土と内臓―微生物がつくる世界 ⭐️10

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土と内臓―微生物がつくる世界
The Hidden Half of Nature: The Microbial Roots of Life and Health

デイビッド・モントゴメリー(著), アン・ビクレー(著), 片岡夏実(翻訳)
築地書館 (2016/11/18)

デイビッド・モントゴメリー David R. Montgomery
ワシントン大学地形学教授。地形の発達、および地質学的プロセスが生態系と人間社会に及ぼす影響の研究で、国際的に認められた地質学者である。天才賞と呼ばれるマッカーサーフェローに2008年に選ばれる。

アン・ビクレー Anne Biklé
流域再生、環境計画、公衆衛生などに幅広く関心を持つ生物学者。公衆衛生と都市環境および自然環境について魅力的に語る一方、環境スチュワードシップや都市の住環境向上事業に取り組むさまざまな住民団体、非営利団体と共同している。本書は初の著書になる。モントゴメリーとビクレー夫妻は、ワシントン州シアトル在住。

片岡夏実 かたおか・なつみ
1964 年神奈川県生まれ。

植物の根と、人の内臓は、豊かな微生物生態圏の中で形成されている。

根の周りには、微生物が集まり、根と相互作用しながら、それぞれの産生物を栄養として受け取ることで共存している。

胃は溶解器、小腸は吸収器、大腸は変換器として働き、胃は強酸でほとんど無菌状態になりながら、小腸、そして大腸では多くの微生物が消化に大きな役割を果たしている。植物繊維を分解する酵素はシロアリ以外の動物はもっていないが、これらを分解して、栄養として吸収できるのは、微生物のおかげである。動物によって、発酵の仕方には違いがあるが、人間は、大腸で最も多くの発酵が行われており、果物や野菜に含まれる複合糖質は大腸で消化・吸収される。

著者が新しく買った家の庭の死んだ土を蘇らせ、植物と動物がにぎわう庭になったのをとてもうらやましく思いました。著者のほかの本も読んでみようと思います。

庭の死んだ土を甦らせる

■微生物の繁栄

数え切れないほど多種多様な目に見えない生物──
細菌、原生生物、古細菌、菌類──が、
人間の表面と体内で繁栄しているのだ。

そして無数のウイルス(これは生物だとは考えられていない)も。

これらの細胞の数は、私たち自身の細胞の数を
少なくとも三対一(一〇対一だと言う者も多いが)で上回り、
こうした生物が私たちに何をしているのかは、
わかり始めたばかりだ。

土壌や人間の体内に棲む細菌の大多数は、
私たちに有益である。

そして陸上生物の歴史を通じて、
微生物は木の葉、枝、骨など
地球上のありとあらゆる有機物をくり返し分解し、
死せるものから新しい生命を創りだしてきた。

それでも隠された自然の半分との私たちの関わり方は、
その有益な面を理解して伸ばすのではなく、
殺すことを基準としたままだ。

微生物は植物に必要な栄養素を岩から引き出し、
炭素と窒素が地球を循環して、
生命の車輪を回す触媒となり、
まわりじゅう至るところで
文字通り世界を動かしている。

■土

土は半ば鉱物で半ば有機物、砕けた岩と
死んだ生物からなる風化した層という奇妙なものだ。

この脆弱な生きている皮膚、
地表から地球の核までの、
長さ六四〇〇キロのごくわずかを占めるにすぎない部分に、
土壌生物は織り込まれている。

一般的には厚さは一メートルに満たないが、
土壌は基岩、気候、地形、植生などに左右される。

この薄い層が陸地を肥沃に保つ。

土壌は地球を陸上生物が棲める場所にし、
生命をなんと死と融合して、
より多くの生命を生み出す。

死んだ動植物は土に引きわたされ、
やがてさらに多くの動植物に作り直される。

土は自然に備わったリサイクル業者と考えられる。

私たちがガラスと金属と紙とプラスチックの分別を始めるずっと前から、
有機廃棄物を再利用していたのだ。

■マルチを配合する

アンのマルチの配合は、
堆肥造りの経験則におおざっぱに従った、
場当たり的なものだった。

炭素が豊富なもの(木材チップや落ち葉)約三〇に対して
窒素を多く含むもの(コーヒーかすや刈り取った草)一の割合で
調合するのだ。

正確な割合はさほど重要ではなく、
炭素を多く含むものと窒素を多く含むものを覚えて、
前者を後者より多く使うことが肝心だ。

■5年間で蘇った庭

地球上の進化と同じように、微生物と土壌生物は、
あとに続くもののためにお膳立てをする。

生物が庭にやってくる順番は、
微生物や菌類から始まり、
ミミズ、クモ、甲虫、そして鳥まで、
生命が地球上で進化した順番を再現している。

土と内臓

「肥満、アレルギー、コメ、ジャガイモ――
みんな微生物が作り出していた!
植物の根と、人の内臓は、豊かな微生物生態圏の中で、
同じ働き方をしている。」

「土壌の生産力から、人体の免疫系まで、
微生物の群集が動かしていることを、
ここ20年の生物学は明らかにしてきました。

しかし、医学も、農学も、
微生物の有益な面を理解して伸ばすのではなく、
殺すことを基準にしたままです。

これまでの1世紀に渡る病原体との戦いを考えれば、
致し方ないことかもしれませんが、
地平線に沈む太陽を見ながら
地動説を受け入れるのに大変な抵抗があったように、
生物界が、人間の肉眼では見えない微生物によって
成り立っていることを理解するのには、
大きな摩擦があるでしょう。

本書は、その摩擦を減らす潤滑油のような作品です。」

というのが、表紙に書かれているメッセージと
出版社からのコメントです。

私自身、コロナ禍で、プランターで野菜栽培を始め、
コンポストとミミズで土づくりにも
興味を持っています。

さらには、食物と腸内細菌の関連についても
人体実験中です。

食べ物と食欲に注意を払っていると、
穀物に中毒性があることにも気づきます。

もしかしたら、
腸内細菌に動かされているのではないかと
観察をしているところでもあります。

今年の2月ごろ、引っ越しをしようかと思い、
候補に選んだのが、日当たりのよい庭のある家でした。

私は引っ越す気満々でしたが、
子どもたちの強い反対にあい、
やむなく断念をしました。

しかし、この本で著者がシアトルに庭のある家を買い、
不毛な死んだ土を甦らせ、
五年でハクトウワシまでやってくる庭になったのを読むと、
とても羨ましいです。

どんな世界を自分と自分のまわりにつくりたいのか、
描くために、この本を読んでいこうと思います。

あなたの家のまわりには、どんな土の上に、どんな草木が生えていますか。

20220907 土と内臓_庭の死んだ土を甦らせる(1)vol.3524【最幸の人生の贈り方】

動物は植物質を消化できない

■微生物

微生物は地球上でもっとも数が多く、
もっとも広く分布し、もっとも繁栄している生物だ。

微生物は、生命が誕生したときから、
三六億年以上生き残っている。

その短い寿命を考えれば、
ざっと計算して八〇〇兆世代を経ている。

全部合わせると、地球上には
一〇の三〇乗個の微生物がいると推定される。

微生物は数が多いだけでなく多様性に富み、
大きく五つの類型に分類される──
古細菌、細菌、菌類、原生生物、ウイルスだ。

古細菌は今のところ、植物や動物(人間を含む)に
病気を引き起こすとは考えられていないが、
菌類は植物の病害の大きな原因であり、
人間の病気を引き起こすこともある。

