科学と資本主義の未来―<せめぎ合いの時代>を超えて
広井良典(著)
東洋経済新報社(2023/4/7)
広井良典 ひろい・よしのり
京都大学人と社会の未来研究院教授。1961年岡山市生まれ。東京大学・同大学大学院修士課程修了後、厚生省勤務を経て1996年より千葉大学法経学部助教授、2003年より同教授。この間マサチューセッツ工科大学(MIT)客員研究員。2016年より京都大学教授。専攻は公共政策及び科学哲学。限りない拡大・成長の後に展望される「定常型社会=持続可能な福祉社会」を一貫して提唱するとともに、社会保障や環境、都市・地域に関する政策研究から、時間、ケア、死生観等をめぐる哲学的考察まで、幅広い活動を行っている。『コミュニティを問いなおす』(ちくま新書)で第9回大佛次郎論壇賞を受賞。
その他の著書に『日本の社会保障』(第40回エコノミスト賞受賞)、『定常型社会』『ポスト資本主義』(以上、岩波新書)、『生命の政治学』(岩波書店)、『ケアを問いなおす』『死生観を問いなおす』『持続可能な福祉社会』(以上、ちくま新書)、『人口減少社会のデザイン』『無と意識の人類史』(以上、東洋経済新報社)など多数。
戦争や飢饉や感染病ではなく、人口が急激に減少するというのは、
人類史上でもとてもめずらしい状況であり、
そんな時代に私たちはいると考えます。
高度成長期の空気感を子供ながらに感じ、
そして、実際に社会人になってみたら、
ピークを迎えた停滞感の真っ只中にいて、
そして、今は、減少期です。
これを衰退期としてみるのではなく、
もはや成長が必要なくなった、
成熟期として見るほうが
正しいのではないかと私は考えます。
とはいえ、明治維新のときの人口が、
日本の国土が海外から資源を搾取しなくても
養える人口であると仮定するならば、
まだまだ多すぎる人口を抱えているのが、
今の日本ではないかと思います。
一方、高齢化率はどんどんあがります。
このような人口構成の変化のもと、
適正な人口にどのようにソフトランディングさせていくか
ということが、とても重要だと考えます。
「生涯現役」にこだわらなくても、別の幸せな生き方があるようです。
今の時代に必要なことを、さまざまな視点から考えることができ、とてもよい本だと思います。