予測不能の時代:データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ

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予測不能の時代:データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ
矢野和男(著)
草思社 (2021/5/10)

矢野和男 やの・かずお
株式会社日立製作所フェロー。株式会社ハピネスプラネット代表取締役CEO。
1959年山形県酒田市生まれ。1984年早稲田大学物理修士卒。日立製作所入社。91年から92年まで、アリゾナ州立大にてナノデバイスに関する共同研究に従事。1993年単一電子メモリの室温動作に世界で初めて成功し、ナノデバイスの室温動作に道を拓く。2004年から先行してウエアラブル技術とビッグデータ解析を研究。論文被引用件数は4500件、特許出願350件を超える。「ハーバードビジネスレビュー」誌に、開発したウエアラブルセンサが「歴史に残るウエアラブルデバイス」として紹介される。開発した多目的AI「H」は、物流、金融、流通、鉄道などの幅広い分野に適用され、産業分野へのAI活用を牽引した。のべ1000万日を超えるデータを使った企業業績向上の研究と心理学や人工知能からナノテクまでの専門性の広さと深さで知られる。2014年に上梓した著書『データの見えざる手:ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則』(草思社)が、BookVinegar社の2014年ビジネス書ベスト10に選ばれる。

技術の最先端を語るだけでなく、
古典にさかのぼって本質を考えるという考え方に
多くの学びがありました。

ぜひ手にとって読んでみてください。

予測不能の時代:データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ

■予測不能

実は、いくら過去のデータを大量に集めても、
AI技術が進歩しても、
未来が予測不能なことは何も変わらない。

予測不能な変化に向き合う主体は、
常に人であり、
人が互いに協力・対立しあう組織や社会である。

社会的な存在である人類にふさわしい、
予測不能な変化への向き合い方がある。

そして、予測不能と闘う道具こそが、
個々人の生き方であり、
企業のマネジメントであり、
データやAIである。

この鍵となるのが「幸せ」だ。

変化への適応を求めるときこそ、
変わらないものを知ることが一層大事になる。

人が幸せを求めることは
仏陀、孔子、ソクラテスの時代から
現代にいたるまで、何も変わらない。

予測不能の時代:データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ

「予測不能な変化に向き合う主体は、
常に人であり、
人が互いに協力・対立しあう組織や社会である。

変化への適応を求めるときこそ、
変わらないものを知ることが一層大事になる。

それが「幸せ」である。」

この考え方にとても共感します。

私が易経を学んでいるのは、
変わらないものは何か、
変わるものは何か、
を知るためです。

表層に現れる変化をとらえ、対処することは
重要ですが、同時に、
深層で変わらない不変で普遍なもので
つながりあうことが
とても大切だと考えます。

あなたは、何をよりどころとして、行動を決めますか。

20220301 予測不能の時代:データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ(1)vol.3334【最幸の人生の贈り方】

変化を阻む4つの罠と変化に対応する4原則

■変化を阻む4つの罠

●「ルール」という罠
●「計画」という罠
●「標準化と横展開」という罠
●「内部統制」という罠

■多様性と変化に対応するための4原則

第1の原則 実験と学習を繰り返す
第2の原則 目的にこだわり、手段にはこだわらない
第3の原則 自己完結的な機動力を持たせる
第4の原則 「自律的で前向きな人」づくりに投資

どんな変化にも揺るがない
最も上位の目的とは何だろうか、と考えた。

それは「幸せ」だと思った。

「幸せのためにお金がほしいという文章はあるが、
お金のために幸せがほしいとはいわない。
従って幸せの方が上位である」と、
『ニコマコス倫理学』というアリストテレスの
有名な幸せの本に書かれている。