■遺伝子の水平伝播

なぜ微生物はこれほど多様で、
ありとあらゆるニッチを占めることができるのだろうか。

主な理由は
繁殖速度がきわめて速いことと、
微生物の遺伝子取り込みの方法だ。

細菌、古細菌、ウイルスは、
私たちが情報を交換するように遺伝物質を交換するのだ。

しかも微生物同士だけではなく、種の壁を越えて。

微生物は原生生物、昆虫、植物、動物に遺伝子を渡す。

遺伝子の受け渡しのために求愛行動を取ったり、
交尾などという不格好なことをしたりといった
面倒がないのだ。

気軽に遺伝子を交換し、
遺伝子のゴミ捨て場である死骸を含めた周囲のものから
DNAを吸い上げる能力により、
微生物は新しい状況に素早く適応できる。

微生物の痕跡は、少なくとも三四億年前にさかのぼる。

微生物はまったくの単独でいることはない。

ほとんどは複数の種が作る群落の中で
コロニーとして生活する。

■微生物と地球環境

微生物、特に光合成細菌が地球に及ぼした影響は、
いくら強調しても大げさではない。

酸素を豊富に含む地球の大気を作りだした以外にも、
海面近くに棲むシアノバクテリアは、
地球全体の大気中の二酸化炭素を調節するのに役立っている。

さらに重要なのは、
微生物が生命維持に必要なアミノ酸を作るのに欠かせない
大気中の窒素を捕らえていることだ。

それが土壌を肥沃に保つ自然のメカニズム、
地球の窒素循環を動かしているのだ。

■ウシが食べているもの

微生物は正確には密航者というよりも乗組員だ。

根から実に至るまで、植物は微生物に覆われている。

はるか昔、微生物は動物の体内にコロニーを作り、
アブラムシからウシ、二枚貝に至るまで
幅広い種と強固な協力関係を結んで、
消化過程に欠かせないものとなった。

人間は岩を食べることができないが、
私たちの身体は岩に由来する栄養素でできている。

岩を分解して成分を抽出し、
生物学的循環に乗せる上で、
微生物は重要な役割を果たす。

また、動物は、昆虫のほとんどすべてを含め、
きわめて安定して分解しにくい分子である
セルロースでできた植物質を、
実は消化できない。

セルロースはこの世界で一番手に入りやすい
食物源(そしてエネルギー源)だが、
それを分解するという困難な作業を、
動物は腸内に棲む微生物に
代わりにやってもらっているのだ。

ウシは体内の微生物発酵槽に
餌を与えるために草を食べる。

引き換えにウシは微生物発酵の生成物──
と微生物自体──で生きている。

土と内臓

微生物は、36億年以上生き残っていて、
800兆世代を経ていて、
10の30乗個の微生物が地球上にいるとなると、
地球上で最も繁栄しているのは、
微生物でしょう。

400℃での高温でも高圧なために、
水が液体でいるような過酷な環境でも、
南極の氷の下800メートルでも
砂漠の干上がった湖底でも、
生きている微生物が発見されます。

さらには、原子力発電所の冷却槽でも
繁殖できる微生物がいます。

となると、金星や火星でも微生物はいそうですね。

そして、これらの微生物は、
私たちが情報を交換するように
気軽に遺伝物質を交換しています。

多様性の創出ということでは、
真核生物は、まったく敵わないです。

動物というのは、セルロースを直接分解することができず、
体内の微生物に頼っているということです。

ウシがあのような巨体を草だけで作り出すことは
驚きの一つですが、
それは、体内にいる微生物のはたらきと
微生物そのものを食べていることに
よるということです。

パンダがなぜ竹や笹で大きくなれるのかも、
細菌のおかげで、
パンダ特有の細菌が14種類が見つかっているとのこと。

ただし、パンダは、ウシとは違って、
肉食動物と同じような消化器官だそうです。

人間も青汁だけで生きている人がいて、
その人の腸内環境は、ウシと似ていると書かれた本を
読んだことがあります。

日本人のみが、海藻を分解・吸収できると言われていますが、
これも腸内にすむ細菌のおかげのようです。

私たち(現代の子供たちは知らないけれど)が
生物で消化を学んだときは、
消化酵素の話しかありませんでした。

でも、実際には、消化酵素の役割はごく一部で、
大半は消化器官にある微生物のおかげなのかもしれません。

あなたは、植物をきちんと消化できていますか。

20220908 動物は植物質を消化できない_土と内臓(2)vol.3525【最幸の人生の贈り方】

動物と植物のはじまり

■真核生物の誕生

遠い遠い昔のある日、二つの微生物が
次々と驚くべき出来事を引き起こし、
それによって生命の歴史はすっかり変わった。

すべては最古の生物の一つ、
古細菌が細菌と合体したときに始まった。

この結合により複合生命体、初期の単細胞生物が
複雑な生物へと進化するきっかけとなった
微生物の雑種が誕生した。

そう、この奇想天外な生命体がやがて
あなたや私を含むあらゆる真核生物となって
地球の表面を歩き、走り、滑空し、のたうち、
くねり、泳いでいるのだ。

生物が密接に共同して、あるいは
一方がもう一方の中で生きていることを共生と呼ぶ。

微生物の共生が多細胞生物のもとになったという考えは、
初めは生物学の権威筋からほとんど支持されなかった。

二〇世紀の進化生物学者の大半は、
ダーウィンが信じたものを信じていた。

■マーギュリスの「シンビオジェネシス」

すべての多細胞生物は単細胞の生命体、
主に細菌が物理的に合体して発生したと、
マーギュリスは提唱した。

この奇妙で途方もない発想によれば、
一つの細胞が別の細胞を取り込み、
食べられた細胞に信じられないことが起きた──
生き続けた──ことから
高等な生命の進化が始まったというのだ。

共生的相互作用および共生的関係は進化において、
競争的相互作用以上とまではいわないが、
少なくとも同じくらい影響があったと
マーギュリスは主張した。

マーギュリスはこの理論を、着想のもとになった
忘れられた先行研究の用語を復活させて、
「シンビオジェネシス」と呼んだ。

マーギュリスは、遺伝子の水平伝播による
遺伝子やゲノム総体の獲得
(単一の遺伝子内で起きる小さな変異ではなく)が、
生命進化の初期には決定的に重要だったと考えた。

細菌のような単細胞生物が別の細菌と合体すると、
ゲノムは二倍になる。

一方、二枚貝や巻貝など多細胞生物は、
新しく細菌を獲得しても、
全体として数多くの細胞に新しい細胞が
一つ加わるだけだ。

性を伴わない遺伝子の水平伝播は、
旧来の遺伝観に、したがって普通の進化の考え方に
問題を突きつける。

微生物の世界は、遺伝物質の激流から
少しずつ取りこんでいると考えれば、
孤立した遺伝子の水たまりのようなものがあるという観念は
崩壊する。

さらに奇妙なのは、細菌のDNAを見れば見るほど、
種という概念が疑わしくなることだ。

細菌の遺伝子は、私たちや私たちになじみの動植物とは違い、
食物源や敵のような環境が変わると
変化することがある。

■生物の融合の歴史

●20億年前の第1の融合

最初の融合にかかわったのは二種類の古代の嫌気性生物、
古細菌と遊泳細菌で、
約二〇億年前に合体して最初の真核細胞を作った。

この最初の融合が原生生物、われわれが
アオミドロと呼ぶ藻類やアメーバのような単細胞生命体を
作りだしたのだ。

●12億年前の第2の融合

約一〇億年が経ち、変化する環境条件が第二の融合を促した。

光合成細菌とその排出物、つまり酸素の急増で、
大気中の酸素濃度が高まり、
酸素を利用する新しいタイプの細菌が
繁栄できるようになった。

原生生物が好気性細菌を取り込みながら
消化できなかったとき、新しい生物が誕生した──
酸素を使って生きる三位一体の生物が。

この第二の融合の産物が、動物と菌類の共通の祖先だ。

現在、取り込まれた好気性細菌の子孫は
ミトコンドリアの名で知られており、
多細胞生物の細胞内でエネルギー供給源として働いている。

●9億年前の第3の融合

もう一つの微生物のパートナーが
複雑な生物の名簿に入ったのは約九億年前のことだ。

シアノバクテリアを取り込むことで、
古細菌+遊泳細菌+酸素呼吸生物は、
太陽エネルギーで動く炭水化物製造工場を手に入れた。

この第三の微生物の融合が植物を生み出した。

植物を緑色にしている葉緑体は、
最初のシアノバクテリアの子孫だ。

●停戦協定

こうして太古の微生物同士が結合したことで、
あとに続く生命の進化の方向が決まった。

このような融合が希望に満ちた平和なものに
思われるといけないので、マーギュリスはそれを
「激しく争った結果を結んだ」と描写している。

始まりは荒っぽかったが、
他の細胞の中に住みついた侵入者は、
外界の危険から守られた安全地帯を得た。

●ウイルス

しかしウイルスは、そのような融合の産物ではない。

ウイルスは、細菌が初期地球の強烈な放射線に晒され、
生命を定義する特徴──自分自身を収納する細胞壁や、
食べて排泄することなど──を失ってできた欠陥品だと
考える生物学者もいる。

ウイルスは基本的要素以外すべてを失って、
宿主細胞の中で生きて複製するしかない
野放しのゾンビDNAやRNAの塊にすぎなくなった。

■ミトコンドリアと葉緑体

ミトコンドリアの起源は、
初期の原生生物に取り込まれた、
酸素を利用する初期の細菌だと考えられている。

その証拠は?

