国土を有する。人口は1,900万人。
カザフ語
カザフ人が68パーセント、ロシア人が19パーセント。
イスラム教徒が大多数を占める
北と西にロシア、東に中国、
南にキルギスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン
と国境を接している。
石油とガス産業によってこの地域のGDPの60%を生み出す。
[ロシアとの良好な関係維持を重視
中国との関係も重視
米国、EU、日本とも良好な関係]

 
●キルギス共和国
国土全体の40%が標高3000mを超える山国。
人口650万人
キルギス語、ロシア語
キルギス人が過半数を占め、
少数民族としてウズベク人とロシア人がこれに続いている。
カザフスタン、中華人民共和国、タジキスタン、
ウズベキスタンと国境を接する。
中央アジアでは2番目に貧しい国である。
金、石炭、ウランの鉱脈に加え、
石油と天然ガスに大きく依存している。
[ロシアとの良好な関係維持を重視
中国や米国等の間でのバランス外交]

●タジキスタン共和国
国土のほとんどは山岳地帯。
人口970万人
タジク語
南にアフガニスタン、東に中華人民共和国、
北にキルギス、西にウズベキスタンと国境を接する。
中央アジアの中でもっとも貧しい。
主要歳入源はアルミニウム生産、綿花栽培、
国外出稼ぎ労働者からの送金である。
[全方位的外交を模索
経済・軍事面でロシアへの依存度は大きい。
中国からは、多額の借款供与、インフラ整備支援]

●トルクメニスタン
カラクム砂漠が国土の85%。
人口600万人
トルクメン語
西側でカスピ海に面し、東南がアフガニスタン、
西南にイラン、北東をウズベキスタン、
北西はカザフスタンと国境を接する。
豊富な石油や天然ガスを埋蔵する。
おもな産業は天然ガス、石油、綿花栽培、繊維工業である。
[永世中立国]

●ウズベキスタン共和国
乾燥した内陸国。二重内陸国。
人口3,390万人
ウズベク語、共通語としてロシア語
北はカザフスタン、北東はキルギス、南東はタジキスタン、
南はアフガニスタン、南西はトルクメニスタンと、
5つの内陸国に囲まれている。
産業は、綿花栽培、金、ウランなど有用な鉱物に恵まれている。
次の10年間で世界でも有数の成長速度の速い
国家(トップ26)になると予測されている。
[ロシア依存を脱却する全方位的外交]

●アゼルバイジャン共和国
人口1,020万人
アゼルバイジャン語
東にカスピ海、北にロシア、北西にジョージア、
西にアルメニア、南にイランに囲まれている。
おもな産業は、石油・天然ガス、石油製品、鉄鉱等。
[米露とのバランスを考慮しつつ、
伝統的友好国のトルコ、
アゼルバイジャン人が多く住むイランとも
等距離善隣外交を推進。]

いずれの国も、民族としての言語をもち、
天然資源に大きく依存していることがわかりました。

3月はじめに国連で行われたロシア非難決議で、
中国、カザフスタン、キルギス、タジキスタンは棄権、
アゼルバイジャン、トルクメニスタン、ウズベキスタンは
意思を示さず。

さて、ウズベキスタンについて調べているときに
二重内陸国という言葉を初めて聞きましたが、
世界では2カ国のみだそうです。

他には、リヒテンシュタイン。

国境を接するすべての国が内陸国であり、
海に出るために最低2回国境を通過しなければならない国。

海に国土を囲まれている日本とは、
対照的な国です。

日本では、二重内陸県すらありません。

中央アジアは、中国の一帯一路で
また出てくると思うので、
次回は、中国との関係の視点から見ます。

改めてロシアの国境を眺めると、
広大な国土ゆえに、隣国もとても多いです。

北西から南東へ、ノルウェー、フィンランド、
エストニア、ラトビア、
ともにカリーニングラード州と隣接するリトアニアおよびポーランド、
ベラルーシ、ウクライナ、ジョージア、
アゼルバイジャン、カザフスタン、
中華人民共和国、モンゴル国、
朝鮮民主主義人民共和国と接する。

海上境界線としては、日本とは
オホーツク海・宗谷海峡・根室海峡・珸瑤瑁水道、
アメリカ合衆国アラスカ州とはベーリング海峡で接する。

今回とりあげられていない国もまだまだありますが、
これでロシアの地図は終了となります。

あなたは、中央アジアの国の立場にあったら、どのような生き残り戦略を考えますか。

20220321 ロシアと中国、中央アジア_新しい世界の資源地図(3)vol.3354【最幸の人生の贈り方】

アメリカのシェールガス・シェールオイル

■シェールガス

2008年、米国の天然ガスの生産量が
一般的な予想に反し、減少せず、
シェールガスの坑井の生産により、
上昇に転じた。

国際的な巨大石油企業、すなわちメジャーも、
これには俄然注目した。

2007年の時点で、
石炭は米国の電力の半分をまかなっていた。

2019年にその割合が24%まで下落し、
逆に天然ガスの割合は38%まで上昇した。

米国の経済が2倍に成長しながら、
二酸化炭素の排出量を
1990年代初頭レベルまで下げられたのは、
これが大きな理由だった。

値段の張るLNGを輸入するという考えは
すっかり消え去った。

課題はもはや、
乏しい供給でいかにやりくりするかではなく、
増え続けている大量の安い天然ガスの市場を
いかに見つけるかだった。

今や、天然ガスはあり余るほどなのだ。

■シェールオイル

新しい技術の登場によって
テキサスはごく短いあいだに変貌を遂げ、
並外れた成長の軌道に乗ったということだ。

2009年1月から2014年12月にかけ、
テキサス州の原油生産量は3倍以上増えた。

この時点で州の産油量は、
メキシコの産油量を上回り、
さらにはサウジアラビアとイラクを除く
OPEC加盟のすべての国の産油量をも上回った。

2008年以来の景気後退「グレート・リセッション」が
終わった2009年6月から2019年までの
石油・天然ガス採掘部門の純固定投資額は、
米国の純産業投資額の総額の3分の2以上に達した。

また別の数字では、
2009~2019年の石油・天然ガスの生産量の増加が、
鉱工業生産の累積成長の4割をも占めた。

2019年の時点で、非在来型革命は
すでに280万人以上の雇用を支えていた。

油田・ガス田からは直接的、間接的に
さまざまな仕事が生まれた。

そのような連鎖のおかげで、
経済効果がほぼすべての州で実感された。

このような経済活動の増大は、
国と州の歳入を増やす。

その額は2012年から2025年までで
1.6兆ドルになると予測されている。

新しい世界の資源地図

今までの私の世界の眺め方が、
いかに偏っていたかに気づいた内容でした。

2008年のリーマンショックのあと、
日本が立ち上がれず、
アメリカが早々と復活したのは、
GAFAMなどのIT企業の力だと思っていたのです。

が、それよりも、新たな技術により、
シェールガス、シェールオイルを
発掘できるようになり、
エネルギー産業が大きく復活したのが、
最も大きな要因でした。

そして、これにより、アメリカは、
海外から国内に工場を取り戻すことが
できるようになったのです。

ちゃんと知っている人には、
当たり前の内容だったかもしれませんが、
私には、驚きの内容でした。

資源についても、きちんと世界の情勢を
知っておかないといけないと
深く反省しました。

日米貿易について、改めて確認しました。


米国経済と日米経済関係 令和3年12月 外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000240495.pdf

■「日⇒米」貿易構造(2020年)
米国の対日「輸入」上位10品目
●2020年の対日輸入額は約12兆6,122億円(前年比 ▲17.3%)
●品目別に見ると,
1.自動車
2.自動車部品
3.原動機(車両用エンジン等)
が上位3位を占める。

■「米⇒日」貿易構造(2020年)
米国の対日「輸出」上位10品目
●2020年の対日輸出額は約7兆4,369億円(前年比 ▲13.9%)
●品目別に見ると,
1.医薬品
2.原動機(車両用エンジン等)
3.肉類
が上位3位を占める。
液化石油ガスは、 6位、4%
液化天然ガスは、10位、3%

あなたは、日本のエネルギー施策について、どうありたいと考えますか。

20220322 アメリカのシェールガス・シェールオイル_新しい世界の資源地図(4)vol.3355【最幸の人生の贈り方】

メキシコ・ブラジル・カナダ・日本のエネルギー

■メキシコ

2019年、パイプラインで
米国からメキシコへ送られた天然ガスの量は、
米国のLNGの総輸出量を上回った。

メキシコのガスの総供給量の60%、
ガソリンの総供給量の65%が、
米国からの輸入でまかなわれている。

■ブラジル

ブラジルの石油の生産量は2000年以降、
2倍以上に増えた。

これはおもに「プレソルト」(岩塩層下)のおかげだ。

ブラジル沖合は新しい投資を
引きも切らず呼び込んでおり、
現在、世界の石油産業の中で
際立って開発の盛んな地域になっている。

■カナダ

2000~2019年に、
カナダの原油生産量は2倍以上に増えて、
日量450万バレルに達した。

これは制裁前のイラクやイランを上回る生産量だ。

2019年、米国の原油の総輸入量の約50%を
カナダからの輸入が占めた。

■日本

日本の企業や政府も、
米国の石油・天然ガスの輸入に積極的だ。

日本はそれらの供給を、
対米貿易黒字を減らすうえで重要なものとして、
また世界のエネルギー安全保障に役立つものとして
捉えている
(日本では石油の99%、天然ガスの98%が輸入されている)。

2011年の福島での原発事故以前、
日本の電力の30%は原子力発電でまかなわれていた。

2020年時点でその数字は5%以下まで低下している。

代わりにLNGが発電燃料として重要になり、
その穴の大半を埋めた。

2020年現在、国内の電力の40%近くが
LNGの火力で発電されている。

新しい世界の資源地図

2010年と2020年の電源構成による発電量の数字はこちら。

参考:経済産業省 資源エネルギー庁 総合エネルギー統計 時系列表をもとに作成
https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/total_energy/results.html#headline1

ゼロエミッション電源とは、
原子力発電を含めた太陽光発電、風力発電、
地熱発電、水力発電、バイオマス発電などの
再生可能エネルギー由来の電源のことです。

数字を見ると、原子力の減少分を補っているのは、
天然ガスだけでなく、太陽光も大きく貢献し、
バイオマス、風力も増えています。

あなたは、天然ガスの発電について、どのくらいご存知ですか。

20220323 メキシコ・ブラジル・カナダ・日本_新しい世界の資源地図(5)vol.3356【最幸の人生の贈り方】

米中関係とエネルギー

■米中関係

米国と中国で世界のGDPの約40%、
軍事費の約50%を占めている。

少し前までは、米中関係は相互依存によっ
てかつてないほど緊密になったと考えられていた。

サプライチェーンが統合され
(米国で設計され、中国で製造されるiPhoneのように)、
2018年(貿易戦争前)の米中の総貿易額は7380億ドル、
米国による対中投資は1160億ドル、
中国による対米投資は600億ドルにのぼった。

加えて、米国の大学に通う中国人は36万人を超え、
米経済に130億ドルの貢献をしている。

しかし、米中関係に亀裂が入った。

関与は反目に取って代わられた。

すなわち貿易戦争と、
経済や安全保障の問題をめぐる対立、
米中経済のデカップリング論、軍拡競争、
これからの経済モデル、
ひいては21世紀の盟主の座をめぐる争いだ。

