人間の発達の八つの段階

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人間の発達の八つの段階と二つの階層

この記事は、スパイラル・ダイナミクスの八つの段階について、簡単に説明したものです。出典の書籍は、この記事の下の方をご覧ください。

スパイラル・ダイナミクスによれば、
人間の発達とは、八つの段階──あるいは八つの「ミーム」 ──
を通って進んでいくものである。

最初の六つの段階は、
生存の段階」と呼ばれており、
その特徴は「第一層の思考」と呼ばれるものである。
 
しかしその後、意識に、革命的とも言える変化が起きる。
 
第二層の思考」を特徴とする「存在の段階」が出現するのである。
 
そしてこの「存在の段階」は、主に、二つの段階から構成されている。

第一層の思考

1.ベージュ(古代的-本能的な段階)〔インフラレッド〕

基本的な生存活動の段階である。
 
食べ物、水、暖かさ、セックス、安全を重視する。
 
さまざまな習性や本能を用いるが、
それはすべて生き残るためである。
 
明確な自己はほとんど現れておらず、
現れたとしても維持することができない。
 
生存のための集団を形成することで、
生命を永続させようとする。

2.パープル(呪術的-アニミズム的な段階)〔マジェンタ〕

思考はアニミズム的である。
 
大地はさまざまな呪術的精霊に満たされている。
 
精霊には善い霊も悪い霊もいて、
さまざまな恵みや災いをもたらしたり、
不思議な力によって何が起きるかを決めたりしている。
 
部族的集団を形成する。

3.レッド(「力のある神々」の段階)

部族集団と区別された「自己」が初めて出現する。
 
力強く、衝動的で、自己中心的で、勇敢である。
 
呪術-神話的な霊魂、龍、獣、特別な力をもった人々が存在する。
 
元型としてのさまざまな神や女神、
特別な力をもったさまざまな生命、
頼りにするべきさまざまな勢力が存在するが、
その中には、良いものも悪いものもある。
 
封建的な領主が、服従し労働することと引き換えに、
下層の者たちを保護する。
 
力と栄光に基づく封建的帝国の基礎にある段階である。
 
世界とはジャングルであり、
危険や敵に満ちた場所である。
 
征服すること、相手を出し抜くこと、支配することを好む。
 
後悔したり、自責の念に駆られたりすることなく、
最大限に楽しんで過ごす。
 
「今ここ」を生きるが、近視眼的である。

4.ブルー(神話的秩序の段階)〔アンバー〕

人生には意味があり、目的があり、方向性がある。

どんな結末がもたらされるかは、
全能の絶対的存在ないし絶対的秩序によって決められている。

絶対的秩序が定める行動規範には
従わなければならない。

こうした行動規範の根底には、
何が「正しいこと」で何が「間違ったこと」なのかについての
絶対不変の原理が存在する。

規範やルールを破れば、
重大な罰を受けることになる。

規範に従うことで、
忠実であることの報いを得ることができる。

古代国家の基礎にある段階である。

厳格な社会階層が存在し、
父権主義的であり、
あらゆることを「唯一の正しい考え方」に基づいて考える。

法と秩序」を重視する。

多くの場合、「宗教的」ないし「神話的」であるが、
もっと世俗的ないし無神論的な秩序や使命を
有することもある。

5.オレンジ(科学的達成の段階)

この段階において、
自己はブルー段階の「群衆心理」から脱出し、
個人として真理や意味を探し求めるようになる。

その方法は仮説-演繹的、実験的、客観的、機械的、操作的である─
すなわち、一般に「科学的」と呼ばれる方法が用いられる。

世界とは、自然法則に基づいて円滑に動く合理的な機械である。

世界の仕組みを学ぶことや、
世界を自在に使いこなすことは可能であり、
世界を巧みに操作することで、
自分たちの目的を実現することができる。

達成主義的な傾向が強く、
特に(アメリカでは)、物質的な利益を追求する傾向にある。

政治も、経済も、人間社会の諸々の出来事も、
科学の諸法則によって規定されている。

世界とはチェス盤のようなものであり、
ゲームに勝利した者は、
敗北した者よりも高い地位と特別な報酬を得ることができる。

市場において提携関係を結ぶ。

地球の資源を巧みに利用し、
戦略的に利益を獲得する。

法人型国家の基礎にある段階である。

6.グリーン(感受性豊かな自己の段階)

共同体主義的であり、人間らしい絆を重視し、
エコロジーへの関心が高く、
ネットワーク的に思考する。

人間の精神は、強欲さや、独断的な考えや、
分断された状態から、解放されなければならない。

大事なのは、冷たい合理性ではなく、
気持ちや気遣いである。

大地、ガイア、生命を大切にする。

階層型組織 に反対し、
横方向のつながりを形成する。

自己は開かれており、関係性に基づいている。

集団は、網の目のように相互に絡み合った構造をもつ。

他者と対話すること、関わり合うことを重視する。

価値の共同体(共通の感受性をもっていることを基準として
自由に結ばれる連帯関係)の基礎にある段階である。

対立している考えを和解させ、
合意を形成することによって、
意思決定を行う
(負の面として、このプロセスを果てしなく続け、
いつまでも意思決定を行えないことがある)。