まず、ミトコンドリアはすべての真核生物が持っているが、
原核生物の中には見られない。

さらに、ミトコンドリアを覆う膜は、
他の細胞小器官のものと化学的性質も機能も似ていない。

これが意味するのは、
ミトコンドリアがかつて細胞外に独立して
存在していたということだ。

ミトコンドリアは独自のDNAも持っており、
DNA複製過程は細胞核内のものとまったく異なる。

その上、ミトコンドリアは複製のしかたが違い(単純分裂をする)、
そのタイミングも細胞本体とは異なる。

マーギュリスの考えでは、
この多彩な証拠はすべて同じ結論を示していた──
大昔にミトコンドリアは別の細胞の中に入り込み、
永続的な関係を結んだのだ。

葉緑体は、微生物融合の列に最後に加わった
日光を利用する細菌の末裔で、
今日では光合成を行なう生命体すべての内部に存在する。

ミトコンドリア同様、
葉緑体は植物の細胞核にあるものとは別に
独自のDNAを持つ。

■共生

微生物と大きな生物との関係を
研究する科学者が増えるにつれ、
共生の証拠も集まってきた──
アブラムシに、アリに、さんご礁に、私たち自身の身体に。

近年の発見で、特殊化した細胞に棲む微生物の中には、
宿主動物が作れないアミノ酸を宿主のために
供給しているものがいることが明らかになっている。

もちろん中には、藻類と菌類が
地衣類を形成するような馴染みの共同体もある。

一方あまり馴染みのないもの、例えば
バクテリアの牧畜を行なうアメーバ、
菌類を守り栽培するアリや昆虫、
葉緑体を持つウミウシ、
えらに木を消化する細菌を住まわせたフナクイムシ
のようなものもいる。

植物と菌類の共生は、
養分を再生する大循環の半分ずつを形作っている。

四億年以上前の最古の陸上植物にまでさかのぼる共生関係の中で、
それぞれがもう半分に餌を与えているのだ。

微生物の生存戦略として
共生がこれほど成功した理由の一つは、
その効率のよさに関係している。

二種類の細菌がいて、
それぞれもう片方が生産する老廃物を食べているとしよう。

この細菌は永久に養分をやり取りしながら、
群集として生き続けることができる。

協力するにせよ競争するにせよ、
微生物の集団は環境の化学的・物理的性質を変化させる。

一つひとつの微生物種は、
本当に得意とするものが限られている傾向にある。

微生物が集団を作って協力しあえば、
一種類だけのときに比べて、
できることの幅がはるかに広がる。

互いに有利な環境を作り出せる種の共同体は、
繁栄し長続きする。

私たちは、遺伝子の三分の一以上を
細菌、古細菌、ウイルスから受け継いだのだ。

土と内臓

微生物レベルでは、遺伝子の水平伝搬は、
ごく当たり前であるということを
昨日のメルマガでとりあげました。

そして、生物が進化するうえでは、
遺伝子の変異だけではなく、
共生、競争、停戦協定、融合ということも
とても重要な要素だったということです。

私たちのエネルギーを作っている
各細胞の核そのもの、ミトコンドリア、葉緑体は、
融合によって作られたというのは、
生物学でもっとも興味深いことの一つでは
ないでしょうか。

このおかげで、私たちは日本人の起源も
たどることができます。

父方の祖先をたどるならば、核のDNA、
母方の祖先をたどるならば、ミトコンドリアのDNAを
みればよいわけです。

共生は、いいことばかりではなくて、
依存させる仕組みを内在させていることもあります。

8/26のメルマガでとりあげた、
アカシアとアリの関係は、まさしくアリを依存させるために
神経作用に作用する蜜を出しているという事例でした。

クローズドな共生がよいかどうかは、
一律に判断することは難しいです。

まあ、人間の組織も同じようなものと考えれば、
私たちは共生して生き残ってきたわけです。

それが細胞レベルから始まっているということです。

そして、ウイルスって何なのでしょう。

気になりますね。

あなたは、共生と依存について、どのような形がよいと考えますか。

20220909 動物と植物のはじまり_土と内臓(3)vol.3526【最幸の人生の贈り方】

盛んに生長する植物と害虫や病気にやられてしまう植物のちがい

■盛んに生長する植物と害虫や病気にやられてしまう植物のちがい

盛んに生長する植物と
害虫や病気にやられてしまう植物があるのはなぜか。

1905年、インド植民地政府の帝国経済植物学者になった
ハワードは現在のニューデリー近郊にあった
プサ農業研究所を拠点にした。

そこで特に関心を持ったのが、
耕作法を変えると収量がどのように増え、
昆虫、菌類、病気に対して
植物がどう反応するようになるかの研究だった。

プサの農地で実験を始めたハワードは、
地元の自給農家の作物が、
殺虫剤や殺菌剤を使わなくても
健康で生産力が高いことに気づいた。

植物がなぜ病気になるのか、
ハワードは急進的な新しい結論に達した。

作物を病虫害から守るために
殺虫剤や除草剤を使用すると、
作物が健康に育ちにくくなる──
そしてさらに多くの毒物が必要になる──
とハワードは考えた。

昆虫と菌類はさほど問題ではなく、
むしろ生物学的清掃係だ。

傷ついたり弱ったりした作物を取り除いてくれるのだ。

ハワードの見方では、近代農業は
作物を病気にかかりやすくする道を突き進んでいる。

化学肥料は植物の生体防御機構を弱めてしまうと、
ハワードは推測した。

手がかりは地面の下にあると確信し、
菌根がかかわっているとにらんでいた。

ハワードの考えでは、土壌肥沃度の維持が
植物の健康と耐病性の真の基礎だった。

土壌の肥沃さを永久に保つ秘訣は
植物性と動物性両方の廃棄物(作物の刈り株と畜糞)を使って、
有益な土壌微生物の成長を促すことだ。

一八四三年から一九七五年まで
ロザムステッドで行なわれた実験は、
一世紀以上にわたり自家製堆肥を施した試験区で
土壌の窒素含有量が三倍になっていることを示した。

対照的に、化学肥料を施した区画に加えられた窒素は、
雨水に流されるか地下水にしみ出すかして、
ほとんどすべて土壌から失われていた。

長期的に見た農業は、希少な生命の成分を再生するという
自然の法則にもとづかなければならない。

還元の原則を実現するためには、
堆肥の製造が肝心だとハワードは考えた。

第一段階で必要なのは、
菌類を利用して植物性廃棄物を分解し、
あとで細菌がそれを処理して
腐植に変えられるようにすることだ。

農民は、その場の気候条件で生産できるものは
何を利用してもいい。

英国では麦わらや生け垣の剪定くず、
熱帯ではサトウキビの葉や綿花の茎というようにだ。

動物性廃棄物──尿、糞、骨、血液──も、
ウシのものであれ家禽のものであれ欠かせない。

■根圏と微生物

農学者で植物病理学者のローレンツ・ヒルトナーは、
一九〇二年、ミュンヘンに創設された
バイエルン農業植物研究所(ドイツ南東部の
農業支援を主な目的としていた)の初代所長に就任した。