予測不能の時代:データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ

さて、私が社会人になって、まず学んだことが、
ルールの理解、計画立案の方法、
標準化と横展開です。

そして、時代とともに重視されてきたのが、
内部統制です。

効率的に組織を運営し、一定以上の品質を担保するためには
欠かせない考え方だと思います。

一方、ルールや計画は変えてはいけないと硬直化すると、
当初の目的から外れてしまうこともあります。

どういうときには変えてもよい、
と考えておくことは大切かと思います。

日本社会の特異な点として象徴的なのが、
憲法を制定してから、一度も改正していないと
いうことだと思います。

例えば、アメリカ合衆国憲法は、日本より歴史は古いですが、
1992年までに27回修正されています。

1946年以降だけでも、6回修正されています。

憲法は改正しなくてはいけないということではなく、
改正してよいものだと考えることが、
もっと受け入れられてもよいのではないでしょうか。

あなたが、機敏に変化に対応できていないと感じるのは、まわりのどんなことですか。

20220302 変化を阻む4つの罠と変化に対応する4原則_予測不能の時代(2)vol.3335【最幸の人生の贈り方】

幸せで生産性の高い組織をつくる4条件

■幸せな組織の普遍的な4つの特徴(FINE)

第1の特徴 フラット(Flat)=均等
人と人のつながりが特定の人に偏らず均等である

第2の特徴 インプロバイズド(Improvised)=即興的
5分から10分の短い会話が高頻度で行われている

第3の特徴 ノンバーバル(Non-verbal)=非言語的
会話中に身体が同調してよく動く

第4の特徴 イコール(Equal)=平等
発言権が平等である

逆にいうと、幸せでない組織の特徴は
下記の4つである。

第1の特徴 人と人のつながりが特定の人に偏っている

第2の特徴 5分から10分の短い会話が少ない
(長い会議や会話が多い)

第3の特徴 会話中に身体が同調せず動きも少ない

第4の特徴 会議や会話での発言権が特定の人に偏っている

■集団の知的能力が高いグループの3つの特徴

第1の特徴は、他者の感情をくみ取る能力であった。

第2の特徴は、チーム内の会話における発言権の
平等性であった。

第3の特徴が、チームの中の女性比率の高さであった。

男女の比率が均等だとよいという結果ではなく、
女性比率が高ければ高いほど、
集合的知能が高くなる傾向があるという結果だった。

■幸せで生産的な組織にする4つの条件

第1の条件 組織図にとらわれずにつながりあう

第2の条件 予定表にとらわれないタイミングで会話しあう

第3の条件 立場の違いにとらわれずに会話を身体で盛り上げる

第4の条件 役職や権限にとらわれずに発言しあう

予測不能の時代:データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ

5分から10分の短い会話が高頻度で行いやすいのは、
やはり、リアルで一緒にいる場のほうが
圧倒的に行いやすいです。

これが、オフィスの存在意義ですね。

業務上、ちょっとした疑問が感じた瞬間、
すぐ解決できることもあるし、
業務に直接関係ないことを共有することで、
共感が生まれたりします。

テレワークで最も失われてしまうものは、
これかもしれません。

もちろん、テレワークのメリットも
たくさんありますから、
「だから、オフィスがないとだめなのだ」
とは考えていません。

発言権が平等なのは、いいことですね。

特に、若い人の発言は大切です。

こういう場は、意識してつくることができると考えます。

あなたのチームには、幸せな組織の特徴が、どれくらいありますか。

20220303 幸せで生産性の高い組織をつくる4条件_予測不能の時代(3)vol.3336【最幸の人生の贈り方】

幸せを高める能力HERO

■幸せを高める能力「心の資本=HERO」

アメリカの経営学会の会長も務めた組織行動学の権威、
フレッド・ルーサンス教授は、
持続的で学習可能な幸せを表す重要な尺度が
以下の4つの力であることを明らかにした。

第1の力 ホープ(Hope)
 自ら進む道を見つける力
第2の力 エフィカシー(Efficacy)
 現実を受けとめて行動を起こす力
第3の力 レジリエンス(Resilience)
 困難に立ち向かう力
第4の力 オプティミズム(Optimism)
 前向きな物語を生み出す

ルーサンス教授は、この4つを合わせて
「心の資本(Psychological Capital)」と呼んだ。

■ホープとエフィカシーという「心の資本」を高めた鍵

・既に持っているもので始める
・検討はほどほどにして行動(実験と学習)する
・仕事の資源と権限は、実績によって獲得する
・成功に必要なことは臆せず何でもやる
・自分の役割は自分で決める

■レジリエンスとオプティミズムを与えたこと

・大義や仕事の意義にこだわり、手段にこだわらない
・ないものづくしの環境を受け入れ一歩ずつ進む
・困難を最高の学びの機会にする
・新たな人との偶然の出会いを活用する
・変化の中にチャンスを見出す