2020年、新型コロナウイルスの世界的大流行によって
混乱と甚大な人的・経済的被害が発生すると、
たとえ一時的にせよ、デカップリングは現実と化した。

旅客機の運航が止まり、貿易は制限された。

非難合戦がエスカレートし、
敵対感情はいちだんと高まった。

新しい世界の資源地図

台湾の北東に浮かぶ小さな無人島とは、もちろん
尖閣諸島のことで、
中国では、釣魚群島、台湾では、釣魚臺列嶼と
呼ばれています。

中国の強みは、国内に大きな消費者市場を抱えており、
まだまだ成長段階にあるということです。

日本の高度成長期も大きな人口によって、
支えられましたが、
中国は、それの何倍もの人口を抱えています。

中国の2021年の主要国・地域の貿易額を見ると、
https://www.jetro.go.jp/view_interface.php?blockId=32992575
貿易総額の多い順に、
ASEAN、EU、米国、日本、韓国。

輸出は、
米国、EU、ASEAN、香港、日本。

輸入は、
ASEAN、EU、台湾、韓国、日本、米国。

反対に、各国で見てみると、
ドイツでは、中国が6年連続で最大の貿易相手国。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/02/fbcba169a4805890.html

日本では、2007年から、中国が最大の貿易相手国。
https://www.customs.go.jp/toukei/suii/html/data/y3.pdf

アメリカでは、2017年までは、中国が最大の貿易相手国。
その後、どんどん中国のシェアを減らしていて、
2021年は、EU、カナダ、メキシコ、中国、中米アメリカ、日本の順。
(元データ:Country and Product Trade Data Historical Files
https://www.census.gov/foreign-trade/statistics/country/index.html
より算出)

アメリカは別として、中国が最大の貿易相手国の国は、
まだまだ、たくさんあると推測できます。
(予想以上にこのデータを出すのに労力がかかったので、
数字を精査するのは、ここまで)

あなたは、中国との関係について、どのように見ていますか。

20220324 米中関係_新しい世界の資源地図(6)vol.3357【最幸の人生の贈り方】

南シナ海のエネルギー

■通商航路と漁場

「世界で最も重要な通商航路」と言われる南シナ海は、
インド洋からアジアと太平洋まで広がり、
インドネシア、マレーシア、ブルネイ、
フィリピン、ベトナム、中国、台湾に囲まれている。

シンガポールはそのすぐ外側にある。

この海域を通る世界貿易の額は3・5兆ドルにのぼり、
中国の海上貿易の3分の2、
日本の海上貿易の40%以上、
世界貿易の30%を占める。

食料安全保障の面でも重要な水域であり、
世界の総漁獲量の10%、
マグロ類の漁獲量の40%を占める。

■中国の地図

1933年から1935年のあいだに
中国ではさまざまな地図が発表された。

それらは南シナ海での中国の主権を主張したもので、
その範囲は中国本土から1600キロ近く離れた
海域にまで達した。

「精査され、承認された」数々の島には
中国名も付けられた。

この地図の制作という戦闘部隊を率いたのは、
中国で最も多大な影響力を持ち、
尊敬もされていた地理学者、白眉初だった。

1930年には、国民を教育する「中国国恥図」
という地図も作っていた。

彼にとっては「国民の愛国心を育てること」が、
地図を作る目的の1つだった。

1936年には、「中華民国建設全図」という地図を
制作した。

この地図には、南シナ海に「牛の舌」とも
呼ばれるU字形の線が描かれていた。

その線はオランダ領東インド(現在のインドネシア)の
そばまで達していて、
その線の内側はすべて中国の領海とされた。

それからおよそ90年後、
南シナ海をめぐる近年の争いで、
白眉初の地図が再び引き合いに出されている。

現在の中国の地図(と歴史観)にも、
「九段線」と呼ばれるU字形の線が描き込まれている。

2013年、中国のさる著名な地理学者は、白眉初の地図は
「今や、中国の人々の心に深く刻み込まれている」と発言した。

中国の子どもたちはもう何世代にもわたって、
中国の最南端の領土はマレーシア沖約80キロにある
「曾母暗沙」(ジェームズ礁)という水中の岩礁だと、
小学校で教わっている。

■ASEAN諸国のジレンマ

南シナ海をめぐる争いと米中の対立は、
ASEANにジレンマをもたらしてもいる。

ASEANは1967年、ベトナム戦争を背景として
結成された。

今日、共産主義国ベトナムは、
世界の市場経済と統合されている。

EUと違い、ASEANを構成する10カ国の
政治形態は一様ではない。

その6億人の経済共同体が今、
互いの結び付きをますます深めつつある。

「東南アジアは安全保障面では米国と統合されているが、
経済面では中国と統合されている」

貿易面では、ASEAN諸国と中国との結び付きは深まる一方だ。

対中貿易額が対米貿易額を50%上回る。

ただし同時に、安全保障では
米国との連携を強化しようとしてもいる。

新しい世界の資源地図

中国が小学校の教科書に載せていた「国恥地図」はこちら。
https://ja.wikipedia.org/wiki/国恥地図#/media/ファイル:Kokuji1922.png

九段線が書かれている地図はこちら。
https://ja.wikipedia.org/wiki/九段線#/media/ファイル:9_dotted_line.png

「国恥地図」をみると、
朝鮮半島と沖縄、マレーシア、ベトナム、シンガポール、
ミャンマー、中央アジア各国が含まれています。

現在の中国では、地図がどのように認識されているか、
調べてみました。
https://map.baidu.com/@11590057.96,4489812.75,4z

やはり、九段線が書かれていて、さらに台湾の東にも
線が書かれています。

境の認識が異なること。
人工島を建設していること。
排他的経済水域の扱いが異なること。

多くの観点から、中国とそれ以外の国々で、
認識がずれていることが理解できました。

東シナ海で起きていることも、
まったく同じと言ってよいでしょう。

小学館の日本大百科全書(ニッポニカ)によると、

「核心的利益」
どんな代償を払っても守らなければならない
決心を示すときに使われる中国の外交用語。

中国語では「核心利益」と表記する。

絶対に妥協することはできない、
武力行使も躊躇(ちゅうちょ)しない、
などの意味がこめられている。

「核心的利益」より弱い表現として
「重要利益」と「利益」がある。

中国政府は2011年9月に発表した
「中国の平和的発展」と題する白書で、
核心的利益について、
(1)国家主権、
(2)国家の安全、
(3)領土保全、
(4)国家の統一、
(5)国家の政治制度と社会の大局の安定、
(6)経済・社会の持続的発展への基本的な保障、
に関わるものと定義した。

江沢民(こうたくみん)や胡錦濤(こきんとう)までの
中国の指導者は、国際会議などの場で
チベットや新疆(しんきょう)の独立問題、
ならびに台湾、南シナ海に言及するときに
よく「核心的利益」という語を使ってきたが、
習近平(しゅうきんぺい)政権になってから
その適用範囲が拡大され、
2013年4月、中国外務省の報道官は記者会見で、
中国が領有権を主張する沖縄県石垣市の
尖閣諸島(せんかくしょとう)についても初めて

「核心的利益」であると主張した。

相手がどのような地図を見て、
使っている言葉はどういう意味か、
よく理解することは、出発点として大切ですね。

ASEANの貿易については、こちらの記事が
よくまとまっていました。
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2021/5f35e696071112c0.html

2010年のASEANの貿易総額は、日本の約2.1倍。

世界の貿易総額におけるシェアは、
EU(29.4%) 中国(12.4%) 米国(10.7%) ASEAN(8.1%)

ASEANのこの10年での対日貿易総額とシェアは縮小。
台頭しているのが中国。
対米貿易も拡大し、日本を上回っています。

日本企業がASEANに進出し、
現地調達や現地生産を進めた結果と捉えることもできますが、
貿易に関しては、日本の存在感が衰えていることが
数字から伺えます。

ただし、投資収益額は、ASEANからの収益が
EUや中国よりも大きいとのこと。

関係性が大きく変わってきているようですね。

あなたは、ASEANとの関係について、どのように見ていますか。

20220325 南シナ海_新しい世界の資源地図(7)vol.3358【最幸の人生の贈り方】

一帯一路

■一帯一路

2013年、中国の習近平国家主席が
「一帯一路」を初めて披露した。

それは世界経済の地図を描き直し、
その中央にかつて「中華王朝」を
名乗った中国を位置付けようとする構想だった。

この構想では、中国とユーラシア全土とを
インフラや、エネルギー、投資、通信、政治、
文化を通じて、つなごうとされていた。

一帯一路の範囲はこのあとさらに広げられ、
中東とアフリカも含まれることになる。

中国は発展の原動力、選ばれるパートナー、
有力な資金提供者、プロモーター、
壮大な戦略家になるという。

中国政府は「一帯一路」(One Belt One Road)の
英語の略称として「BRI」を使っている。

これは「Belt and Road Initiative」の略だ。

新しい世界の資源地図

一帯一路について改めて、調べました。
https://zh.wikipedia.org/wiki/一带一路

中国名の正式名称は、
丝绸之路经济带和21世纪海上丝绸之路
シルクロード経済ベルト21世紀海上シルクロード

一帯一路の地図は、こちら。
https://zh.wikipedia.org/wiki/一带一路#/media/File:One-belt-one-road.svg

2022年2月現在、
148カ国と32の国際機関が協力文書に署名しているとのこと。
参加国はこちら。
https://zh.wikipedia.org/wiki/一带一路#/media/File:Belt_and_Road_Initiative_participant_map.svg

アフリカを超えて、さらに中南米の国も
参加していることがわかります。

中国提供の地図なのに、台湾がグレーなのも
ちょっと気になりますが、
加わっていない国々が少ないことが
よくわかります。
 
これに対抗するのが、
日本、米国、オーストラリア、インドの
「Quad(クアッド)」になります。

一方、AIIBに加わっているのは、
https://www.aiib.org/en/about-aiib/governance/members-of-bank/index.html
89カ国。

こちらには、インド、オーストラリア、カナダや西欧各国も入っています。
なかなか興味深いですね。
https://zh.wikipedia.org/wiki/一带一路#/media/File:Asian_Infrastructure_Investment_Bank_map.svg

さらに詳しく調べようと、中国政府の公式サイトに
たどりつきました。

中国一帯一路網
https://www.yidaiyilu.gov.cn

内容がとても充実していて、
すぐには全体を読みきれないと判断。

概観をまとめられず、ごめんなさい。

最新ニュースは、3月22日

「3月22日、中国-ヨーロッパライナー新郷-西ヨーロッパ線の
最初の貨物列車が、国家新郷経済技術開発区にある
河南現代公共鉄道物流パークから正式に「出航」しました。
(略)
西ヨーロッパ列車は陝西、甘粛、新疆を経て、
最終的にベルギーのリエージュに到着します。

輸送時間を60%短縮し、
コストを70%削減することが期待できます。

200本の列車を運行し、
予想される輸送量は18,000TEU、
貨物重量は20万トンに達し、
貨物額は7億米ドルを超える予定です。 」

中国とベルギーが鉄道でつながったようです。

これって、すごいニュースではないですか?