ヒルトナーは植物の生長を促進する微生物改良材を開発し、
植物栄養に微生物が与える影響の研究の
草分けとなった。

植物の健康の鍵が──少なくともその一部が──
土の中に広く棲む微生物にあることを認めさせた。

土壌微生物は根のまわりで数が多いことに
ヒルトナーは気づき、この非常ににぎわっている範囲に、
根圏という特別な名前をつけた。

根圏はクモの糸ほどの植物の根毛一本一本を、
生きている後光のように取りまいている。

根毛は一本の根から数百万本生え、
それにより表面積が増えて、
植物と土壌微生物の相互作用が大幅に活性化される。

根圏に集まる微生物の数は、
最大で周囲の土壌の一〇〇倍になる。

植物が根から滲出液を放出すると、
細菌や菌類が根圏に群がる。

地下の食堂のメニューは滲出液だけにとどまらない。

根は成長につれて粘液を放出し、死んだ細胞を落とす。

根圏の微生物にとって、これらもやはり
すぐ食べられる炭水化物だ。

植物は自分では作れないもの、できないことと
滲出液を交換しているのだ。

植物は、病原体に殺されるのをのんびり待っているような、
無防備でひ弱な被害者などでは決してない。

少なくとも、根圏に植物にとって
有益あるいは無害な生物がたくさん棲んでいれば。

その場合、病原体には、堀のような根圏を渡って
植物の城壁を突破できる可能性がほとんどない。

植物が根滲出液の中に放出するフィトケミカルは、
もう一つの植物の防衛戦略だ。

こうした化学物質は地上・地下の脅威に幅広く対抗する。

窒素の必要を満たすために細菌に頼る植物は、
マメ科植物だけではない。

ハンノキ、ポプラ、ヤナギは根粒菌を勧誘して、
植物が生えない川の砂洲のような窒素に乏しい土地に
群落を作るのを手伝わせる。

窒素固定細菌は、
コーヒー、トウモロコシ、サトウキビのような
重要な作物の組織内や根圏でも棲息しているのが
見つかっている。

今日の科学者の目から明らかなのは、
根が有機化合物を分泌も吸収もするので、
根圏での炭素と窒素の流れは
きわめて複雑で双方向的であるということだ。

根はイオン、酵素、粘液、多様な有機化合物を発散する。

意外なことに、植物の根は
有機酸、糖質、アミノ酸を取り込みもするのだ。

根からの炭素の吸収が
植物の炭素収支に果たす役割は小さいが、
ある種の植物の根は土壌から吸い上げた炭素化合物を
有機酸に変えて、再び土壌に放出し、
有機酸は根圏で植物のリン吸収を向上させる。

微生物が自然の土壌肥沃度に
生物学的な触媒としてはたらいているとする新しい解釈は、
現代農業の哲学的基礎に異を唱えるものだ。

農芸化学が短期的に収穫量を高めるうえで効果的だったことは、
誰にも否定できない。

しかし除々にそれによって、
長期的な収穫を危うくしてしまったと
思われるようになってきた。

養分移行の阻害に加えて、
農薬の過剰使用は植物の防衛機構を低下・無力化させ、
弱った作物を病原体が攻撃する隙を作ることがある。

土壌を生物学的システムと考えれば、
少数の植物病原体に「対処」する農芸化学的手法が、
現代農業を悩ませている問題の根っこにある理由を
把握しやすい。

広範囲に効く殺生物剤がよいものも悪いものも
一緒に殺してしまうと、
真っ先に復活するのは悪者や雑草のようにはびこる種だ。

この根本的な欠陥によって、
農薬を基礎とした農業は中毒性を持たされている──
使えば使うほど必要になるのだ。

販売店や中間業者にとって、
これは商売としてうまみのあるものだが、
客にとっては長い目で見て逆効果だ。

そして農業の場合、私たち全員に影響が及ぶのだ。

土と内臓

私の今年のプランターでの実験は、
市販の有機肥料を含めた肥料を使わずに
野菜を育てられるかという実験です。

コンポストで作った肥料は、
酸性に偏っているのではないだろうかと
土壌センサーを買いたい気持ちをおさえて、
石灰だけ市販のものを混ぜて、
土を作りました。

最終的には、大量に増えたミミズ頼りです。

作業場の広さに制限があり、
すべてのプランターの土を
一度に作業することができなかったので、
全体として均質化することはかないません。

そもそもコンポストの原材料は、
私たちが昨夏食べたものが
元になっており、これも栄養分としては
偏っています。

コンポストが社会全体として、
リサイクルすることがかなり難しいことを
実感しています。

私たちもかなり気まぐれに食事をしているので、
安定した品質のコンポストが作れるかというと
そんなことはないからです。

現に、コンポスト1号と2号では、
かなり状態の違う堆肥ができました。

そして、コンポスト容器で作られる堆肥の量と
それを使うプランターの土の量も
まったく見合っていないことがわかりました。

循環システムはすぐに出口を失いました。。。

 
有機肥料が化学肥料より絶対よいかというと
そういうことでもなく、
量が勘に頼ることも多いので、
やりすぎるとそれはそれで土がうまく作られず、
そこで作られる野菜は、
ひ弱になり、枯れる前に腐るようなものに
なってしまいます。

何の肥料がなくても、草や木が生い茂っている、
空き家の庭のほうが、うまく生態系が
つくられていることになります。

近所に何軒かあります。

日常的に土の上を歩くことがまずなくなりました。

外へ出ても、コンクリートか砂利の上。

便利かもしれないけれど、
長い歴史でみると、
環境としては異常ですね。

そんななか、コンクリートの隙間や、
タイルの溝にたまった土から生えてくる雑草を見ると
植物はそんなことに負けないという自負のような意志を
感じます。

土壌有機物の最大八〇パーセントを
微生物の死体が占めているということ。

私たちの世界は、本当に微生物でつくられているということを
改めて気づきます。

あなたのまわりで自生している植物は、どんな土に生えていますか。

20220910 盛んに生長する植物と害虫や病気にやられてしまう植物のちがい_土と内臓(4)vol.3527【最幸の人生の贈り方】

人体の中の微生物

■人体の中の微生物

微生物の目から見れば、
私は生きている丈夫な格子垣──
が裏返しになったもの──で、
そこに無数の微生物がからみつき、はい上がり、成長する。

細胞の一つひとつに、
少なくとも三個の細菌細胞が棲んでいる。

それは私の身体の内外いたるところ──
皮膚、肺、膣、爪先、ひじ、耳、目、腸──にいる。

私は彼らの故国だ。

私たちはみんな、別の生物の生態系の寄せ集めなのだ。

しかし、私たちの身体に加わるのは
微生物そのものだけではない。

微生物は人間の遺伝子レパートリーを増やしているのだ。

細菌だけで約二〇〇万個の遺伝子を
人間の体内に持ちこんでいる。

ヒトゲノムにあるおよそ二万のタンパク質コード遺伝子の
一〇〇倍だ。

マイクロバイオームのほかの構成員──
ウイルス、古細菌、菌類──のゲノムを合わせると、
私たちの体内にある微生物の遺伝子は
六〇〇万にもなる。

■腸内の微生物とGALT

ヒトの腸で優位を占めるのは、
二つの細菌の門──
バクテロイデス門とフィルミクテス門──である。

腸内マイクロバイオームを構成する
他の一〇門の中で代表的な細菌は、
先進国に住むヨーロッパ人の場合、一般に
プロテオバクテリア、放線菌、
ウェルコミクロビウムに属するものだ。

しかし狩猟採集民やアフリカや南アメリカの農村住民では、
腸内マイクロバイオームの構成がまったく違い、
もっと多様だ。

これまでのところマイクロバイオーム研究は
ほとんど細菌だけに集中しているが、
ほかのタイプの微生物を加えると、
ヒトマイクロバイオームは
ドメインと界にまたがるのだ!