予測不能の時代:データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ

著者が約20年にわたり行っていた、
半導体の研究開発が会社の事業構造転換によって
できなくなり、一種の社内失業になり、
新たな分野への転向を迫られることになったそうです。

そのときに、新しい分野に進むにあたり、
考え方と行動を変えていったそうです。

というのも、先が見えない状況で、
PDCAがそもそも回せなくなり、
「いきあたりばったり」の方法を
とらざるを得なかったからです。

そして、この方法を卒業することもなく、
現在も続けているとのこと。

このくだりを読んでいて、私も半ば安心しました。

というのも、私が計画を立てるのは、
仲間を募るときだけで、
まずはその時点の頭の中を共有するために
使うだけだからです。

こういう方向に進みたい、
この時期に、これくらいの規模であってほしい、
ということを共有するものの、
実際に始めてみると、
思ったとおりに進むことはまずありません。

成果がでなければ、新たに手を打つしかなく、
思った以上に成果があがれば、
新たに打った手をベースに進めていくことになります。

まあ、「いきあたりばったり」といえば、
そのとおりです。

自分の実力不足はもちろんありますが、
「いつになったら、実力がつくのか?」
と思いながら、興味のある新しいことをやってきました。

そして、先行きが見えないことは変わらないのですが、
「まあ、どうにかなるだろう」
というレジリエンスとオプティミズムも
身についていったのです。

これは、これでアリだったのだと、
今更ながら、自己肯定しています。

あなたのチームには、HEROがどれくらいありますか。

20220304 幸せを高める能力HERO_予測不能の時代(4)vol.3337【最幸の人生の贈り方】

本当の孤立とは

■孤立とは

孤立とは、人との接点がないことではない。

人が孤立を最も感じるのは、
むしろ人と一緒にいるときなのである。

人と一緒なのに、自分に関心を持たれず、
応援されず、信頼されず、
元気を奪われるような反応ばかり
受けることによって我々は孤立を感じる。

まわりに関わる人が多ければ多いほど、
このような反応を感じたときの孤立は深まる。

そのような状況ならば、
「いっそ一人きりでいた方がまし」
と思えるのが孤立なのだ。

その結果、本当に一人きりの状態に
自らを追い込むことにもなりがちなのである。

さらに重要なことは、この孤立した人、
その個人のパフォーマンスが低くなるだけではなく、
孤立した人が多い日には
孤立していない人のパフォーマンスも低くなる点である。

予測不能の時代:データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ

コールセンターの受注率が
どういう時に高くなり、どういうときに低くなるか、
調査したところ、
能力が高い人が多く出勤している日に
受注率が高いわけでもなく、
性格と受注率との間にも相関がなかったそうです。

孤立をふせぐためのアプリを開発し、
コールセンターのスーパーバイザーに、
声がけの優先度を示すようにしたら、
1年後、アプリを使用したセンターとそうでないセンターでは、
年平均で27%もの大差で表れたそうです。

とても良いことだと思うのですが、、、

ウエラブル端末で、行動を監視し、分析して、
そのデータをもとに、行動を促されて、
思ったような結果になった。

ということですよね。
 

監視資本主義社会が良い方向に働いている事例でも
あると思うのですが、
ちょっと気持ち悪く感じてしまいました。

よかれと思ってやっている方に
大変申し訳ないのですが、、、

計測データに頼るのではなく、
顔色や、かもしだす雰囲気で判断できるようでありたい、
というのは、時代にそぐわないのかしら?