あなたは、日本が、どのように世界とつながっていくのがよいと考えますか。

20220326 一帯一路_新しい世界の資源地図(8)vol.3359【最幸の人生の贈り方】

中東の国境線のエネルギー

■第一次世界大戦後

第一次世界大戦で4つの帝国──
ドイツ、ロシア、オーストリア=ハンガリー、
オスマン(トルコ)──が崩壊した結果、
欧州と中東の地図は大幅に
描き換えられなくてはならなかった。

その作業に取り組んだのが、
1919年に開かれたパリ講和会議だった。

パリ講和会議で締結されたヴェルサイユ条約では、
国際連盟と「委任統治」制度が設立された。

委任統治制度は、植民地や勢力圏を認めると同時に、
ウッドロー・ウィルソン大統領の唱える
「民族自決」にも配慮した、
いわば妥協の産物だった。

サイクス・ピコ協定から始まった地図作りは、
1920年のセーヴル条約に引き継がれ、
1923年の条約で完了した。

トルコはアラビア語圏の土地を奪われ、
アラブ・シリアとレバノンはともに
フランスの委任統治領になった。

レバノンはマロン派キリスト教徒が
多数派を占める国として、
このときに新たに築かれた。

「メソポタミア」は英国の委任統治領とされ、
アラビア半島は英国の勢力下に置かれた。

パレスチナも英国の委任統治領になった。

これにより、英国はパレスチナに
ユダヤ人の「民族的郷土」を築く責任を負った。

パレスチナのうち、
ヨルダン川の東側のアラブ人地区は分割され、
独自の地域政府を持つトランスヨルダンになった。

トルコでは、聡明な将軍ムスタファ・ケマル
(のちに「トルコの父」を意味する「アタテュルク」の
称号を与えられた)がオスマン帝国政府を打倒し、
世俗化された近代的な共和国を樹立した。

英国政府はオスマン帝国時代の東部3州を
統合して一国にし、自国の委任統治領にしたかった。

当初「メソポタミア」と呼ばれたその国が、
のちにイラクになる。

その国には、モスルのクルド人、
バグダードと中部と西部のスンニ派、
バスラと南部のシーア派が含まれた。

問題は、それらのグループがアイデンティティを
共有していないことだった。

バスラはペルシャ湾や南のインドのほうを向き、
バグダードは東のペルシャとつながり、
モスルは西のトルコとシリアに
視線を送っていた。

国王の候補として目を付けたのは、
アラブの反乱を指揮し、
メッカ太守を父に持つファイサル王子だった。

国民投票の結果、
ファイサル王子がイラク王に即位することは、
賛成票96%という驚くべき得票率で
承認された。

6年後の1927年、イラク北東部で石油が見つかった。

1932年、イラクの委任統治が終了し、
イラクは独立国となった。

■第二次世界大戦後

シリアが完全な独立を果たせたのは、
1946年のことだった。

1948年、イスラエルが独立を宣言した。

4年後の1952年、ナセルはクーデターを指揮し、
丸々と太ったファールーク国王を追放すると同時に、
エジプトを支配していた英国の影響力を排除した。

新しい世界の資源地図

ギリスは、
フランス・ロシアと1916年に
サイクス・ピコ協定
(オスマン帝国領の3国分割案)、

アラブ人と1916年に
フセイン・マクマホン協定
(アラブ独立国家の建設を約束)、

ユダヤ人と1917年に
バルフォア宣言
(パレスチナにユダヤ人国家の建設を約束)
という3つの矛盾した外交を行ったのです。

これが、パレスチナ問題の直接の原因となります。

そして、サイクス・ピコ協定の国境線をなくすというのが
現在のISISに引き継がれていることになります。

地図を見ないと、なかなか理解できないので、
「第一次世界大戦後の西アジア」
というキーワードで、画像を検索してみてください。

あなたは、中東について、どのように理解していますか。

20220327 中東の国境線_新しい世界の資源地図(9)vol.3360【最幸の人生の贈り方】

イランとサウジアラビアのエネルギー

■イランとサウジアラビア

OPEC最大の産油国サウジアラビアと、
主要な産油国の1つであるイランとの現在の争いは、
どちらが中東の地図において優位に立つかの闘いだ。

この対立の宗教的な起源は、
7世紀、預言者ムハンマドの死後に起こった後継者争いにまで遡る。

ムハンマドの義父アブー・バクルか、それとも従兄弟で娘婿のアリーか。

スンニ派は、初代カリフになったアブー・バクルを支持するグループだ。

しかしその正統性にシーア派(「アリーの党」の意)が異を唱えた。

両派は今も互いを異端と見なしている。

1960年代、パフラヴィー二世治世下のシーア派国イランと、
スンニ派国サウジアラビアは、共通の敵に対抗するため同盟関係を結んだ。

中東の囲い込みを狙うソ連、バース党、
アラブ社会主義、そして何より、ナセルとその汎アラブ主義運動が共通の敵だった。

しかし1970年代初頭、英国がペルシャ湾から駐留軍の撤退を決めると、
パフラヴィー二世は米国政府の強力な支援を受けて、
中東の大国たらん、ペルシャ湾の警察官たらんとし始めた。

そのような姿勢がサウジアラビア政府には「権力の亡者」に見えた。

パフラヴィー二世は、性急に近代化を進め、急速な経済成長を図った。

1973年10月に第四次中東戦争が始まると、
原油価格が4倍に高騰し、石油収入が急増した。

石油収入は経済成長を促進したとは言える。

しかし同時に、イランに「資源の呪い」もかけた。

極度のインフレや、貧民街の拡大、浪費ないし非生産的な出費、汚職の横行がそうだ。

その結果、社会の秩序が大きく崩れ、
政治や社会の幅広い層でいっきに不満や反発が強まった。

パフラヴィー二世の最大の敵は、ルッホラー・ホメイニ師だった。

厳格で、一心で、融通が利かない、熱烈なシーア派の信仰を持つ聖職者だ。

ホメイニ師が亡命先からイスラム革命を呼びかけると、
イラン国内はストライキや大規模なデモの頻発で混乱に陥った。

1979年1月、政権が崩壊した。

77歳のホメイニ師は亡命先から帰国し、みずからが「革命の最高指導者」であると宣言した。

11月、パフラヴィー二世ががん治療のため、米国への入国を認められると、
「最高指導者の路線を支持する」狂信的な学生や群衆が反発し、
テヘランで米国大使館襲撃事件が起こった。

学生はその後、米国の外交官ら52人を人質に取って、
444日間、劣悪な環境下で大使館に立てこもった。

現在のイランの政治権力の基盤になっている
憲法を制定したのも、ホメイニ師だ。

憲法の規定──最も保守的なシーア派の聖職者が治めるイスラムの共和国という規定──が
現在もイランの統治の土台になっていることに変わりはない。

イラン革命は中東地域の地政学的な秩序も揺るがし、中東地域の深い亀裂を固定化させた。

ホメイニ師が大きな敵と見なしたのは、
サウジアラビア、1979年にイスラエルと平和条約を結んだエジプトのアンワル・サダト大統領、
「小さな悪魔」イスラエル、「大傲慢」米国だ。

新しい世界の資源地図

ホメイニ師は、
1989年6月3日。86歳で、この世を去りました。

現在の対立が、必ずしも宗教の教義の対立を
原因にしているとは限りませんが、
宗教について理解しておくことは、
大切かと思います。

これを機にイスラム教について学びます。

2020年の各宗教の推計は、
https://worldpopulationreview.com/country-rankings/religion-by-country
キリスト教 23.8億
イスラム教 19.1億
ヒンズー教 11.6億
仏教     5.1億

イスラム教徒が住む地域の出生率が高いことなどから、
2050年には、イスラム教徒とキリスト教徒の数が
急接近すると予測されています。

現在、世界最大のイスラム教国はインドネシアですが、
50年にはインドがヒンズー教徒の優位を保ちつつ、
イスラム教徒の数が世界最多の国になると
予測している調査もあります。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM04H0I_W5A400C1EAF000/
https://www.pewforum.org/2015/04/02/religious-projections-2010-2050/

最大国は中東ではなく、
インドネシアからインドというのも、
興味深いです。

宗派は、全世界に住むイスラム教徒の87%から90%が「スンニ派」で、
10%から13%は「シーア派」と推定されています。

シーア派が多数を占めるのは
イラン・アゼルバイジャン・バーレーン・イラクの4カ国のみ。

そして、各宗派は、さらに分かれています。

国内でも宗派が入り乱れているのが
イラク、イエメン、レバノン、シリアです。

あなたは、イスラム教について、どのように理解していますか。

20220328 イランとサウジアラビア_新しい世界の資源地図(10)vol.3361【最幸の人生の贈り方】

湾岸戦争とイラク戦争

■湾岸戦争

ジョージ・H・W・ブッシュと米国務長官ジェイムズ・ベーカーにとっては、
冷戦時代には考えられなかった34カ国の反サダム連合を築こうとする
切羽詰まった理由になった。

1991年1月に戦端が開かれると、絶え間のない空爆がイラクに加えられ、イラク軍は壊滅的な打撃を受けた。

2月24日、連合国軍が大規模な地上戦に踏み切った。

地上戦はわずか100時間ほどで終わり、イラクの敗戦が確定した。

連合国は目的を達成していた。

イラクを追い出し、イラク軍を完膚なきまでにやっつけたし、クウェートも解放した。

湾岸地域の地図も回復させた。

イラクはもはや身動きできず、制裁と規制の網によって封じ込められていた。

サダムは敗れた。

しかしイラクの国内ではそのようには説明されていなかった。

「最強の科学、技術、軍事の力を総動員して我々に立ち向かってきたが、
敵は怖気づき、バグダードを攻撃できなかった」。

「すべての戦いの母」であるこの戦争は、
イラクとフセイン政権の大勝利に終わったのだ、と。

■911

ジョージ・W・ブッシュが2001年、
大統領に就任した。

その2001年の9月11日、アルカイダの工作員が民間航空機を乗っ取って、ニューヨークの世界貿易センタービルとワシントンDCの国防総省を攻撃し、2977人の命が失われた。

まず最初に、アルカイダをかくまっていたアフガニスタンのタリバン政権に報復した。

次のステップとして、サダムの排除をジョージ・W・ブッシュ政権の一部が進言した。

制裁とイラクの封じ込めが効かなくなってきていた。

しだいに関心は大量破壊兵器に向けられるようになった。

サダムは新たな大量破壊兵器計画を企んでいるに違いないと考えられた。

■イラク戦争

2003年3月20日、「衝撃と畏怖」作戦と名付けられた空爆によって、イラク戦争が始まった。

4月9日、バグダードを占領した。

短期戦のはずが、戦いは長引き、容易ならざるものと化した。

戦果の面では目的を達成できたが、戦後処理は思いどおりにはいかなかった。

戦後の政策は場当たり的で、矛盾し、ほとんど現実の状況に合っていなかった。

イラク軍に対する解体命令は、米国のそれまでの政策を覆すものだった。

60万人以上にのぼる軍人たちが、補償も、年金も、将来の仕事も与えられずに家へ送り返された。

持ち帰ったのは、銃と恨みと、復讐心を搔き立てる怒りだけだった。

「イラク軍を非政治化すればよかったのに、解体したせいで、我々はイラクで最も頼りになる集団を敵に回した」

侵攻から9カ月後、米陸軍の兵士が果樹園の地面に敷かれていた絨毯の下の穴の中からサダム・フセインが現れた。

開戦の根拠である大量破壊兵器は発見されなかった。

それどころか、サダムがじつは前の戦争での警告を真剣に受け止め、大量破壊兵器の開発計画を破棄していたことがわかった。

大量破壊兵器の有無をあいまいにしていたのは、イランへの抑止力のためだった。

サダムはのちに人道に対する罪で死刑を言い渡されて、処刑された。

新しい世界の資源地図

戦争は、勝てば官軍、負ければ賊軍ですが、
イラク戦争の終結はひどいものでした。

対立しているとき、
どちらか一方の主張だけを聞いていると、
大局を見失います。

そんなことを戦争の歴史から
学んでもいいのではないかと考えます。

あなたは、イラク戦争から、何を学びますか。

20220329 湾岸戦争とイラク戦争_新しい世界の資源地図(11)vol.3362【最幸の人生の贈り方】

イラン・レバノン・イラクのエネルギー

■イラン

2018年11月、米国は単独で
対イラン制裁を発動させた。

そこにはイラン産原油の購入に対する
新たな制裁も含まれた。

P5+1のほかの締約国は
米国の離脱を厳しく非難したが、
各国の企業や銀行は制裁にしたがわざるを得なかった。

■レバノン

イラン革命を輸出するための最初の戦場になったのは、
中東の西端に位置し、
地中海に面しているレバノンだった。

政治・武装組織ヒズボラ(「神の党」)は
イランの手引きにより、
レバノンのシーア派コミュニティで結成された組織だ。

ヒズボラはやがてレバノンの支配的な政治勢力に
成長した。

2020年にはヒズボラ主導の連立政権を発足させた。

レバノンはイラン革命の最初の大きな成功例だった。

■イラク

2004年におよそ180億ドルだったイラクの石油収入は、
2014年の初頭には890億ドルを超えた。

2014年の夏、権力の座にしがみついていたマリキが、
とうとう首相を辞任した。

後任には、15歳でアッダワ党に加わった
ハイダル・アル=アバーディが就いた。

首相に就任すると、
マリキ時代の強硬な反スンニ派政策を和らげて、
スンニ派を政府に入れ、
民兵組織をある程度国家の管理下に置くことを主張し、
イラク経済の再建と腐敗の撲滅に取り組み始めた。