もう一つ、生命の樹に居場所のないウイルスを加えれば、
私たちが本当は奇妙きわまりないキメラであることが、
たやすく理解できる。

私たちの身体にあるすべての生物生息地で、
量と多様性においてもっとも豊かなのは、
長さ七メートルの消化管だ。

特に最後の一・五メートル──大腸──には、
腸内マイクロバイオームの約四分の三、
何兆個もの住人が入っている。

さらに驚くべきことに、
私たちの腸内に棲む微生物の大多数は、
培養されたことがない。

人間の身体の外では生きられないのだ。

免疫系の約八〇パーセントは
腸、特に大腸に関係している。

免疫学者は免疫系のもっとも大きな部分に、
「腸管関連リンパ組織」あるいは「GALT」という
名前をつけている。

私の健康を支えるもう一つの大きな要因があった──
大腸内の微生物だ。

■大腸はなぜ免疫系の中心なのか

大腸の壁はおそろしく薄い。

細胞たった一個の厚みだ。

内腔(大腸内部の空間の呼び名)を向いた細胞の上には、
粘液が保護土の分厚い層のように載っている。

大腸の壁の外側にあるのが、
加圧ソックスのような特殊な粘膜で、
体内で病原体発生源となる可能性がもっとも高い部分に、
GALTをきちんと収めている。

さまざまな種類の免疫細胞があるなかで、
樹状細胞だけが大腸の外側から内側へ入ることができる。

樹状細胞の腕は大腸内腔や粘液から抗原を集め、
入ってきたときと同じように出ていく。

樹状細胞は、細胞表面から立ち上がる旗竿のように
機能する特殊な分子も備えていて、
抗原をその旗竿に掲げて提示する。

樹状細胞とT細胞は共通の言語を使っている──
それが抗原だ。

すべてのT細胞は胸腺で生まれるが、
そこで樹状細胞とT細胞が出会うわけではない。

また、T細胞は胸腺から出てすぐ
活性化するとも考えられていない。

T細胞の生涯の第一段階は、
人体の大海原を放浪することだ。

一連の特定のできごとが起きて初めて
T細胞は活性化する。

まず、T細胞と樹状細胞が
リンパ節か脾臓の迷路の中で、
実際に相手を見つけなければならない。

次に、それに合わせて
T細胞受容体が作られるように
樹状細胞は抗原を提示していなければならない。

この両方が起きるとき、T細胞は活性化する。

そしていったん活性化すると、
それが幼少期でも成人してからでも、
T細胞は通常一生ついてまわり、
くり返し同じことをする。

T細胞には少なくとも六種類あり、
それぞれの型が私たちの免疫系に
独特の形で寄与する。

T細胞とは対照的に、
B細胞は骨髄から誕生する。

T細胞と同様に、B細胞も体内を放浪して、
それを活性化する抗原を探しながら
絶えず脾臓とリンパ節を通り抜ける。

B細胞の活性化により、
最終的に抗体が生産される。

B細胞の強みは、比較的速く抗体を生産できることにある。

これは動きの速い病原体の感染に対抗する上で、
大きな違いを生む。

■虫垂

虫垂について考えてみよう。

小腸から大腸への変わり目にある、

不可解なよどみは、
かつて何の役にも立っていないと考えられていた。

このよどんだ場所は、
消化管の洪水のような環境からの安全な隠れ場所を
共生生物に提供する。

他の生態系では、このような生息地は
レフュジア(避難所)と呼ばれている。

動植物種の中には、壊滅的な洪水や火山の噴火のあと、
無傷でレフュジアから姿を現わし、
攪乱された場所に再び定着するものがいる。

レフュジアの生物群集は、
最初に到着したときに構成を定める。

そして、多くの細菌がそうであるように
世代交代時間は二〇分なので、
共生生物をただちに中に入れてやることが、
もっとも重要だ。

こうしたことから、
虫垂が実際には何の役に立っているのか説明できる。

病原体を排除するために下痢が起きたあとで、
共生菌を供給して
すぐに再定着できるようにしているのだ。

おそらく大腸の陰窩も
細菌にとってのレフュジアなのだろう。

共生生物が提供する情報は、
免疫系が不要な炎症を引き起こさないようにするのに役立つ。

私たちにとって一番起きてほしくない事態は、
相当な威力を持たされた免疫系が、
本来守るはずの身体とけんかしてしまうことだ。

微生物は、私たちの血液中にある代謝産物の、
三分の一までもを作りだしているのだ。

免疫系は微生物を殺すために進化したと、
かつて私たちは考えていた。

それが今では、微生物が免疫系のはたらきを
助けていると考えられるようになっている。

土と内臓

私が理科の授業で、内臓の働きを学んだとき、
「大腸は、小腸で吸収された消化物の搾りかすから
水分を吸収する働きを担っており、
虫垂は、なくても生きていくことができる」
と教わりました。

大腸が免疫系で大きな役割を果たしていて、
虫垂はその免疫系を支えるまさかのときの
微生物の避難所である、
とは教わっていません。

消化器官は、厳密には体外です。

小腸の長さは6〜7メートル、
表面積はテニスコート1面分。

大腸の長さは約1.5メートル、
表面積はテニスコート半面分
と言われています。

長さで比較すると、
大腸の表面がいかに複雑な構造かと
いうことが推測されます。

しかし、その表面は、細胞ひとつ分の薄さ。

この薄さでどうやって体内を守っているかというと
それが微生物のおかげです。

ありがたいですね。

そこで、私が今一番気になっているのが、
腸内環境ということです。

これが結構おもしろいんですよね。

細菌の世代交代は約20分だから、
比較的簡単に入れ替えることもできます。

しかし、抗生物質を1週間使った場合、
元には戻らないということも
わかっています。

抗生物質は、本当に切り札として使うべきなのに、
いまは、あまりに安直に使われています。

いまやMRSAは、医療関連だけでなく、
市中感染もあるようです。

抗MRSA薬も次々作られていますが、
単なるイタチごっこになりつつありますね。

まずは、次世代が生まれてくるときに、
健康なマイクロバイオームを引き継ぐ。

そのあとも、健康なマイクロバイオームを
育て続けるというのが、
根本的な解決策だと考えています。

腸内フローラの状態を観察するのは、
誰でも簡単にできることです。

肉の多い食事にするか、
野菜の多い食事にするか、
発酵食品をとるか、
など、インプットを変えるだけでも
すぐに大きく変わるので、
試してみる価値はあるのではないでしょうか。

人の体は、地球と同じくらいの多様性かと
考えていましたが、
そうではなく、銀河と同じくらいの多様性のようです。

自分が宇宙の支配者だと考えたときに、
どんな宇宙にしたいか、
自分で変えられるということです。

おもしろいじゃないですか。

あなたは、体内の微生物にとって、どんな環境をつくるよう、心がけていますか。

20220911 人体の中の微生物_土と内臓(5)vol.3528【最幸の人生の贈り方】

伝染病との闘い

■伝染病のはじまり

私たち戦後のベビーブームの末期以降に生まれた者は、
運がよかったと考えていいだろう。

前の世代を苦しめていた病気のワクチンを、
私たちは定期的に接種された。

ポリオ(急性灰白髄炎・小児麻痺)と麻疹の二つは、
私たちの親が子どものころには
珍しくない病気だった。

伝染病は常に人類を苦しめてきたように
思われるかもしれないが、実はそうではない。

太古、農耕社会が発生する以前は、
人間は最大四〇人から五〇人の
小さな移動性の集団で暮らしていた。

人々は狩猟や採集で得られるものを何でも食べた。

このような生活様式──絶えず移動し、
他の集団の人間から長期間隔離されている──は、
伝染病の流行を防いでいた。

手首や足首の捻挫のような小さなけがのほうが
問題だったようだ。

伝染病が初めてしっかりとした足場を得たのは、
五〇〇〇年から一万年前、
初期の農耕社会の出現にともなってのことだと
広く考えられている。

定住して作物を栽培し家畜を育てるようになったことで、
食料供給は予測しやすくなり、
時には狩猟採集生活よりも豊富になった。

またその結果、女性は短い期間に
より多くの子どもを産むようになった。

そして人口が増えるにつれ、
私たちは農耕民の生活様式になじんでいき、
人口密度は狩猟採集民集団の一〇倍から一〇〇倍に達した。

致命的なヒトの病原体の多くは、
家畜化した動物、あるいはネズミ、ノミ、蚊のような
人間やその廃棄物を餌にしている動物から始まった。

DNA解析によって、多くの微生物──
天然痘、百日咳、猩紅熱を引き起こすものを含めて──が、
さまざまな動物や昆虫から人間へ、
ひと跳びで移ってきたことがわかっている。

だがこうした病原体はそもそも
どこから生まれたものだろう?