あなたは、どんなときに孤立を感じますか。

20220305 本当の孤立とは_予測不能の時代(5)vol.3338【最幸の人生の贈り方】

予測不能な世界でのPPPサイクル

■PPPサイクル

第1の過程プレディクト(Predict)=予測
過去データを用いて過去の延長では
どうなるかを予測する

第2の過程パシーブ(Perceive)=気づき
過去の延長と現実との重要な乖離を特定する

第3の過程プライオリタイズ(Prioritize)=優先化
乖離が起きている対象に対し
優先的に行動を起こす

この「PPP(Predict/Perceive/Prioritize)サイクル」こそが、
予測不能なこの世界に的確な判断を行う原則なのである。

実際には、このPPPサイクルを実践するのは、
意外なほど難しい。

まず、第1の「予測(Predict)」の結果が、
現実と合わないことが障害になる。

新しいことには必ず反対する人がいる。

批判しようとする人は「この予測は当てにならない」
とネガティブな評価になりやすい。

次に2番目の、予測と乖離した結果から
「気づき(Perceive)」をどのように得るか、
そして行動に活かすかである。

従来の統計学や科学的な検証では、
統計的な有意性が大事にされている。

この新たに起きた変化については、
データは当初必然的に少ない。

データが少ないと、
統計的に決して有意にはならない。

第3は、根拠や検証もできていないことに、
現実のオペレーションが影響を受けることに
強く反発する。

だから行動を起こしにくいのである。

予測不能の時代:データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ

データを見るときに、
統計的有意性にこだわらないという考え方は、
とてもおもしろいと思います。

偶然か、変化の初期かは、
見分けられないので、
まず行動を起こしてみる、というのです。

が、これが意外に難しい。

イノベーター理論では、
最初に変化を起こす「イノベーター」は、
今までと違うことに価値を見出す人たちです。

当然ながら、市場や組織には、
賛同しない人が多い状態です。
(賛同する人が多ければ、
イノベーションになりませんが、、、)

が、ここで行動を起こさないと、
予測不能な世界では、変化についていけないと
著者は主張します。

実際のところ、一生続くキャリアというのは
ほとんど存在しなくなっていて、
未来に必要とされる仕事も誰にも見えない状況です。

そして、仮説を立てて、試行錯誤し、
結果を分析して、新たな仮説を立てる、
というサイクルに誰もが直面しているのが
現状だと考えています。

とてもおもしろい時代に、
私たちは生きているのかもしれません。

あなたは、変化の兆しを、どこから見つけますか。

20220306 予測不能な世界でのPPPサイクル_予測不能の時代(6)vol.3339【最幸の人生の贈り方】

格差が生じるのに理由はいらない

■格差は「エントロピー増大」の帰結である

エントロピーが大きくなると、
常に格差が大きくなるのである。

たとえば、ある空間の中の分子を考えるとき、
すべての分子が同じ速さで動いている状態よりも、
それぞれの分子が多様な速さで動いている状態の方が、
探索できる可能性の領域はずっと広い。

各分子の速さがどんどん多様になるということは、
分子の速さに大きな格差が生まれるということだ。

このようにして格差は自然に増えてしまう。

そこには何の理由もない。

■勝者優遇のルールが格差を拡大させる

実は、ここで見られるように、
取引や競争や生産活動を行った結果、
結果のよかった人をその後の活動で優遇することは、
社会のいたるところに見られる。

これはある意味で当然である。

ここで大事なのが、平等なルールで配分しても、
相当の格差が生じるということである。

これは、自然なありふれた分配の結果なのだ。

そこには、何の理由もない。

予測不能の時代:データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ

格差が生じる説明に
エントロピー増大の法則を使うのは、
初めて見ましたが、納得しました。

エントロピー増大の法則は、
唯一、時間の非可逆性を説明している物理法則ですが、
これによって、生物の進化も恒星の誕生も
説明していたのが、『時間の終わりまで』でした。
https://forestofwisdom.net/until-the-end-of-time/