米国との関係は改善された。

アバーディはスンニ派アラブ諸国にも接近した。

2014年11月、原油価格が暴落し始め、
イラクは大打撃を受けた。

イラクの歳入は2013年から2016年のあいだに
50%減少した。

イランはイラクの政治や治安機構のすみずみにまで
影響力を及ぼしていた。

そのすべての指揮を執っているのが、
ソレイマニだった。

イランは今後さらにイラク内での地位を強化するため、
民兵組織をレバノンのヒズボラのように
政治・社会組織に変えようと狙っている。

アバーディはISISとの戦いを含め、成果を挙げていた。

しかし、汚職の蔓延と社会サービスの崩壊のせいで
政権への支持は失われた。

国の生産の80%を占め、
イラク経済の中心都市であるバスラで、
2018年、市民による抗議行動が沸き起こった。

投資と仕事の不足、それに
摂氏46度という夏の猛暑を耐えられないものにする
水と電気の不足に対する抗議だった。

2019年、失業や汚職や社会サービスの破綻に対する
抗議行動が再び起こった。

イラクのシーア派の抗議者たちの怒りの矛先は、
イラクを牛耳っているイランに向けられた。

2020年の春の時点で、
イラクはもはや崩壊寸前のように見えた。

2020年5月、ようやく新しい首相が
ムスタファ・アル・カディミに決まった。

新しい世界の資源地図

今回の内容について、調べているなかで、
公安調査庁が国際テロリズム要覧2021というのを
公開しているのを知りました。
https://www.moj.go.jp/psia/ITH/index.html

公安調査庁のページを見たのは、
これが初めてです。

中東地域は、とても多くのテロ組織があることを
改めて知りました。

イランの近況と今後の展望をこのページから追記します。
https://www.moj.go.jp/psia/ITH/situation/ME_N-africa/Iran.html

<<<<<<
●近況
2019年5月,米国の経済制裁の中核である
イラン産原油の禁輸化が完全実施されて以降,
イランの原油輸出量は激減し,
国内経済の悪化が加速した。

同年11月には,
予告なしでのガソリン公定価格の値上げを契機として,
政府に対する抗議デモが全土に広がった。

同デモに伴う死者は1,000人超とも指摘されており,
特に同国内のアラブ地域及びクルド地域で
多くの死者が出たとされる。

国際通貨基金(IMF)によると,
2020年のイランの経済成長率はマイナス5%と,
3年連続でマイナス成長と試算されている。

2020年は,新型コロナウイルスの
感染拡大による経済への影響とも相まって,
それらの地域での住民の窮乏及び不満の高まりから,
民族対立が再燃する可能性もある。

●今後の展望
イランでは,少数民族をめぐる状況に
特段の変化が見られないこと等から,
バルーチ地域,アラブ地域及びクルド地域においては,
引き続きテロの発生が懸念される。

また,シリア及びイラクの情勢の不安定化や
イラン国内の経済的な問題が,
同国の治安情勢に影響を与える可能性もある。

レバノンは、倉庫の大規模爆発のニュースに驚きましたが、
こちらも近況と今後を追記します。
https://www.moj.go.jp/psia/ITH/situation/ME_N-africa/Lebanon.html

<<<<<<
●近況
2020年1月,ハッサン・ディアブ元教育相を
首班とする新政権が発足した。

しかし,同8月,ベイルート港の倉庫において
多数の死傷者を出す大規模爆発が発生し,
その原因として政府の怠慢等を非難する
大規模反政府デモが行われる中,
ディアブ首相は内閣総辞職を表明した。

同10月,ハリーリ元首相が再び首相に指名されたものの,
2021年1月現在,内閣の発足には至っていない。

●今後の展望
レバノンでは,依然として,
ISILによるテロの脅威が継続しており,
同組織の動向には注意する必要がある。

また,米国とイランの対立が
解消される見通しが立たない中,
「ヒズボラ」による中東地域における
米軍施設等に対する攻撃の発生も懸念されることから,
引き続き,同組織の動向にも注意する必要がある。

イラクの今後の展望も追記します。
https://www.moj.go.jp/psia/ITH/situation/ME_N-africa/Iraq.html

<<<<<<
イラク北部及び東部では,
KRGとイラク政府との領有権問題等から,
治安面の連携に影響が出ており,
ISILに活動の余地を与えているとの指摘がある。

さらに,イラク各地で,汚職,失業問題等に
端を発した反政府デモが長期化しているほか,
イラク政府が,KH等親イラン組織による
米軍や米国権益に対する攻撃への対応等に追われており,
同国における安定的な統治の実現には
困難が予想される。

このようなイラクの不安定な情勢に乗じて,
ISILが同国各地で活動を活発化させる可能性もあることから,
ISILの今後の動向に注意が必要である。

今回とりあげた3国は、いずれも政治的に不安定で
特にイランはアメリカの経済制裁により、
苦境に立たされているようです。

生活の安全と経済的な安定は、
平和な生活を送るための基盤であり、
短期的な解決は難しいです。

長期的に見ると、
依然として、石油資源は貴重であるものの、
エネルギー源としては天然ガスやその他のエネルギー源に
転換しつつあり、
他国での石油発掘も増えています。

とても厳しい状況だといえるでしょう。

日本は、イランと友好的な関係を保っており、
今後も継続してほしいとおもいます。

改めて、政治的な安定はありがたいことだと
認識した次第です。

あなたは、3国の歴史と現状から、何を学びますか。

20220330 イラン・レバノン・イラク_新しい世界の資源地図(12)vol.3363【最幸の人生の贈り方】

「アラブの春」から「アラブの冬」へ

■アラブの春

アラブ諸政権の長年の失政に対する
民衆の反乱が始まったのは、
チュニジアで果物を売っていた露天商の青年が絶望し、
焼身自殺したことがきっかけだった。

ソーシャルメディアによる呼びかけで
デモがどんどん拡大した結果、2011年1月、
腐敗した独裁者ザイン・エル・アビディン・ベン・アリが
国外に脱出し、23年に及んだその支配は幕を閉じた。

それから数カ月にわたって、
北アフリカと中東全体で大規模なデモが繰り広げられ、
ソーシャルメディアや衛星テレビに鼓舞された
民衆が街路を練り歩き、広場を埋め尽くした。

これらの運動とそれによってもたらされた政権交代は、
やがて「アラブの春」と呼ばれるようになった。

しかしこの「至福」はほどなく暗転し、
「アラブの春」は「アラブの冬」とも
呼ばれる事態へと移り変わっていった。

■エジプト

エジプトでは2011年1月末、デモの参加者が
カイロのタハリール広場に
ぞくぞくと集まってきた。

最終的に100万人に達した。

エジプトの大統領の座に30年居座っている
82歳のホスニ・ムバラクを追い落としたい
という思いで団結していた。

その年のうちに急いで実施された選挙では、
まともに組織化された政治団体が
ムスリム同胞団しかなく、
その候補者ムハンマド・ムルシが
僅差で勝利を収めた。

2013年、ムバラク政権の退陣2周年の日、
ムルシの権力掌握に抗議するデモが
タハリール広場で開かれた。

その規模は前回をも上回った。

デモは成功し、ムルシは辞任に追い込まれた。

跡を継いだのは軍のトップ、
アブドゥルファッターハ・エルシーシだった。

ホスニ・ムバラクの退陣は地域のパワーバランスに
劇的な影響を与えた。

危機に米国が当てにならないと感じた湾岸アラブ諸国は、
イランが中東全体に部隊を展開している状況にあって、
自分たちの脆弱さをいっそう強く意識させられた。

■リビア

カイロのタハリール広場でのデモ後、リビアでも、
42年権力の座にある気まぐれな独裁者
ムアンマル・カダフィの政権に対して、
抗議行動が沸き起こった。

抗議行動はたちまち内戦に発展した。

2011年10月、カダフィは逃亡中、
空爆を避けようとして排水溝に身を隠し、
そこで殺された。

きわめて個人色の強かったカダフィの支配は、
制度の面ではあとにほとんど何も残さなかった。

武器はどこにでもあり、
内戦は民兵組織や犯罪集団同士の抗争と化した。

一方で、ISISがリビアの地中海沿いに
拠点を築いていた。

2012年9月11日、ベンガジの米国領事館が襲われ、
駐リビア大使クリス・スティーヴンスをはじめ、
複数の米国の職員が殺害された。

翌日には近くにあったCIAの施設が攻撃されて、
さらに2人の米国人が犠牲になった。

リビアは地図上では存在していたが、
もはや国民国家の体をなしていなかった。

■バーレーン

2011年の「アラブの春」以降、
バーレーンのシーア派反政府勢力の一部が
イランの「抵抗の枢軸」に加わり、
イランはバーレーンでの反政府活動の支援に
いっそう力を入れるようになった。

2017年には、バーレーンのおもな収入源である
サウジアラビアの油田と
バーレーンの製油所をつなぐパイプラインが
爆破された。

■シリア

2019年10月、
トランプ大統領がトルコのエルドアン大統領との電話後、
突然、米軍の撤退を発表した。

この内戦でシリアの人口2200万人のうち、
50万人が死亡し、600万人以上が国内で避難し、
500万人が難民として国外へ逃れたと推定されている。

合計すると、じつに国民の半数以上だ。

影響は中東の外にも及んだ。

■イエメン

イエメンでも、首都サヌアで2011年、
「アラブの春」に刺激された大規模な街頭デモが発生した。

2015年3月、フーシ派のアデン占拠が間近に迫ると、
サウジアラビアとアラブ首長国連邦は
「決意の嵐」作戦を実施した。

陸空軍の投入と海上封鎖からなる作戦だった。

当初は数カ月どころか、
数週間で終わると考えられていたが、
戦争は長引いた。

多数の民間人が死に、
何百万もの人が避難を余儀なくされ、
それ以上に多くの人が餓死の危険や、
水道・電気・医療などの公共サービスの崩壊や、
コレラやジフテリアの蔓延にさらされた。

そこへ新型コロナウイルスの流行が
追い打ちをかけた。

2017年には、サレハが「新しいページを開く」ため、
おそらくは再び寝返るため、
サウジアラビア政府と接触しようとしていた。

サレハはフーシ派をイランの操り人形と非難して、
国外への脱出を図った。

しかし、検問所でフーシ派の民兵に呼び止められて、
射殺された。

国連が調停に取り組み、
断続的に停戦に向けて働きかけているが、
イエメンは「カオス国家」と呼ばれるほどの状態だ。

もはや国家として機能していない。

2019年には、アラブ首長国連邦が
共同作戦からの離脱を表明した。

■イラン革命の広がり

イラン革命記念日の集会で、
ソレイマニは次のように宣言した。

「イラン革命が地域全体に広がっていくのを
我々は今、目の当たりにしている。

バーレーンとイラクから、シリア、イエメンへ、
そして北アフリカへと」。

新しい世界の資源地図

引用が長くなってしまいましたが、
アラブの春以降、各国で何が起こったのか、
私がきちんと理解していなかったためです。

どうやら、この時期に、湾岸アラブ諸国からは
危機に米国が当てにならないと感じたようです。

そして、イランが影響力を増しているようです。

さて、エジプトについて改めて調べてみると
外務省のページは、
2018年3月のエルシーシ大統領が再選(2期目)
で、更新が止まっています。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/egypt/data.html#section1