もちろん、自然からだ。

木を一本切り倒すごとに、
土地にくわを入れるごとに、
私たちは微生物とその宿主を追い出してきたのだ。

一般に細菌は日和見的で繁殖が速く、
遺伝子交換ができる。

人間の集中は、細菌など病原体となりえるものにとって
理想的な舞台──密度が高く混じりあう集団──
となった。

■伝染病の歴史

細菌、ウイルス、原生生物が引き起こす病気は、
何度となく社会に蔓延し、
発熱、死、あるいは食糧不足をもたらして、
歴史に大きな影響を与えた。

その途上で、衛生状態の改善が
病気の抑制に重要であることがわかってきた。

清潔な飲み水や下水道のような基本的な公衆衛生対策は、
一九世紀末から現われだした。

こうした取り組みは、
それまでのどのような方法よりも
多くの伝染病を抑制・撲滅した。

しかしそれでも、一部の病気は
依然として大きな死亡原因だった。

ワクチンはもう一つの有効な方策だった。

それは微生物を殺すのではなく、
免疫力を高めるのだ。

■天然痘

バリオラ・メジャー・ウイルスは、
もっとも死亡率の高いタイプの天然痘を引き起こす。

早くも農耕が始まった直後から、
人類を悩ませ始めた病原体の一つだ。

流行のあいだは、老いも若きも
約三分の一の確率で天然痘に感染し、
いったん感染すると約五分の一の確率で死亡した。

たいていの伝染病と同じく、
子どもは特に感染しやすい。

感染すれば、一〇歳未満の子どもの死亡率は
八〇から九八パーセントにのぼった。

一八世紀の終わりごろには、
ヨーロッパでは毎年四〇万人が天然痘で死亡した。

生き延びた者も無傷では済まなかった。

天然痘の膿疱が吹きだしたところが、
かさぶたになる。

一八世紀にはヨーロッパ人の失明原因の
三分の一以上を占めたと推定されている。

紀元前一五世紀という古いエジプトのミイラにも
それを見つけることができる。

この病気に関する中国の記録は、
少なくとも紀元前一一世紀にさかのぼる。

こうした過酷な流行のあいだ、
生存者が新たな病人の世話をした。

感染を生き延びれば免疫が得られることが、
広く知られていたのだ。

一方で、医療行為はたいてい有害無益だった。

数世紀にわたり、運悪く治療を受けられた患者は、
暖炉に火が燃えさかり窓が閉め切られた部屋に
閉じこめられた。

ヨーロッパの患者も同じくらい
見当はずれの治療法に苦しめられた。

血とともに熱を放出するためにヒルが用いられた。

裕福な人々の多くは「赤色療法」を受けた。

この破れかぶれで不合理な治療法は、
患者に赤い服を着せ、赤い毛布を掛けて、
赤いカーテンの掛かった部屋に
寝かせておくというものだった。

この習慣は二〇世紀の初めまで続いた。

中国では一〇〇〇年前から天然痘の接種を
すでに行なっていた。

予防接種が行なわれるようになってからの、
天然痘による年間死者数の統計値を見れば、
一八〇一年から一八七五年のあいだに
六分の一に減ったことがたちどころに明らかになる。

スウェーデンでは一八一六年以降接種が義務づけられ、
天然痘による年間の死者数は、
一八〇一年の一万二〇〇〇人から
一八二二年にはわずか一一人へと、
一〇〇〇分の一に減少した。

■センメルワイス反射

ワクチン接種と同様、衛生基準の見直しも
医療の改善に役立った。

一八四〇年代後半、微生物が病気の原因であることを
科学者が理解する数十年前、
ハンガリーの医師センメルワイス・イグナーツは、
当時急進的な発想であった手洗いを推進した。

センメルワイスは、医師は解剖のあと、
生きている患者を診察する前に白衣を着替え、
手をカルキ(次亜塩素酸カルシウム)で洗うべきだと
主張し出した。

この簡単な方法で、医師が勤務する病棟では
死亡率が九〇パーセント低下し、
助産師が勤務する病棟と同じレベルになった。

センメルワイスの成功は医学界を激怒させた。

自分たちのような紳士に対して手が汚いだの、
助産婦のほうがちゃんと仕事をしているだのと
よく言えたものだ。

同僚たちから疎まれ、センメルワイスは
即刻ウィーン総合病院を解雇された。

センメルワイスはブダペストへ移り、
小さな病院の産科病棟で
無給の名誉部長のポストを引き受けた。

ここでも産褥熱が猛威を振るっていた。

センメルワイスはすぐに手洗いを実施し、
病気はほとんどなくなった。

新しいハンガリー人の同僚も同じ反応を示した。

彼らはこの方法を冷笑し、
手を洗うことで病気の蔓延を防げるという
馬鹿馬鹿しい認識を受け入れなかった。

激しい批判が絶え間なく哀れな医師を傷つけた。

重いうつ病を患ったセンメルワイスは精神病院で死んだ。

今日、旧来の通説やパラダイムに反する
新しい知識への手のつけられない拒絶を、
哲学者は「センメルワイス反射」と呼んでいる。

土と内臓

個人的には、天然痘に対する「赤色療法」が
とても興味深かったです。

裕福な人しか受けられなかった療法です。

当時の熱による発汗、ヒルなどの瀉血療法は、
確実に体力を消耗する療法なので、
それに比べると「赤色療法」は無害です。

効果はないと思いますが、
悪さも行っていません。

さて、ポリオについて調べていたら、
なんとニューヨークでポリオウイルスが拡散していると
いう2日前のニュースを見かけました。

下水で発見されたとのこと。

どこから入り込んだのでしょう。

ポリオワクチンというのは、
生ワクチンと不活性化ワクチンの二種類があります。

生ワクチンは経口投与、
不活性化ワクチンは、注射での接種になります。

ワクチンについての私個人の見解ですが、
ポリオワクチンに限らず、
注射での接種というのは、人体の免疫系を無視した
とても乱暴なやり方だと考えています。

ですから、私が選ぶなら、経口投与です。

消化器官は、体外ですから、
人間がもっている免疫系をフルに活用して、
免疫を獲得することができます。

一方、注射は、いきなり血液に毒物を入れるわけですから、
人体の免疫防衛線を飛び越えているわけです。

人類は、免疫系をきちんと理解していないのに、
乱暴すぎます。

だから、私は新型コロナワクチンを接種しないのです。
決して、陰謀論とかではありません。

鼻から噴霧するタイプのワクチンだったら、
接種することにやぶさかではありません。

呼吸器系も鼻腔や気管支、肺に
免疫システムをもっているからです。

どうしてそんなワクチンが開発されないのか、不思議です。

そして、センメルワイスは、
正しいことを強行に押し進めすぎて
不幸な人生を送ったようです。

本人に直接あったことはないけれど、
性格もまっすぐすぎたのかもしれません。

批判を受けすぎて、うつ病なんて、、、

正しいことを推進しようとしただけに、
なんとももったいないことです。

「自分たちのような紳士に対して手が汚いとはなにごとか」
「医師より助産婦のほうがちゃんと仕事をしているとは」

結果を出したから、余計に批判をくらったのでしょうね〜〜

現代、病院の入り口どころか、
店舗の入り口では、必ず消毒液が置いてあるのを
見せてあげたいです。

今度は、やりすぎだと言ってくれそうな気もしますが。

あなたは、伝染病との闘いの歴史から、何を学びますか。

20220912 伝染病との闘い_土と内臓(6)vol.3529【最幸の人生の贈り方】

奇跡の抗生物質がもたらしたもの

■奇跡の抗生物質のブーム

ペニシリンの本格的な大量生産が始まり、
再び世界大戦がヨーロッパで荒れ狂うと、
前線へどっと供給された。

感染症による兵士の死を防ぎ、
もう一つの重大な軍隊病、
淋病を抑制するものは、
敵方にはない強力な武器だった。

ワクスマンの研究所は、
抗菌物質を探して土を丹念に調べ続けた。

それは大きな実を結び、
さらに一〇種類の抗生物質が発見された。

ワクスマンの研究室で続々と生まれた
土壌細菌由来の抗菌物質は、
以前のペニシリンやサルファ剤とともに、
戦後の抗生物質ブームを巻き起こした。

一九六〇年代までに数百種の抗生物質が新たに発見され、
それまで深刻だったきわめて幅広い細菌感染や病気が、
一回二、三錠の薬を一、二週間毎日飲み続けるだけで
すっかり治るようになった。