これと同じように、経済格差の発生も
エントロピー増大の法則で説明できるなんて、
超おもしろいではないですか。

そして、「因果応報」「信賞必罰」が
この必然的に生まれた、偶然の格差をも
増大していくことになります。

私たちがよいと考えているプロセスやルールが、
よいと考える結果を
必ずしも生み出すわけでないことを、
ここでも見ることができます。

本当に興味深いです。

あなたは、どんな状況のときに、格差を感じますか。

20220307 格差が生じるのに理由はいらない_予測不能の時代(7)vol.3340【最幸の人生の贈り方】

格差解消の本丸は教育

■格差回避の本丸、教育

格差を回避するために重要なことは、
最終配分にいたる因果応報の連鎖の数が
少なくなるよう修正・介入することである。

修正の対象として最も有力なのが「教育」であろう。

教育の格差を少なくするのだ。

その人の受けた教育によって、
その後の人生における処遇が異なるのは
明らかだからだ。

この教育による処遇の違いについては、
未成年を教育する過程において何重にも
「因果応報」の連鎖があるのが大きな問題である。

連鎖が3重、4重になると、
桁違いの処遇の違いが生じるからである。

これを変えるにはいろいろな方法が考えられる。

単純で効果的な方法がある。

それはある年齢まで(たとえば高校まで)は、
試験の成績で入学の選抜をするのを
法律で禁止することである。

基本はランダムにくじ引きで
応募者の中から選択することだけを許すのである。

なぜ大学入試ではなく、高校以下の入試なのか、
と疑問を持つ読者もいよう。

これは、努力や頑張りによって
結果が変わることは残した方がよいからである。

そして問題なのは、「結果による処遇の不平等」が
連鎖することなのである。

この1回の処遇差だけでは、
桁違いな教育格差が原理的に生じなくなる。

そんなことをすれば、
教育の効率が下がり、教育の質も落ちる、
という反論があるのは承知している。

しかし、その発想こそが時代遅れではないか。

教育にこそ「効率化」を超える発想が必要である。

20世紀では、いわれたことへ素直に従う人材の
大量生産が必要だった。

今、この20世紀の思考から解き放たれ、
21世紀にふさわしい「幸福化」へと
向かわなければならない。

ネットで検索可能な知識を
学校で教えることの価値はどんどん小さくなっている。

強めにいえば、そのような知識の価値は
ゼロに収斂しつつある。

むしろ、多様な強みと背景を持った人たちと
いかに協力できるか、相手の背景や心に配慮し、
コミュニケーションによって
未来を創造する力こそが、
集団としてのパフォーマンス(すなわち利益)にも、
幸せにも重要なのである。

さらに極端な格差は、
人と人との間に無理解を発生させ、
社会の不安定性に直結する。

これはすべての人にとって、不幸な状況につながる。

努力した人、結果を出した人に報いよう、
という素朴な思いが、
社会を混乱と闘争の世界に導く。

この行き着くところは、階級闘争であり、
内戦や戦争への道である。

予測不能の時代:データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ

予測できない社会の中で、
人生は確実に長くなっています。

では、どういう教育がよいのか。

私は、一斉入学、一斉卒業でなくても
いいのではないかと考えます。

もちろん、ベースとなる初等教育は大切だと
考えますが、知識を身に付ける教育は
大幅に減らしてもよいのではないでしょうか。

子どもは、覚えたいことは、
勝手に学んで覚えることができますし、
以前とは比べ物にならないほど、
検索で得られる情報量は爆発しています。

大切なのは、情報の見極め方、扱いかたであって、
情報そのものではありません。

そして、それを他人と共有して、
集合知をどうやってつくっていくか、
その能力を身に付けることが
大切ではないでしょうか。

中学受験で失敗した、
高校受験で失敗した、
大学受験で失敗した、
就活で失敗した、

こんなことで、人生100年が決まるのが、
おかしなことではないでしょうか。

希望の中学校に入っても、
希望の高校に入っても、
希望の大学に入っても、
希望の会社に入っても、
思ったとおりの人生が待っているとは限りません。

進んでみて、思い通りでなかったら、
進路を変えればいいだけのこと。

失敗と進路変更に寛容である社会をつくることが
次の世代を育てるのに、
大切ではないかと考えています。

狭い世界にいると、
親の考え方、周りの考え方に左右されやすくなります。

だから、多様な社会で子どもたちを
育てることは、よいことだと考えます。

くじ引きで選択するという引用箇所を読んでいて、
私自身の中学受験を思い出しました。

私の中学受験は、筆記試験に先立って、
くじ引きが行われました。

私はこのくじ引きの行われる前の日、
「はずれたらどうしよう」と
眠れなかったのを思い出しました。

そして、入学してから、私の入試の成績は、
ダントツで1番だったと、聞きました。

数年の努力は、結果を出したのです。

が、くじ引きで外れていたら、
別の学校に行かざるを得なかったのです。

今の私であれば、その時の私に、
「どんな道であっても、最善だから、心配するな」
と声をかけることができます。

しかし、自らの意思で、
習いごとをすべてやめて、
同級生がミニバスケを楽しんでいるのを横目で眺め、
勉強に力を入れたのに、
その成果を発揮する機会も与えられなかったとしたら、
子どものころの私は、理不尽な人生に失望するかもしれません。

くじ引きってどうなのかな??