Wikipediaで調べると
https://ja.wikipedia.org/wiki/アブドルファッターフ・アッ=シーシー
<<<<<<
2019年4月には大統領の任期を
現在の4年から6年に延長することなどを柱とする憲法改正案が
議会、国民投票の両方で承認された。

シーシーの大統領の任期は2024年までであり、
これが2期目ではあるが、さらにもう1期6年延長し、
2030年までの大統領続投も可能とする内容も
含まれている。
>>>>>>

とありますので、長期政権になりそうです。

また、2019年度アフリカ連合議長を務めています。

残念ながら、アラビア語は、迷子になってしまうので、
エジプトの調査はここまで。

リビアは、2021年3月に暫定国民統一政府が成立。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/libya/data.html#01

2020年の11月に、
2021年12月24日(独立記念日)に国政選挙を実施することで
合意したとあります。

2021年に11月に90人以上が立候補したと伝えられていますが、
選挙の12月の実施は不可能と判断。

2022年1月に延期したものの、さらに
治安を維持し不正のない選挙を実施するには
あと9か月は必要であるとのこと。
https://www.scgr.co.jp/report/survey/2022021051956/

いまなお分断が続いているようです。

バーレーンの外務省のページでは、
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/bahrain/data.html#section1

2020年9月にイスラエルと国交正常化。
2020年11月11日、ハリーファ首相が薨去。
その後、ハマド国王の長男であるサルマン皇太子が首相を兼務。

日本は定期的に協議を続けていて、
最近は、2020年10月に政策協議と安保対話が
オンラインでされています。

シリアは、UNHCRのGLOBAL TRENDS 2020によると
https://www.unhcr.org/60b638e37.pdf
世界で最も多い難民は、シリア出身で、670万人。

ちなみに、昨日のニュースで、
ウクライナ難民は400万人を超えたと
発表がありました。

外務省のページによると、
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/syria/data.html#section1
<<<<<<
2021年5月には大統領選挙を現行憲法に基づき実施し、
アサド大統領が約95%の得票率で再選を果たした。

アサド政権が国土の多くを回復しその優勢が自明となる中、
最近では、10年ぶりとなるヨルダンとの
首脳電話会談の実施(2021年10月)や
アラブ首長国連邦外相によるダマスカス訪問(同11月)等、
一部アラブ諸国によるシリアとのハイレベルでの
関係再構築の動きが見られる。

一方、主要西側諸国は、
アサド政権による化学兵器使用や人権蹂躙行為等を理由に、
シリア政府への再関与には慎重な姿勢を維持している。
>>>>>>

難民が帰国したいと思うような国になるには、
まだまだ時間がかかりそうです。

イエメンの外務省のページはこちら。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/yemen/data.html#section1

<<<<<<
2019年 11月 イエメン政府と南部移行評議会が、
サウジアラビア政府の仲介により、リヤド合意に署名。

2020年 12月 リヤド合意に基づき新内閣が成立。

全人口の8割にあたる約2,400万人が
何らかの人道支援と保健を必要としている。

特に、食料、医療、衛生状況は深刻で、
約1,000万人が慢性的な食料不足状態にある。
>>>>>>

とあり、日本は、2017年以降、
毎年、5,000万ドル前後の人道支援を行なっています。

wikipediaのページを眺めていて、驚いたのは、
『男女格差』の2019年版で、イエメンが最下位。

女児の結婚最低年齢に関する法律がなく、
9歳未満の女児との結婚も可能で、
これにより、人命が失われているとのことでした。

なんと、次に寄附を追加するときは、
もし選べるなら、イエメンの女の子にしようと決めました。

ちなみに、最新のGlobal Gender Gap Report 2021によると、
https://www3.weforum.org/docs/WEF_GGGR_2021.pdf
156カ国中最下位は、新規に追加になったアフガニスタン。
日本は、120位。

あなたは、アラブの春とその後の状況から、何を学びますか。

20220331 「アラブの春」から「アラブの冬」へ_新しい世界の資源地図(13)vol.3364【最幸の人生の贈り方】

「東地中海」の台頭

1999年、天然ガス田がイスラエルの南部沖で発見された。

2009年、イスラエル北部沖80キロほどの海域で、
世界的な規模の天然ガス田「タマル」を発見した。

さらに、イスラエル沿岸から約130キロの沖合にある
別の巨大ガス田「レビアタン」の発見につながった。

過去10年間で世界最大級の発見だった。

イスラエルの電力の60%は現在、
国内の天然ガスでまかなわれている。

ノーブル・エナジーは「レビアタン」のほかに
「アフロディーテ」という大規模な天然ガス田も
発見している。

この天然ガス田はキプロス共和国の領海にあり、
「レビアタン」の北西約29キロに位置する。

さらに2012年、エジプトの領海で
「ゾフル」と呼ばれる巨大な天然ガス田を発見した。

天然ガスを必要とするようになっていたエジプトが、
150億ドルの天然ガスの購入契約を
イスラエルと結んだことを発表した。

2019年の大晦日、「レビアタン」で生産が始まった。

イスラエルはすぐにエジプトへの天然ガスの輸出を
開始した。

エジプトは現在では天然ガスを自給しているので、
イスラエルの天然ガスは、
長らく稼働していなかった液化プラントを再稼働させ、
LNGの輸出事業を再開させるために利用される。

ギリシャ、イスラエル、キプロスの3カ国が、
東地中海の天然ガスをギリシャとイタリアに輸送する
全長約1900キロの海底パイプラインを
建設することで合意している。

この計画にはトルコがすぐさま反発した。

パイプラインが(トルコの主張では)同国の領海を
通過することになるからだ。

欧州向けの天然ガスだけでなく、LNGによって、
世界市場向けの天然ガスの供給地になる可能性もある。

新しい世界の資源地図

東地中海ガスフォーラム(EMGF)が2020年に設立され、
今では、エジプト、キプロス、ギリシャ、
イスラエル、イタリア、ヨルダン、パレスチナ、
フランスの8カ国が参加しています。
https://emgf.org

さらにオブザーバーとして、
アメリカ、世界銀行、EUが入っています。

トルコは、イスラエルと対立してきましたが、
「イスラエルがパレスチナに慎重であれば、
関係改善に意欲を示す」、という
2021年12月のニュースを発見しました。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/12/235ea44a96165966.html

となると、トルコとイランの関係は?
と気になったので、調べてみると、、、
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022022000137&g=int

<<<<<<
イスラエルを敵視するイランとの間では
隙間風が吹き始めた。

イランは1月、トルコへの天然ガス輸出を
「輸送上の技術的な問題」で一時停止。

トルコでは国内の工場が操業中断を
余儀なくされる混乱が生じた。
>>>>>>
とあります。

東地中海の地政学も
大きく変わろうとしているようです。

イスラエルが、ウクライナやアメリカから
圧力をかけられても、
なぜ、ウクライナへの武器供与に応じないのか、
ロシアを刺激することにより、
シリアやイランが危険な動きをする可能性を
警戒しているとも書かれています。

世界のエネルギー事情は、
石油から天然ガスへ軸足を移しているというのが、
東地中海からも伺えました。

あなたは、東地中海の天然ガス田の動きから、何を学びますか。

20220402 「東地中海」の台頭_新しい世界の資源地図(14)vol.3366【最幸の人生の贈り方】

ISIS

■「イラクのアルカイダ」からISISへ

アルカイダの系列組織の1つに、
「イラクのアルカイダ」という組織があった。

この組織は残忍な行為で知られ、
「不敬虔な」イスラム教徒の殺害を正当化する
「タクフィール」の主唱者ザワヒリでさえ、
イスラム教徒を殺し過ぎだと批判するほどだった。

その後、「イラクのアルカイダ」は
「イラクのイスラム国」に名称を変え、
過去100年の地図を消去し、
国境も地図もいっさい認めないカリフ制を
樹立することを使命に掲げた。

シリアの内戦による混乱が
イスラム国に新たな活動の場を与えた。

イスラム国は再び名称を変え、
「イラクとシリアのイスラム国」(ISIS)と
名乗るようになった。

ISISは一部からは
ISIL(「イラクとレバントのイスラム国」)とも呼ばれる。

ISISはシリア中北部の都市ラッカを制圧すると、
イラクとシリアの中継地をなしている同市を
「首都」に定めた。

ラッカでは都市の運営部門をいくつも設立して、
戦闘や人殺しだけでなく、
行政業務も担えることを示し、
納税を証明する印紙まで発行した。

2013年のあいだに、ISISはイラクで暗殺を繰り返し、
ISIS討伐の先頭に立ちうる有力な指導者を消していた。

そのうえで2014年1月、
シリアから国境を越えてイラクに侵攻し、
ラマディとファルージャの2都市を攻め落とした。

6月6日、ISISはイラク第3の都市モスルへの攻撃を始めた。

5日もせず、モスルは完全にISISの手に落ちた。

市内の銀行にあった何億ドルという現金も
ISISのものになった。

ISISがバグダードのすぐそばまで迫ってくると、
首都はパニックに陥った。

ISISはバグダードの次は、
シーア派の聖地ナジャフとカルバラを狙うと宣言した。

これはイラク南部の大油田が
危機にさらされていることを意味した。

ISISによるバグダードの占領を防いだのは、
ソレイマニのゴドス部隊と合流したり、
連携したりして、
いっきに増強したシーア派の民兵組織だった。

今やシリアの中北部からイラクのモスルまで
(これはロンドンからエディンバラまでの
距離に匹敵する)の一帯と、
そこに暮らす800万人の人々がISISの支配下にあった。

彼らはイスラム国に経験と組織と戦略をもたらすとともに、
激しい憎悪と復讐心を注入した。

2014年7月、
モスルの大モスクの演壇に立ったバグダディは、
新しいカリフ制の樹立を宣言した。

国民国家と違い、カリフ制に国境はなかった。

代わりにあるのは、イスラム教徒の領域であり、
その領域は軍事力すなわちジハード(聖戦)によって守られ、
拡大されるべきものとされた。

ISISは、世界史上最も資金の豊富な
テロ組織にも成長していた。

一時、その収入は年10億ドルにも達した。

収入の大半を占めるのは、石油収入だった。

大部分は国外に持ち出されて、
トラックでおもにトルコに密輸された。

石油以外には、課税、通行料、盗み、強奪、
没収、古美術品の略奪、湾岸諸国の共鳴者からの出資
という収入源もあった。

この潤沢な資金のおかげで、ISISは戦闘員たちに、
ライバル組織や故郷での仕事から得られるよりも
多くの報酬を支払うことができた。

ISISはプロパガンダと卓越したソーシャルメディアの
スキルを使って、世界にも手を広げた。

ソーシャルメディアは
ISISの強力な勧誘のツールになった。

ISISへの加入者は、
イスラム世界でも欧州でも急増した。

ISISの外国人部隊の隊員数は一時、3万人を超えた。

ISISは2017年までに支配下に収めた
その地域の物理的な広さによって、
アルカイダを凌駕する威信を獲得した。

■米国とイラク人とクルド人の反撃

2015年末、米国がISISと戦う
イラク人とクルド人の部隊を支援するため、
イラクに特殊部隊を派遣し始めた。

数カ月後、イラク軍が
ラマディとファルージャの奪還を成し遂げた。

さらに9カ月に及ぶ市街地での激しい戦闘の末、
イラク政府はモスルの解放を宣言した。

2019年3月、ISISがシリア東部に残された
最後の支配地を失った。

カリフ制はここに消滅した。

とはいえ、ISISが活動をやめたわけではなかった。

新しい世界の資源地図

公安調査庁の
世界のテロ等発生状況のページを見てみます。
https://www.moj.go.jp/psia/terrorism/index.html

中東では、2022/1/20にシリアで、
ISILが収容所を襲撃しています。

2021/10/20にはシリアの首都ダマスカスで、
シリア政府軍のバスが爆弾で爆発。
これは、ISILではなく、「カシオン旅団」の犯行。

同様にアフリカにもISILの影響力は及び、
コンゴやウガンダでもテロが発生しています。

アフガニスタンでは、
ISIL、タリバンの犯行がたびたび行われています。

ISISの創設者バグダディの死亡後、
後継者の地位についたアブイブラヒム・ハシミ・クライシは、
2022/2/3に米軍に急襲され、自爆したとのこと。
https://www.cnn.co.jp/world/35183097.html