命を救うだけでなく、儲けにもなった。

そのおかげで、一〇年か二〇年のあいだに、
アメリカ人は二度と感染症や伝染病での死を
心配することなく生きられるようになったかに見えた。

■耐性菌の発生

だが、一九四〇年一二月二八日、
ペニシリンの大量生産が始まる直前、
『ネイチャー』誌は先取りしたかのような論文を
発表した。

B・コリ(のちにE・コリと改称される)という細菌を
研究室での実験でペニシリンに暴露させたところ、
それを分解できる酵素を出したというのだ。

一九四〇年代の終わりには、
研究者はもう一つの問題にぶつかっていた。

ストレプトマイシンが一部の結核患者に
効かなくなっていたのだ。

それどころか、ワクスマンの研究室が発見した
ほとんどすべての抗生物質が、
それ以外の抗生物質同様、
すぐに標的となる細菌に耐性を誘発した。

のちに、細菌は巧妙な対抗メカニズムを
持っていることがわかった。

抗生物質は感染の原因となる細菌を
すべて殺してしまうわけではない。

抗生物質の投薬を生き延びた細菌は、
仲間がまわりで溶けている中で増殖する。

何より重要なのは、
抗生物質から逃れられる形質を与える遺伝子を、
生き残りは次代に伝えることだ。

この単純な現実こそが、抗生物質の弱点だ。

■抗生物質の過剰投与

過去半世紀、抗生物質は常に過剰処方され、
耐性菌の増加につながった。

しかし、より深刻な抗生物質の乱用が
現在進行中なのを、知る者は少ない──
成長促進のために、健康な家畜に
大量投与されているのだ。

抗生物質を与えた動物は、
与えないものより早く太る。

全世界で使われる抗生物質のおよそ九〇パーセントが、
明らかな感染のない動物に与えられている。

これは耐性菌を発生させるさらに効果的な方法であり、
実際そのように働いている。

人間と動物に共通して感染する微生物のあいだに、
抗生物質耐性が急速に広まれば、将来の世代は、
一度は克服したと思われていた感染症に
日常的にかかって死ぬ恐れがある。

微生物との戦争に勝とうとするあまり、
私たちは抗生物質をできるだけ効果的に使ってこなかった。

■細胞を壊している抗生物質

抗生物質でヒトの病原体を殺そうとする過程で、
自分のマイクロバイオームの改変まで
引き起こしてしまった。

私たちは自分自身の防衛線を、
長い時間をかけて壊してしまったのだ。

抗生物質の効果に関する最新の知見は実に衝撃的だ。

オレゴン州立大学の研究者は、マウスの実験で、
抗生物質が殺しているのは細菌だけではないと
報告した。

それは大腸内壁の細胞も壊しているのだ。

どのようにして抗生物質が
哺乳類の細胞を殺すことができるのか?

細胞一つひとつにある小さな発電所、
ミトコンドリアにダメージを与えるのだ。

大昔、ミトコンドリアは独立した細菌だったことを
思い出してほしい。

ミトコンドリアのルーツが細菌であることが原因で、
ある種の抗生物質に弱点があるらしいのだ。

過去五〇年に研究者が見てきたのは、
腸機能障害のただの上昇傾向ではない。

四〇倍の増加だ。

患者が一万人に一人から二五〇人に一人にまでなったのだ。

私たちがこのような病気にかかりやすくなったのには、
遺伝子のせいも多少あるかもしれないが、
腸マイクロバイオームの変化の関与も大きくなっている。

土と内臓

抗生物質を使っている処方薬を調べてみました。
https://www.qlife.jp/meds/search/?k=抗生物質&t=rx&f=5%3A2%3A1%3A9%3A3%3A4%3A7#main

日本では、703種類ですね。

厚生労働省にまとめてある資料を発見しました!
「薬剤耐性(AMR)対策について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120172.html

「薬剤耐性(AMR)ワンヘルス動向調査年次報告書2021」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000938734.pdf

P.12 要旨より抜粋

日本におけるヒト用抗菌薬の販売量に基づいた抗菌薬使用は、
2013 年と比較して、29.9%減少していた。

畜産動物においては、成果指標のひとつである、
大腸菌のテト ラサイクリン系薬に対する耐性率は、
2016 年以降増減を繰り返し、2019 年は 44.3%と低下していない。

水産動物においては病魚由来のα溶血性レンサ球菌症原因菌の
リンコマイシンに対する耐性率は
2017 年に 61.0%、2018 年に 31.5%、2019 年には 55.2%で推移し た。

健康な愛玩動物(犬及び猫)由来の大腸菌については、
疾病にり患した愛玩動物(犬及び猫)と 比較して、
全ての薬剤で低い耐性率を示し、
概ね感受性が維持されていることが確認された。

2019 年における各分野の販売量などから
推計した抗菌薬の使用量(トン: t)は、
ヒト 600.2、
畜 産動物 611.4、
水産動物 222.1、
愛玩動物 8.0、
抗菌性飼料添加物 225.5、
農薬 136.2、
合計 1803.4t であった。

同じページに、
「抗微生物薬適正使用の手引き 第二版 ダイジェスト版 (2020年3月)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000647501.pdf
もあるので、こちらも拝見。

当然ではありますが、新型コロナウイルスには
対応していない手引きです。
 

対象が2つに分けられています。
▶ 基礎疾患のない学童期以降の小児と成人対象
▶ 基礎疾患のない生後3か月以降から小学校入学前の乳幼児

▶ 基礎疾患のない学童期以降の小児と成人対象
「風邪」をひいたと訴えて受信した患者について、
抗菌薬を考慮するか、不要と判断するか、
区別するようになっています。

例えば、「感冒」は、

発熱の有無は問わず、
鼻症状(鼻汁、鼻閉)、咽頭症状 (咽頭痛)、
下気道症状(咳、痰)の3系統の症状が
「同時に」、「同程度」存在する病態

【 感冒に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨する】

本当にそうしてほしいです。

昔子どものころ、恐る恐る「家庭の医学」を
のぞいていたものですが、
”この”厚生労働省の手引きの内容なら、
誰でも見ておいたほうがよいのではないかと思いました。
(新型コロナウイルスには対応していないけれど)

あなたは、自分の体の不調に対して、どのように判断、処方を行っていますか。

20220913 奇跡の抗生物質がもたらしたもの_土と内臓(7)vol.3530【最幸の人生の贈り方】

大腸の微生物相を変える実験

■腸内微生物と肥満

中国の微生物学者、趙立平が
二〇〇四年に興味深い論文に出会って、
実際に起きたことだ。

その論文は、マウスの腸内微生物の構成が
肥満に及ぼす影響についてのものだった。

当時趙は大幅に余分な体重を抱えており、
何とか自分の腸内微生物相を変えられないかと
考えた。

自身の健康への不安と、
微生物が肥満と関係しているという考えへの興味から、
趙は、食事を変えることで腸内微生物相が変わり、
余計な体重を落とせるかどうか
試してみることにした。

趙は、昔から薬効があると考えられてきた食品、
特に全粒穀物、ナガイモ、ニガウリなどを
中心とした伝統的な食事に戻った。

この新しい食事法はうまくいった。

二年のうちに余分な体重はすっかり落ちた──
二〇キロ近くも。

趙はこの新しい食事法をWTPと呼んだ。

WはWholegrains(全粒穀物)、
TはTraditionalfoods(伝統食品)、
PはPrebiotics(プレバイオティクス)のことだ。

趙が自分の便のサンプルを分析して
腸内微生物相の変化を観察したところ、
新しい食事法がフィーカリバクテリウム・
プラウスニッツィという細菌と
特に相性がいいことがわかった。