やりたいと手を挙げたら、
挑戦できるのがいいと私は考えています。

「機会の平等」です。

機会は何回あってもいい。
年齢にとらわれず、いつでもいい。

高校に10代がいても、20代がいても、
30代がいても不思議ではない。

どうなんでしょう???

あなたは、どんな教育システムが格差を解消できると考えますか。

20220308 格差解消の本丸は教育_予測不能の時代(8)vol.3341【最幸の人生の贈り方】

予測不能な人生を幸せに生きるための方法

■「変化の理論」

『易』から未知の変化への対処法のエッセンスを抽出し、
現代的な視点で解説する。

「変化の理論」=セオリー・オブ・チェンジと呼ぼう。

今やりたいのは、未知の多様な変化を分類し、
その全体を俯瞰することだ。

そしてそれら分類されたすべての変化から、
前向きなストーリーが描けると知ることである。

対象とする変化は予測不能で未知である。

それには無限の可能性がありうる。

「変化の理論」では、
これを逆転の発想で乗り越える。

それは、未知の変化そのものではなく、
あなたとの相対的な関係に着目するのである。

変化とあなたの関係に着目すれば、
どのような状況変化にも適用可能な複数の視点を
設定することができ、
その視点は分類可能である。

それらのどの視点からも
幸せな行動(前向きなストーリー)を考えられるよう、
自らを訓練することにより、
あらゆる変化に備えることもできるようになる。

この分類のために、複数の二分法により
あなたを見ることとする。

1つ目の二分法は、あなたの状況を
「私」と「私たち」に分けるものである。

活動や思考を「自分」に対することと
「他者」との関わりに関することに分類するのだ。

もう1つの二分法は、あなたを
「表に見えるあなた」と「表に見えないあなた」
に分けるものである。

すなわち、あなたの表に出た行動と
あなたの内面とに分類するのだ。

この両者によって、あなたが受ける変化を
4つに分類することができる。

第1が、「私の内面」の変化である(Invisible Me)。
第2が、「私の行動」の変化である(Visible Me)。
第3が、「我々の内面」の変化である(Invisible Us)。
第4が、「外に見える我々」の変化(Visible Us)である。

この4つの変化に、
我々は常に向き合わなければいけない。

第1の視点(私の内面=Invisible Me)は、
先の見えない変化により、
内面に生じる不安や迷いにどう向き合うかを問う。

日々の仕事に追われて、状況の分析もできない。

矛盾した要求にどう向き合うのか。

第2の視点(私の行動=Visible Me)は、
この予測不能な変化の中で、
自分はどんな行動をすべきかを問う。

これまで大事にしてきたことをどこまで守るべきか。

新たな領域に踏み込むべきか。

慣れない状況の中で思うようにいかない焦りに
どう対処すべきか。

第3の視点(我々の内面=Invisible Us)は、
この中で生じる新たな人との関係にともなう
不安や迷いにいかに対処すべきかを問う。

人はあなたについてくるのか、
複雑な人との関係性にいかに
あなたは向き合うべきだろうか。

そして第4の視点(外に見える我々=Visible Us)は、
一人では生きられない我々は、
いかに人と協力しあい、
新たなことを生み出せるのかを問う。

自分の思い通りにはいかない中で、
いかに一緒に物事を前進させることができるのか。

この4つの視点を、意識的に動かして俯瞰することで、
全体を把握することができる。

予測不能の時代:データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ

そう、江戸明治までは、知識人には、
『易』を学ぶことが必須でした。

それが、現代に引き継がれていないのです。

もったいないなあ、と思うと共に、
もっと現代に生かせる形にできるのではないかと
考えています。

「咸」は言葉を超えて世界や宇宙と響きあうことを指す。
https://forestofwisdom.net/31-takuzankan/

「臨」は可能性を見つけたら迷わず全身全霊で跳躍する。
https://forestofwisdom.net/19-chitakurin/

「蹇」は、八方塞がりだからこそ、
人に協力を仰ぎ一歩ずつ前進するべし。
https://forestofwisdom.net/39-suizanken/

「国の光を観る」という表現で、
その土地の実態を見ることで、
リーダーの人徳を知ることができる。
https://forestofwisdom.net/20-fuchikan/