公安調査庁:イラク・レバントのイスラム国(ISIL)を見ると、
https://www.moj.go.jp/psia/ITH/organizations/ME_N-africa/ISIL.html#Khorasan

ISISの幹部の主要メンバーは、
ほとんど死亡したことになります。

組織図は、初めてみました。

カリフの下に、弁務官委員会とシェーラ評議会があり、
その下に、局・委員会、州、官庁があります。

このページの下の方に、ISIL関連組織の地図があります。

中東から広がり、東南アジア、中央アフリカなど
広い範囲で活動していることが伺えます。

まだまだ解決までには時間がかかると考えられます。

あなたは、テロ組織が活動したくなくなるような世界はどんな世界だと考えますか。

20220403 ISIS_新しい世界の資源地図(15)vol.3367【最幸の人生の贈り方】

サウジアラビアとアラブ首長国連邦のエネルギー

■サウジアラビアの「1979年に始まった時代」

皇太子が「1979年に始まった時代」に言及した大きな意味はここにある。

というのも、その年、突然、サウード家の王国に敵が現れたからだ。

メッカの大モスクが狂信者たちに占拠され、その後、数週間、戦闘が繰り広げられたことは、王国の指導層に衝撃を与え、その自信を揺るがした。

サウード家は大モスクの管理者であり、守護者だった。

イスラム教との関係はサウード家のアイデンティティの土台をなしていた。

さらに、ホメイニ師の神権政治が敷かれた好戦的なイランからも、大きな脅威がもたらされた。

ホメイニ師はアラブの君主国の打倒、ことに「大悪魔(つまり米国)の手先」であるサウジアラビアの打倒を呼びかけていた。

サウジアラビアはこのような宗教的な威信への挑戦に対して、宗教色を強めることで応じ、国の統一を強化する手段として再び原理主義のイスラム教を取り入れた。

サウジアラビアはアフガニスタンでソ連と戦うムジャヒディンに、米国とともに資金を提供した。

また世界中でシーア派イランに対抗する活動も繰り広げた。

サウジアラビア政府が宗教教育や布教に注ぎ込んだ金は何百億ドルという額にのぼる。

しかしやがて、原理主義のイスラム教を広めるために費やされた金は、過激派やジハード主義を育むことにもなった。

とてつもない石油収入の急増は、現在にいたるまでサウジアラビアの特徴になっている福祉国家型の経済を誕生させた。

わずか10%だった識字率はいっきに80%を超えた。

潤沢な石油収入があるうちは、このシステムはうまく機能していた。

しかし、2014年の原油価格の暴落で石油国家の弱さがあらわになった。

そのうえ2015年3月からは、イエメンとの戦争の費用も大きくかさんだ。

サウジアラビアは在来型石油の世界最大の埋蔵量を有し、今後も世界で最もコストの安い生産者であり続けるだろう。

したがって長期にわたって競争優位を保つだろう。

しかしサウジアラビアは今、「世界の石油離れ」の可能性にも直面する。

加えて、中東の石油にはコストの安さという強みがあるとはいえ、米国のシェールオイルをはじめ、競争相手も増えている。

目に見える一番の社会改革は、女性の自動車の運転が解禁されたことだった。

2018年6月の解禁により、女性の運転を禁じている世界で最後の国という汚名がすすがれた。

■アラブ首長国連邦

10年早く、隣国アブダビでやはり「ビジョン2030」が掲げられており、それが経済の多様化の先駆をなした。

アブダビはアラブ首長国連邦を構成する七首長国の一国だ。

1971年、英国軍の湾岸からの撤退によって誕生した。

首長国の中ではこのアブダビとドバイの二国が最もよく知られている。

アブダビは七首長国の中で最も大きく、また、石油のおかげで最も豊かでもある。

アラブ首長国連邦は海に面しており、石油以前から歴史的に地域の交易網の一部だったことが、開かれ、世界経済と統合されていることの理由としてしばしば引き合いに出される。

内閣に寛容担当大臣がいるというめずらしい国──おそらく世界で唯一の国──でもある。

1966年以来アブダビを統治し、1971年にアラブ首長国連邦を結成したザーイド・アル・ナヒヤーン首長は、いつまでも石油に依存することはできないと常々警告していた。

そのような考えからナヒヤーンが創設したのが、アブダビ投資庁(ADIA)だ。

アブダビ投資庁は現在、推定8000億ドル以上の資産を有し、世界第2位の政府系ファンドと目されている。

さらにもう1つの大きな新計画は、2007年に立ち上げられ、全体の戦略を描き出した「ビジョン2030」そのものだ。

国の発展のためには、収入基盤を多様化し、技能を向上させ、雇用を創出し、経済への女性の参加を増やすことが必要だというメッセージがそこには込められていた。

成果は予想されたより早く現れた。

20年前、アブダビのGDPは、ほぼすべて石油関連によるものだった。

それが現在、GDPの60%が石油関連以外からもたらされている。

■サウジアラビアの「ビジョン2030」

サウジアラビアの「ビジョン2030」は、経済の多様化に留まらず、国の変革を目指している。

サウジアラビアの軍事費は現在、米国と中国に次いで世界第3位だ。

僅差でロシアを上回っている。

2011年以降、米国の最大の武器の購入国でもある。

「ビジョン2030」では軍事産業を発展させ、軍装備品への支出の50%を「国内化」するという野心的な目標が掲げられている。

最優先課題に位置付けられているのは、民間部門の雇用を創出し、政府支出への依存を減らすことだ。

サウジアラビアの国民には、仕事がないわけではない。

しかしその大半が政府部門の仕事だ。

民間部門の仕事は一般に給料が低く、人気もない。

そのような仕事は一時ビザで働く「外国人労働者」、普通、パキスタンや、インド、バングラデシュ、エジプト出身のイスラム教徒か、フィリピン人に担われている。

それらの労働者は国籍を取得することはできない。

■カタール

2017年6月5日、サウジアラビアとアラブ首長国連邦が突然、カタールとの外交関係を断絶し、国境の閉鎖と通商の停止を発表した。

この動きにエジプトとバーレーンも同調した。

カタールが相変わらずイスラム過激派に資金と活動拠点を提供し、イランと通じているというのが、サウジアラビアとアラブ首長国連邦の言い分だった。

カタールはとても豊かな国であり、サウジアラビアから輸入していた食品をすぐに別のものに切り替えた。

中東地域における役割とオスマン帝国の使命を拡大しているトルコは、ここぞとばかりカタールに数千人を派兵し、基地を築いた。

カタールではイランからの食料の輸入が急増し、イランはアラブの隣国から空域の通行を禁じられたカタールに、自国の空域を開放した。

石油収入より天然ガスのほうがはるかに重要であるカタールは、OPECを脱退した。

カタールには米空軍の大規模な基地があり、1万人の米兵が駐留している。

カタールは、米軍に欠かせない。

米国の中央軍の前線司令部もカタールに置かれている。

新しい世界の資源地図

サウジアラビアについても、
最新状況を確認しました。
(アラビア語で確認することはできないのですが)

外務省のページによると、
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/saudi/index.html
日本ではとても重要な国として、
皇室、首相、大臣がたびたび訪れています。

今年2月と3月には、岸田首相が、
ムハンマド皇太子と電話会談を行っています。

2017年に、「日・サウジ・ビジョン2030」が策定され、
2019年には、2.0改訂版も取りまとめています。
https://www.meti.go.jp/press/2019/10/20191024005/20191024005-1.pdf

その内容は非常に多岐にわたり、
「多様性」、「イノベーション」、「ソフトバリュー」
の3本柱の下で、
「競争力のある産業」、
「エネルギー」、
「農業」、
「中小企業」、
「文化・スポーツ」といった9つのテーマを設定し、
幅広い分野をカバーしています。

協力プロジェクトは69、参画する省庁・機関は65です。

一方、アメリカとの関係は、悪化しているようです。

3/9のニュースでは、
サウジアラビアのムハンマド皇太子と、
アラブ首長国連邦アブダビ首長国のムハンマド皇太子は、
バイデン氏との会談を拒否したと伝えられています。

この関係悪化の発端は、2018年イスタンブールで起きた、
サウジ人記者の殺害事件をきっかけに起こりました。

そして、サウジとUAEの両皇太子は
バイデン氏との会談を拒否した後、
ロシアのプーチン大統領と電話で会談し、
その後、ウクライナの大統領とも会談したとのこと。

さらに、サウジと中国が原油輸出を
人民元建て契約で行おうと協議しているという
ニュースも入っています。
https://www.wsj.com/articles/saudi-arabia-considers-accepting-yuan-instead-of-dollars-for-chinese-oil-sales-11647351541

サウジアラビアの国際関係は、
日本にとっても大きな影響があり、
今後も注視していく必要があります。

そして、、、

「国が変化しなければ、
若者たちの仕事は不足する。

そうなれば若者たちは不満を募らせ、
過激派の思想に染まったり、
社会から背を向けたりしやすくなる。」

という考え方は、日本でも大切ではないでしょうか。

若者の可能性を大切にすることが、
安定な社会のためにとても重要だと考えます。

あなたのまわりの若い人たちはどんな将来を描いていますか。

20220404 サウジアラビアとアラブ首長国連邦_新しい世界の資源地図(16)vol.3368【最幸の人生の贈り方】

新型コロナウイルスの感染拡大と石油業界

■2020年3月終わり 新型コロナウイルスの世界的な大流行

3月初めの時点で、完全に理解されていなかったのは、市場シェアをめぐる争いが、やがて新型コロナウイルスのせいで急速に縮小する市場の中で展開されることになることだった。

中国での大流行は、しだいに世界的な大流行へと発展していった。

3月初めと3月の終わりとでは、まるで違う星に来たかと思うくらい、世界のようすが変わっていた。

消費の崩壊が本格的に始まったのはこのときだった。

石油の需要がこれほどまでいっきに落ちたことは、過去になかった。

世界経済のほかの部門同様、石油・天然ガス産業も深い危機に陥った。

米国では、石油会社が慌てて予算を削減し始めた。

しかし市場の動きはもっと速かった。

3月末には、3カ月前に1バレル63ドルだった原油価格が1バレル14ドルまで下がっていた。

皮肉にも、2020年2月に米国の産油量は過去最高となる日量1300万バレルを記録していた。

しかし3月には、掘削リグの稼働停止と予算削減から、米国の産油量が減少に転じるのは明らかだった。

石油産業の苦境と雇用の消失は米国経済に大打撃を与えた。

原油価格の崩壊によって「米国経済は失速」し、エネルギー部門だけでなく「すべて」の部門で投資支出が減少するだろうと、ダラス連邦準備銀行は警告した。

ガソリンの消費は米国で約50%、欧州で65%下落した。

いくらガソリンの値段が下がっても、どのみち運転しないのでは、ドライバーたちにはあまり意味がなかった。

原油価格の下落は今や、国家の安全保障に関わる問題、トランプの言葉を使えば、戦略産業をいかに「壊滅」から守るかの問題だった。

さもなくば、トランプ政権がかねてから掲げ、柔軟な外交政策の支えにしてきた自慢の「エネルギーでの優位」は崩れ去る。

トランプは得意の作戦に打って出た。

電話交渉だ。

このときにはサルマン国王から、MBS、ウラジーミル・プーチン、各国の首脳まで、片っ端から電話をかけた。

■2020年4月 ロシア、サウジアラビア、米国

サウジアラビアは「米国のドナルド・トランプ大統領の要望に応える」と言って、産油国に緊急会合を呼びかけた。

4月3日には、プーチンがビデオ会議で、ロシア、サウジアラビア、米国の三国は「いずれも市場の長期的な安定のため、協調行動をとる用意がある」と発言した。

プーチンはさらに、原油価格の崩壊を招いたのは新型コロナウイルスだと述べたうえで、「サウジアラビアがいわゆるシェールオイルを生産する競争相手を市場から排除しようとしたこと」も原因だと、あからさまな批判を付け加えた。