精神性/霊性を新たな形でよみがえらせ、
世界に調和をもたらし、
人間の潜在的可能性を拡張する。

平等主義的な傾向が非常に強く、
階層的な見方に反対し、
多元的な価値観をもち、
リアリティとは社会的に構築されたものであると考え、
多様性を重視し、多文化主義の立場をとり、
相対主義的な価値システムを有する
(こうした世界観は、しばしば、多元的相対主義と呼ばれている)。

主観を重視した思考や、非線形的な思考を好む。

温かな感情、思いやり、気遣いにあふれており、
これらは地球とそこに暮らす全ての生命に向けられている。

第二層の思考

グリーンの段階を終えると、
人間の意識は、「第二層の思考」へと
飛躍する準備が整うことになる。
 
グレイブスによれば、これは「極めて重大な飛躍」であり、
そこでは「意識に途方もなく大きな変化が起こる」という。
 
第二層の意識とは、本質的には、
垂直的な思考と水平的な思考の両方を行うことのできる意識である。
 
この意識は、階層的な見方と並列的な見方、
順位づけと結びつけの両方を活用することができるのだ。
 
それゆえに、人は生まれて初めて、
内面的発達のスペクトラム全体を
明確に理解するようになる。
 
そして、螺旋全体が健全であるためには、
どの段階の存在も極めて重要である
ということを認識するようになる。

しかし、 第一層の段階はどれも ── 独力では ──
他の段階を十分に尊重することができない。

第一層においては、どの段階も、
自らの世界観こそが唯一正しい最善の見方だと
考えているのである。

自らの世界観に疑いをかけられると、
その意見を否定しようと反発するし、
自らの世界観が脅かされると、
その段階に特有の方法を用いて、
相手を激しく攻撃するのだ。
 
だが、こうしたことは全て、
第二層の思考の出現とともに変化し始める。

第二層の意識は──たとえ専門的な言葉を用いて
明確に述べることはできなくとも──
内面的発達にはさまざまな段階が存在していることを
十分に認識しており、
それゆえ、一歩引き下がって全体を見渡し、
大きな地図を認識することができる。

そして、全ての段階 にはそれぞれ、
求められている役割があるということを理解する。

第二層の意識は、特定の段階だけを見るのではなく、
螺旋全体を見て考えられるのである。

7.イエロー(統合的な段階)〔ティール〕

人生とは万華鏡のようなものである。

そのパターンをつくるのは、
おのずと生まれてくるさまざまな階層やシステムや形態である。

柔軟であること、
自発的であること、
機能的であることがもっとも重視される。

差異や多元性は統合されて、自然な流れをつくり、
さまざまな流れが相互に依存し合っている。

自然な順位づけ、自然な優秀さは存在するのであり、
こうした見方によって平等主義は補完される。

力や地位や感受性よりも、
知と能力が重視される。

世界が現在の姿になっているのは、
現実とはさまざまな段階から構成されており、
人々が発達のダイナミックな螺旋を上下に運動することは
避けられないからである。

こうした諸段階は、次第に複雑になっていくものであり、
入れ子状の階層構造を形成している。

優れた統治とは、全ての段階において、
必要なものが出現するように支援をすることである。

8.ターコイズ(ホリスティックな段階)

世界全体を包括するホリスティックな体系を生み出す。

さまざまな統合的エネルギーが
ホロン構造をなしている。

感じることと知ることはひとつに融合される。

多様な段階が織り合わされて、
単一の意識システムを形成している。

普遍的な秩序は存在するが、
それは外面的な規則(ブルー)でも
集団の絆(グリーン)でもなく、
生命や意識の中に表現されるものである。

「大いなる統一」を実現することは、
理論的にも実際的にも可能である。

ときに、新たなタイプの精神性/霊性が生み出される。

それは、全ての存在が網目細工のように
絡み合っているという認識に基づくものである。

発達の螺旋全体を踏まえて思考し、
多種多様なレベルの相互作用が存在することを認識する。

どんな組織の中にも、調和を見出し、
神秘的な力を感知し、
フロー状態が遍満していることを見抜く。

出典

第三層の思考

基本的には、統合的段階が今日における進化の最先端であると言って
問題ありません。
 
しかし、実際には、さらに高次の諸段階が現れつつあります。

進化には終わりがないであろうことを踏まえると、
意識の発達は今後も続いていくと考えるのが自然でしょう。

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