風地観の四爻
「六四。観國之光。利用賓于王。」

「今やりたいのは、未知の多様な変化を分類し、
その全体を俯瞰することだ。

そしてそれら分類されたすべての変化から、
前向きなストーリーが描けると知ることである。」

そうそう、私が易を通してやりたいことは、
まさにこれです。

今目の前にある状況を、64のパターンの
どれかに分類し、
そして、登場人物を6つの役割に置いてみて、
それぞれの6つの視点と、客観的な視点の
合わせて7つの視点から、
場を眺めることで、全体を俯瞰できるようになりたいのです。

そして、それぞれの視点は、空間軸だけでなく、
時間軸にも置き換えられるので、
変化を読み取ることができるようになります。

場全体の視点も動いていくし、
場の中のそれぞれの役割も動いていくのです。

これを子どもでもわかりやすく伝えていくことが、
最終的な目標です。

あなたは、幸せな行動を考えるためにどんな方法をもっていますか。

20220309 予測不能な人生を幸せに生きるための方法_予測不能の時代(9)vol.3342【最幸の人生の贈り方】

幸せな行動Happyingを習慣にする方法

■変化に立ち向かう力を高める

(1)毎朝、コイン投げ他の方法によって、
16のうちから1つの視点(訓練項目)を得る。

(2)その視点に対応する本章末尾の記述を読む。

(3)その意味を、その日の仕事や状況にあてはめて、
自分なりに解釈する。

(4)この解釈を、その日の仕事や人生における実践で
意識し活用する。

(5)翌朝、昨日どうだったかを振り返り、(1)に戻る。

オプティミズムは、訓練で高められる能力だ。

この能力を高めることによって、
変化に強く、変化を機会にする力を高めることができ、
持続的な幸せも高めることができる。

身体の柔軟性を、体操やストレッチによって
高めることができるように、この心の柔軟性も、
訓練によって高めることができる。

これは結果的には、
いわゆる「おみくじ」に似ているが、
おみくじとは決定的に違う。

未来を予測したり、決めつけたりはしない。

あくまでも考えるのも決めるのも自分である。

自ら新たな視点で現実を見て、
腹を決め、行動するのだ。

提示された新たな視点が、
あなたをとらわれから解放し、
行動への背中を押す。

■16個の変化に立ち向かう視点

受けとめる「0000」
〈素直にやるべきことを実行する〉

覚悟する「0100」
〈矛盾を引き受けることを覚悟する〉

求める「0001」
〈先走らず、今の一歩に集中する〉

立ち向かう「0101」
〈困難には立ち向かい、今日を最高の学びの日にする〉

始める「1000」
〈次のステージに向け、最初の一文字を書き始める〉

やってみる「1100」
〈力を蓄え、次の伸びしろが見えたら全身全霊で飛び移る〉

交わる「1001」
〈制約の中だからこそ、内なる原理に従う〉

踏み出す「1101」
〈人が集まり、知恵が交わる機会を活かす〉

信頼する「0010」
〈旅の落ちつかなさを楽しむ〉

教わる「0110」
〈心を開いて、異質な事物と交わる〉

心開く「0011」
〈積極的な意味で、一旦引く〉

感謝する「0111」
〈成長のための困難に感謝し、立ち向かう〉

結束する「1010」
〈心配し、そして笑い飛ばす〉

協調する「1110」
〈活躍できる状況に我欲を越えた行動を貫く〉

対等になる「1011」
〈制約には従い、工夫する〉

協創する「1111」
〈緊張する状況でもぶれずに前に進む〉

予測不能の時代:データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ

幸せとは、状態ではなく、動的な営みである、
という捉え方がとてもいいと思います。

そして、その行動を前向きな言葉で、
置き換えた16の視点が
とてもすばらしいと感じました。

対立の場に安易に身を置くのではなく、
矛盾を引き受ける。

先が見えなくても、立ち止まらないで、
今の一歩に集中する。

行動もできないときは、
困難を学びに変える。

あらかじめ心配して準備して、
後から笑い飛ばす。

どれも元気がでてくる言葉ですね。

あなたは、先の見えない困難な状況から、どのように幸せな行動を引き出しますか。

20220310 幸せな行動Happyingを習慣にする方法_予測不能の時代(10)vol.3343【最幸の人生の贈り方】

この記事は、メルマガ記事から一部抜粋し、構成しています。

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