ロシアとサウジアラビアは、自分たちが減産するなら、米国にも同じように減産してほしいと主張した。

米国の制度では、大統領にそのような権限は与えられていない。

個々の州がそれぞれの州内の生産を管理している。

しかし米政権が強調したのは、米国では経済と市場によって、つまり価格の下落によって生産が減るという点だった。

シェールオイルはショート・サイクルだ。

つまり、生産が増えるのも速いが、減るのも同じように速い。

掘削が続かなければ、すぐに減る。

■2020年4月 貯蔵の限界

各国が増産に踏み切ったが、原油は売れ残った。

買い手は業務を停止していた。

消費者のもとに届かない石油は、貯蔵タンクに蓄えておかなくてはならない。

しかし、世界中で貯蔵タンクが急速に満杯に近づいていた。

それは陸上だけではなかった。

使用可能なタンカーがすべてチャーターされ、原油の輸送のためだけではなく、洋上の貯蔵タンクとして使われていた。

4月10日、G20のエネルギー相会合が開かれた。

「世界のエネルギー市場を安定させなくてはならない」と、米国のエネルギー長官ダン・ブルイエットは述べた。

この時点ではすでに、大型合意の準備はほぼすべて整っていた。

ただしOPECプラスの一国だけ、首を縦に振っていなかった。

メキシコだ。

夜間まで電話がかけられ、メキシコの理解も取り付けると、トランプと、プーチンと、サルマン国王も加わった電話会議によって合意が成立した。

この合意は石油をめぐる新国際秩序の到来を告げていた。

それはOPECと非加盟国によってではなく、米国とサウジアラビアとロシアによって築かれた秩序だった。

合意は確かに画期的だったが、それでもまだ足りなかった。

需要の下落がそれ以上に深刻だったからだ。

先物市場では、その特有の仕組みゆえに原油価格が1バレル1セントまで下がって、ついに4月20日には「マイナス」になった。

つまり、どこにも行き場のない原油の現物を引き受けなくてはいけなくなった投資家が、その日、お金を払って買い手に原油を引き取ってもらったということだ。

■2020年5月 原油の大幅減産

5月1日はOPECプラスの大型合意が実行に移された日でもあった。

サウジアラビアとロシアをはじめとする産油国が大幅な減産を始めた。

市場要因の削減が一番多かったのは米国で、次いでカナダだった。

5月には、OPECプラスによる減産と市場による削減を合わせて、日量1300万バレルの原油が世界の原油市場から消えた。

新しい世界の資源地図

最新の状況はどうなっているのか、
調べてみました。
JOGMEC 石油・天然ガス資源情報
「原油市場他:基準原油生産量引き上げに伴い
OPEC及び一部非OPEC(OPECプラス)産油国が
2022年5月につき前月比で
日量43.2万バレル減産措置を縮小する旨決定」
https://oilgas-info.jogmec.go.jp/info_reports/1009226/1009314.html

ポイントをまとめると、
・2021年8月以降毎月前月比で縮小しながらも
減産措置を実施。

・原油価格は3月8日に1バレル当たり123.70ドルと
2008年8月1日以来の高値。
これは、米国のバイデン大統領が
ロシアからの原油等の輸入を禁止する旨
発表したことによる。

・これにより、一部の石油消費国は
サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)等に対し
増産の働きかけをおこなった。

・一方、3月のロシアのからの原油生産量は
むしろ前月比で増加している。

・3月31日の原油相場は、1バレル当たり100.28ドル。

そのほかの背景として、以下のこともあげられています。

・中国が秘密裏にロシアから原油を輸入しているうえ、
インドもロシア産原油購入を活発化している他、
一部の石油商社が原油の売買を実施していると言われており、
今後もロシア産原油が中国及びインド等に向け輸出されることが
考えられる。

・イラン核合意正常化によるイラン原油供給拡大も考えられる。

・イエメン内戦により、
サウジアラビアやUAEへの攻撃がしばしば行われている。

新型コロナウイルスの感染状況もまだ落ち着いていない中、
経済もしばしば制限がかかる中、
需要を予測するのは、誰にとっても困難です。

エネルギー資源から、世界を眺めると、
こんなふうに見えるのかと
目からうろこの情報がたくさんありました。

あなたは、コロナ前に比べて、自動車や飛行機の使用量がどれだけ減りましたか。

20220405 新型コロナウイルスの感染拡大と石油業界_新しい世界の資源地図(17)vol.3369【最幸の人生の贈り方】

電気自動車

■世界への普及

2019年、米国の新車の販売台数に占める電気自動車の割合はわずか3%以下だった。

●ノルウェー

現在、世界で一番電気自動車やプラグイン・ハイブリッドが普及しているのはノルウェーだ。

2019年には販売台数の45%を占めた。

●中国

2009年、中国が米国を抜いて、世界最大の自動車市場になった。

その後も、さらに米国との差を広げ続けている。

中国政府は、国内で販売される新車の5台に1台を2025年までに「新エネルギー車」にしたいという考えだ。

中国にも電気自動車を唱導する大物がいる。万鋼だ。

現在、中国では国産の電気自動車が100車種以上販売されている。

開発は、中国政府が掲げる三大目標にもかなう。

第1には、しばしば息苦しくなるほどの大気汚染の改善が期待できる(ただし、石炭を使った発電量の分だけ効果は減ずる)。

第2には、エネルギー安全保障の強化につながる。

第3には、世界的な競争力の獲得だ。

中国のリチウムバッテリーの生産量はすでに世界の4分の3近くに達している。

2017年末の時点で、都市部の路線バスの半分以上がすでに電気バスに切り替わっている。

北京では、ガソリン車のナンバープレートの抽選倍率はきわめて高く、907倍だ。

しかも運よく当選しても、1万3000ドルというかなり高額の交付料を支払わなくてはいけない。

しかしこれには特例が設けられている。

電気自動車の購入者は抽選を免除され、自動的にナンバープレートを取得できる(待たされることはあるが)。

そのうえ交付料もかからない。

2019年、中国国内の電気自動車の販売台数はおよそ100万台に達した。

これは国内の新車販売台数の4%、世界の電気自動車の販売台数の半分以上に相当する。

●インド

インドでも、国内のありとあらゆる場所を走っている二輪や三輪や四輪の自動車を電動化しようとする気運が高まっている。

しかし近年は、都市の大気汚染を改善するため、電気自動車よりも圧縮天然ガス(CNG)や、農業廃棄物から作られるバイオ燃料に重点が移されている。

●英国

英国は、2040年までにガソリン車とディーゼル車の新車の販売を禁止する計画を発表した。

2020年、英政府はさらに、その禁止の実施時期を2035年に前倒しすることを発表した。

●フランス

フランス政府も、新しいフランスの「真の革命」を約束し、2040年までに国内におけるガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止すると表明している。

■電気自動車の大衆化の妨げになっている2つのこと

電気自動車の大衆化の決定的な妨げになっていることが2つある。

1つは、バッテリーだ。

内燃機関の自動車に対抗できる競争力を獲得するには、1キロワット時当たり100ドル程度にまで値段を下げる必要があると言われている。

マサチューセッツ工科大学の最近の研究によると、それには2030年までかかるという。

世界では今、新しいバッテリーの生産工場が目を見張るほどの勢いで増えている。

しかしバッテリーの原料のサプライチェーンをめぐる懸念もある。

強気のシナリオでは、電気自動車のリチウム需要は2030年までに1800%上昇し、世界のリチウムの総需要の約85%を占めるようになる。

バッテリーのもう1つの重要な原料であるコバルトの需要も、1400%増える。

世界のコバルトの50%以上は、コンゴ民主共和国のカタンガという一地域から供給されている。

第2の大きな壁がある。充電時間と充電設備の整備だ。

新しい世界の資源地図

2016年、シリコンバレーを訪れたとき、
高速道路で多くの電気自動車が走っていることに
とても驚きました。

グーグル本社を訪ねたときは、
グーグル自転車のほかに、
駐車場に太陽光パネルがついた充電設備も
見つけました。

現状の電動自動車普及率は、
https://earthene.com/media/338

アメリカの2020年の自動車販売における
EV販売台数は約1.8%。

世界全体の年間EV販売台数700万台強のうち、半数が中国。
2020年度の中国のEV販売台数の割合は4.4%。

2020年のEUと英国の新車販売台数におけるEVの割合は、
約5.6%。

ノルウェーの2020年の新車の販売台数の54%が、EV。

日本の2020年の新車の販売台数における
EVの割合は約0.6%。

2021年8月の新車販売台数に占めるEVの割合は約1.2%

こんな記事も見つけました。

日本の人口あたりのEV普及台数を見ると、
地方のほうがはるかに多い。

最も多いのは岐阜県で、
人口1万人あたり34.8台ということだ。
東京は15.4台だ。

この現象の大きな要因のひとつが
過疎化によるガソリンスタンドの減少らしい。

都市部では集合住宅の駐車場に
充電設備を設置するのは非常にハードルが高い。

急速充電スタンドでの充電費用は高価である。

最新のEVはバッテリー保護のために
駐車中も温度管理しているので、
乗らなくてもバッテリーに蓄えた電気を消耗する。

マンション居住の都市生活者にとって
EVは非常に使いづらく、
経済的ベネフィットもない。

中国で売れているのは、
宏光(ホンガン)MINI EV。
2021年の販売台数はなんと42万4138台。

「45万円のEV」として昨年日本でも話題になった
モデルだ。

低価格を実現するために割り切った部分もあり、
急速充電には非対応で、
家庭用の220V電源からの充電のみ。

宏光MINI EVは田舎の中小都市の若年層を中心に
売れているのだ。

中国の田舎では多くの人は
家庭用電源で充電できる電動スクーターを使っている。

この電動スクーターからのステップアップ需要に
宏光MINI EVがぴったりはまったのである。

現在、日産と三菱が合同で軽EVを開発しているらしいが、
200万円以上と軽自動車としては
高価なものとなるといわれている。

環境負荷、使い勝手両面から考えて、
EVを普及させるためには
現在欧米各社の主流の開発方向である
「大型・高性能・長航続距離」ではなく、
徹底的に「小型・軽量・低電費」であるべきと思う。

電動スクーターの置き換えとしての、
軽電動自動車は、需要が多くありそうです。

中国の自動車のように、
ある程度機能や性能は割り切って、
安価にするのが、ポイントのようにも思います。

確かに、地方を旅行すると、
閉鎖されたガソリンスタンドをよく目にします。

だったら、できれば、自宅に太陽光パネルを置いて、
電気自動車を充電できるといいですよね。

都心では、自動車は所有からシェアリングの方向に
進んでいるので、他にもよい解決策が
生まれてくるかもしれません。

現状の延長線上よりも、
未来の理想像を先に考えるほうが、
解決は早いと思います。

あなたは、ガソリン車の代わりに、電気自動車を増やす機会を増やそうと思ったら、何が必要だと考えますか。

20220406 電気自動車_新しい世界の資源地図(18)vol.3370【最幸の人生の贈り方】

移動の製品化からサービス化へ

■三本柱の融合

「トライアド」(三本柱)と呼ばれる
電気自動車、ライドヘイリング、自動運転車の融合は、
実現にはまだほど遠い。

それでも、この新たな融合の予兆と言える動き──
提携、買収、投資──はすでに目まぐるしくなってきている。

■「移動のサービス化」

「移動の製品化」から「移動のサービス化」への移行が進めば、
個人による車の購入は著しく減る。

一方で増えるのは、業者による車の購入だ。

その車の稼働率は5%ではなく、70%や80%だから、
業者による車の購入台数の増加によって、
個人による車の購入台数の減少は補えない。

世界中に張りめぐらされている
従来型の自動車のサプライチェーンは、
商売の競争よりも、ロボット工学や3Dプリンタといった
イノベーションやテクノロジーによって
大打撃を被りうる。

「移動のサービス化」は利用者には便利である反面、
自動運転車が導入されれば、
労働力に甚大な影響を及ぼすだろう。

新しい世界の資源地図

結婚した約30年前、郊外にある事業所に通う
夫の通勤のために、自動車を持っていました。

子どもたちが小さいときには、
移動にも便利で、休日もフル稼働でした。

しかし、横浜では保育園に入れず、
都心に引っ越し、さらに夫の事業所も
都内に移ってきたので、
通勤に必要なくなりました。

そして、駐車場代の高さに辟易し、
車を手放すことにしました。

家も同じように、結婚と同時に
マンションを購入しました。

都心に引っ越したときは、仮住まいとして、
借家に引っ越しましたが、
その1年後、近くのマンションを
また買いました。

しかし、古くなっていくマンションの管理は
大変であり、転居のたびに売買するのも
面倒なので、借家に住むことにしました。

家と車は所有するもの、という概念を
手放したのです。

今後また所有することはあるかもしれませんが、
所有すべきものという考えはありません。

所有しないで、共有すれば、
リソースの稼働率はあがり、
使う資源の量は少なくてすみます。

これは地球にとってよいことだと思います。

管理する資源が少なければ、
サービスに必要な人の数も減ります。

これに自動化などの技術が加われば、
さらに労働力の転換は加速します。

人間はどういう仕事をするのが、
社会から求められるのか、
人々のやりがいにつながるのか、
長くなる人生をどのように過ごすのか、
多くの人が向き合う課題だと考えます。

あなたは、日本の主要産業は、どんな産業であるべきだと考えますか。

20220407 移動の製品化からサービス化へ_新しい世界の資源地図(19)vol.3371【最幸の人生の贈り方】

気候変動

■パリ気候会議「国連COP21」

パリ気候会議、通称「国連COP21」
(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)は、
2015年11月末、パリ市北部のル・ブルジェで
開催された。

195カ国とEUの代表が出席し、
150カ国の首脳がところどころで別々に加わった。

会議は2015年11月30日に開幕し、
およそ2週間にわたって激しい議論が繰り広げられた。

この会議で採択されたのは条約ではなく、
今世紀中の気温上昇を産業革命前に比べて
2度未満に抑え、できる限り1・5度以内に
抑えることを目指すため、
各国が行動を起こすことを
約束し合った協定だった。

実際にどういう行動を起こすかは、
それぞれの国の「NDC」(国が決定する貢献)によって
定められた。

NDCは各国の状況や、法律、規制、意欲、気運に
もとづくものであり、NDCに法的拘束力はなかった。

この法的拘束力がないことが
バラク・オバマにとっては重要だった。

パリ協定は会議の1年後、
2016年11月4日に発効した。

しかし、わずか4日後、ドナルド・トランプが
大統領に選出された。

トランプに言わせると、
気候変動は中国の「でっち上げ」だった。

トランプは2017年春、ツイッターで、
協定から離脱する手続きを始めると発表した。

協定の規則で、発効から3年後までは
実際には離脱できなかった。

■金融とエネルギー投資

金融とエネルギー投資は、
気候問題の新たな舞台になった。

主要国の中央銀行をメンバーとする金融安定理事会は
「気候変動関連の財務情報開示」に
力を入れるようになり、企業に対し、
それぞれの投資や戦略が「2°C目標」に
沿ったものかどうかを開示するよう求めた。

年金基金などの投資家も近年、
エネルギー企業に対して、戦略や業績が
2015年のパリ協定の条項に則したもので
あるかどうかを説明するよう迫っている。

「気候変動と闘う」ことが、
社会の潮流になってきている。

それは政策や企業の意思決定に留まらず、
個人の生活や、個人の責任感にも
ますます深く関わるものになりつつある。

■パリ気候会議「国連COP21」

パリ気候会議、通称「国連COP21」
(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)は、
2015年11月末、パリ市北部のル・ブルジェで
開催された。

195カ国とEUの代表が出席し、
150カ国の首脳がところどころで別々に加わった。

会議は2015年11月30日に開幕し、
およそ2週間にわたって激しい議論が繰り広げられた。

この会議で採択されたのは条約ではなく、
今世紀中の気温上昇を産業革命前に比べて
2度未満に抑え、できる限り1・5度以内に
抑えることを目指すため、
各国が行動を起こすことを
約束し合った協定だった。

実際にどういう行動を起こすかは、
それぞれの国の「NDC」(国が決定する貢献)によって
定められた。

NDCは各国の状況や、法律、規制、意欲、気運に
もとづくものであり、NDCに法的拘束力はなかった。

この法的拘束力がないことが
バラク・オバマにとっては重要だった。

パリ協定は会議の1年後、
2016年11月4日に発効した。

しかし、わずか4日後、ドナルド・トランプが
大統領に選出された。

トランプに言わせると、
気候変動は中国の「でっち上げ」だった。

トランプは2017年春、ツイッターで、
協定から離脱する手続きを始めると発表した。

協定の規則で、発効から3年後までは
実際には離脱できなかった。

■金融とエネルギー投資

金融とエネルギー投資は、
気候問題の新たな舞台になった。

主要国の中央銀行をメンバーとする金融安定理事会は
「気候変動関連の財務情報開示」に
力を入れるようになり、企業に対し、
それぞれの投資や戦略が「2°C目標」に
沿ったものかどうかを開示するよう求めた。

年金基金などの投資家も近年、
エネルギー企業に対して、戦略や業績が
2015年のパリ協定の条項に則したもので
あるかどうかを説明するよう迫っている。

「気候変動と闘う」ことが、
社会の潮流になってきている。

それは政策や企業の意思決定に留まらず、
個人の生活や、個人の責任感にも
ますます深く関わるものになりつつある。

2013年、中国はドイツを抜いて、
世界最大の太陽光パネルの市場になり、
2017年には、その市場規模は
世界市場の半分を占めるまでに成長した。

中国は現在、世界の太陽光パネルの
およそ70%を生産している。

国外で生産している中国企業も計算に含めれば、
その比率は80%近くにのぼる。

太陽光パネルの心臓部である太陽電池の生産量は、
世界の70%を占める。

さらに太陽電池の基幹部品である
ソーラーウエハーにいたっては、
約95%が中国製だ。

太陽光パネルの値段は
2010年から2019年までのあいだに85%も下がった。

太陽光は日照状況に左右されるので、
断続的にしか発電できない。

実際の発電量は設備容量の約20%に
留まることもある。

●風力発電

2000年、風力発電の設備容量は
世界全体でわずか17ギガワットだった。

それが2019年に、618ギガワットまで増えた。

総設置容量の40%以上がアジアにあり、
そのうちの4分の3を中国が占めている。

風力発電も、太陽光と同じで断続的だ。

全発電量に占める風力発電の割合は
欧州が世界で最も高く、12%近くに達している。

中国は約5%、米国は約7%だ。

■組み合わせ

少なくとも今の段階では、
太陽光と風力は独力ではやっていけない。

天然ガスは低炭素で、温室効果ガスの排出が少ない
(メタンの排出を制御すれば)。

風力や太陽光の出力変動に合わせて、
天然ガス発電の発電量を増やしたり、減らしたりすれば、
電力量を一定に保てる。

数日間、大量の電気を蓄えておく手段はない。

現在唯一、注目される手段としては、
水力発電の一種である「揚水発電」がある。

しかし規模が小さく、成長も限られている。

新しい世界の資源地図

昨年行われたCOP26については以下のとおり。
https://www.env.go.jp/earth/COP26結果概要.pdf


COP26が10月31日(日)~11月13日(土)、
英国・グラスゴーで開催された。

岸田総理が首脳級会合「世界リーダーズサミット」に参加した。

岸田総理から、2030年までの期間を
「勝負の10年」と位置づけ、
全ての締約国に野心的な気候変動対策を呼びかけた。

●COP全体決定

最新の科学的知見に依拠しつつ、
パリ協定の1.5°C努力目標達成に向け、
今世紀半ばのカーボ ン・ニュートラル及び
その経過点である2030年に向けて
野心的な気候変動対策を
締約国に求め る内容となっている。

決定文書には、全ての国に対して、
排出削減対策が講じられていない
石炭 火力発電の逓減及び非効率な化石燃料補助金からの
フェーズ・アウトを含む努力を加速すること、
先進国に対して、2025年までに
途上国の適応支援のための資金を
2019年比で最低2倍にす ることを求める内容が盛り込まれた。

●市場メカニズム

パリ協定第6条に基づく市場メカニズムの
実施指針が合意され、当該合意により、
パリルールブック が完成した。

実施指針のうち、二重計上の防止については、
我が国が打開策の一つとして提案し ていた内容
(政府承認に基づく二重計上防止策)
がルールに盛り込まれ、今回の合意に大きく 貢献した。

●透明性枠組み

各国の温室効果ガス排出量の報告及び
NDC達成に向けた取組の報告様式を
全締約国共通の 表形式に統一することが合意された。

●共通の時間枠

温室効果ガス削減目標を2025年に2035年目標、
2030年に 2040年目標を
通報(以降、5年毎に同様)することを奨励。

●気候資金

2025年以降の新たな途上国支援の数値目標の議論を開始。

新たな協議体を立ち上げ、2024年まで議論することとなった。

先日、木材を用いることで知られる建築家の隈研吾さんが、
こんなことを話していました。

「現在の日本は、木材を建築で用いるのに、
全世界からコストが安い木材を運んでくる。

しかし、それを運ぶために、二酸化炭素を
たくさん排出している。

もともと、日本は里山で木を育て、
その間伐材を活用してきたのに、
今は、日本の木材が利用されないままに
なっている。

里山を復活させるのが、地球環境のためになる。」

日本の木材建築で使われる木組は、
間伐材などのあまり太くない木を組み合わせることで
強い建築材料として使えるよう、
工夫されてきたそうです。

破損したり、腐食しても、
その箇所だけ、新しい木材で置き換えることが
可能であり、耐震にも強いと、
主張されていました。

グローバルで最適化することもよいことですが、
同時に、地産地消というのも大切だなと
改めて思いました。

一方、今はコロナ禍で、人の移動がかなり制限されていて、
海外渡航が大幅に減っています。

日本人出国者数
2020年1月 138万人
2021年1月 48,691人
2022年1月 74,982人

昨年より54%増だとしても、
2020年から比較すると-94.6%。

航空機の利用は、環境に大きく負荷をかけます。

二酸化炭素の回収と活用技術は、
日本に大いに期待したいところです。

あなたは、世界の課題解決のために、日本はどのような立場でありたいと考えますか。

20220408 気候変動_新しい世界の資源地図(20)vol.3372【最幸の人生の贈り方】

この記事は、メルマガ記事から一部抜粋し、構成しています。

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