最初、この細菌は検便しても現われなかった。

しかし二年の期間の終わりには、
F・プラウスニッツィは趙の腸内微生物相の
なんと一五パーセントを占めるようになった。

この細菌は、大腸が慢性的に炎症を起こすという症状の
クローン病や潰瘍性大腸炎の患者には、
特に重要なものだ。

F・プラウスニッツィを腸内に入れると、
炎症が軽減するのだ。

趙の自己実験を耳にして、
一人の男性が必死の思いで助けを求めて研究室を訪れた。

二六歳のその男性は、体重が一七五キロあり、
高血圧、高血糖、高トリグリセリド血症
(血中の脂質が多い状態)といった肥満に由来する
健康状態に苦しめられていた。

この男性の血中にはリポ多糖という分子が
高濃度で存在することにも趙は気づいた。

この分子はヒトの腸に普通に棲んでいる
細菌の細胞壁に見られるが、
血液中に多量にあるのは問題だ。

リポ多糖は別名「内毒素」と呼ばれる。

内毒素はいくつかの経路で腸から逃げ出す。

一つはとても単純──漏れだすのだ。

大腸内壁を覆う細胞の一番小さな隙間でも、
内毒素が(そしてほかの大腸内容物も)
腸壁から血流へと抜け出すのには十分だ。

このシナリオは「腸管壁浸漏症候群」を引き起こす。

趙が気づいたもう一つ濃度の高いものが、
内毒素のもとだった──エンテロバクター属の細菌だ。

それがこの人の腸内マイクロバイオームの
約三分の一を占めていた。

■脂肪の二つの役割

食事性脂肪と体脂肪は混同されやすいが、
脂肪は見かけほど単純ではない。

食べたほうがいい善玉の脂肪があるだけでなく、
体脂肪の基本的な利益について、
今ではほとんど誰も考えない。

かつて体脂肪は周期的に起こる不作、
あるいは野生動物や食用植物の不足の際に役に立った。

面白いことに、食事性脂肪は必ずしも
体脂肪を増やすわけではない。

しかしブドウ糖、つまり糖質の過多は体脂肪のもとだ。

単純糖質を食べ過ぎると、それが脂肪に変わり、
予備プランの備蓄を増やす。

なぜ人間は、単純糖質を脂肪に変えるように
プログラムされているのか。

まず、私たちの身体は血中のブドウ糖量を、
一定の適度な水準に保とうとする。

これには二つの目的がある。

臓器へのダメージを防ぐことと、
エネルギー供給を確実にすることだ。

そして脂肪は余分なカロリーを
貯蔵したり取り出したりするのに
効率のいい形なのだ。

脂肪組織を構成する細胞は、
肝臓や心臓の細胞と同様に特殊化している。

そして代謝という面では、
脂肪組織は非常に活発で、
血糖やホルモンの調節から免疫まで、
あらゆる役割を果たしている。

脂肪細胞もサイトカインを作る。

あるものは脳と相互作用して、
空腹でたまらないとき、
食べずにいられなくする。

またあるものは血圧の調節を助け、
インスリンの分泌をうながし、
肝臓に働きかけて貯蔵したブドウ糖を
放出させたり手放さないようにさせたりする。

こうしたサイトカインは
非常にホルモンに似たはたらきをするので、
脂肪組織は第二の内分泌系にたとえられる。

面白いのは、脂肪組織も免疫細胞を持っていることだ。

それも非常に多いことがわかっている。

肥満者では脂肪組織の最大五〇パーセントが
マクロファージでできている。

非肥満者では、マクロファージは
脂肪組織の五パーセントを占めるにすぎない。

腸からの内毒素が脂肪組織に押し寄せると、
局所のマクロファージとT細胞がそれを抗原だと解釈する。

抗原がたくさんあり、免疫細胞がたくさんあると、
大量の炎症誘発性サイトカインが解き放たれる。

その一つがインターロイキン6(IL-6)だ。

最初高かったIL-6のレベルが、
WTPダイエットをしているうちに下がってきた。

土と内臓

引用箇所に入れなかったのですが、
趙立平氏は、中国人の食生活が変わってから、
自分も含めて肥満している人が増えたことに気づき、
伝統食に戻してみたということです。

私は、パンが好きで、結婚当初は、
パンを朝食にしていましたが、
ごはんと味噌汁に変えました。

20年以上前のことでしょうか。

幕内秀夫さんの『粗食のすすめ』を読んだのが
多分、きっかけではないかと思います。

戦前は、アトピー性皮膚炎など、
あまり聞かなかったのに、
戦後、アトピー性皮膚炎が増えたのは、
食生活も原因ではないかと
仮説を立てたわけです。

残念ながら、子どもたちに
アレルギー体質は引き継がれましたが、
ステロイドだけは避けたので、
ステロイドの薬害を子どもたちが経験することは
ありませんでした。

まだ、食生活は、実験中です。

WはWholegrains(全粒穀物)、
TはTraditionalfoods(伝統食品)、
PはPrebiotics(プレバイオティクス)
ということであれば、米は玄米にするべきですが、
玄米はおいしく食べられる方法を
いまだ見つけられず、結局妥協策として、
精米器で5分搗きにし、雑穀も混ぜるという方法で
長いこと対応しています。

引用箇所が長くなったので、
明日にまわしてしまったのですが、
白米と玄米では、消化経路がまったく異なるようです。

今後の課題としたいと思います。

伝統食品として、
ナガイモ、ニガウリというのが興味を引きます。

中華料理であまり、ナガイモ、ニガウリというのは、
思い浮かばないのですが。

長寿で研究された沖縄料理では、
ゴーヤが使われていますね。

麦とろご飯は、おいしくて好きです。

手のかかる料理は、なかなか挑戦しようと思わないのですが、
簡単にできるなら、いろいろ興味がわきます。

あなたは、主食に何を選んでいますか。

20220914 大腸の微生物相を変える実験_土と内臓(8)vol.3531【最幸の人生の贈り方】

胃・小腸・大腸の役割

■消化経路──胃・小腸・大腸の役割

食事、大腸、人の総合的な健康の関係を理解するためには、
食べたものの代謝運命を追ってみるとわかりやすい。

胃は溶解器、小腸は吸収器、大腸は変換器と
呼んだほうがいいかもしれない。

胃酸が細切れになった食べ物を溶かしはじめる。

胃の酸性度はものすごく、一から三のあいだだ。

酸のせいで胃の中は細菌にとってかなり居心地が悪い。

暗く、湿っぽく、温かい場所の割に、
そこは信じられないほど無菌だ。

たった一種類の細菌(ヘリコバクター・ピロリ)だけが
焼けつくような胃の中の環境で繁殖する。

小腸の上部に落とし込まれる。

すかさず胆汁が肝臓から吹き出して、
脂肪に作用しはじめ、分解する。

膵液も小腸にほとばしり、
基本的な分子──単純糖質、複合糖質、脂肪、タンパク質──
へとばらばらにされて、完全な解体へ向かう。 

小さな分子、主にマカロニ、パイ生地、チップスの
生成炭水化物を構成する単糖類は、
比較的速く吸収される。

大きかったり複雑だったりする分子は分解に時間がかかり、
小腸の下部で吸収される。

酸性度は急激に低下し、
あらゆる栄養素があるここでは、細菌の数は急増し、
胃の中の一万倍にもなる。

だがそれでも小腸は、
細菌にとって理想的な条件とは言えない。

それはまるで洪水の川だ。

唾液、胃液、膵液、胆汁、腸粘液からなる体液が、
毎日約七リットル流れていくのだから、
それも当然のことだ。

しかもそこに、私たちが一日に飲む
二リットルの何らかの液体が
さらに加わるのだ。

小腸の中間部から下部までで、
食べたもののどろどろに含まれる
脂肪、タンパク質、一部の糖質は、
吸収できるように十分に分解され、
腸壁をくぐり抜けて血流に乗せられる。

「一部の」糖質というところに注意してほしい。

その相当量はまったく分解されていない。

複合糖質は単純糖質とまったく違う運命をたどる。

野菜の串焼き、セロリ、ザワークラウト、
パイのフルーツに含まれる複合糖質の大部分は、
胃酸のタンクをそのまま通過し、
小腸上部のさまざまな消化酵素さえすり抜けて、
大腸にたどり着く。

果物や野菜に含まれる複合糖質のほとんどは
消化できない。

植物学の世界では、複合糖質を多糖類と呼ぶ。

反芻動物の消化管には、
植物の多糖類を発酵させる微生物を住まわせておくための
特殊な部位がある。

それは、ウシ、ヤギ、キリンの第一胃のように
胃の前に来ることもある。

また、シロアリ、ウマ、ゴリラのいわゆる後腸のように、
胃のあとに来ることもある。

発酵室としては、ヒトの大腸は第一胃や後腸に比べると
見劣りがする。

しかしそれは、私たちの雑食性の食事に含まれる
複合糖質を分解するには申し分がないのだ。

単純糖質はわずか二、三個の糖がつながったものだ。

これは分解が簡単で早く、
短い時間に大量のブドウ糖を生み出す。

一方、複合糖質は、数百から数千の糖分子が
つながってできている。

どろどろの内容物が小腸から大腸へと流れ落ちると、
環境は川よりも沼に近くなる。

複合糖質ほか未消化の食物分子は大腸に落ち着き、
細菌が餌を食べる静かな牧草地になる。

大腸はpHがほぼ七の中性なので、
酸のタンクのような胃や、
渦巻く早瀬のような小腸(pHは四から五の範囲にある)と
比べると細菌の天国だ。

大腸は人間の消化管の終点かもしれないが、
人間にはない多糖類分解酵素を持った細菌にとっては、
ここが始まりだ。

体内でも体外でも、
発酵は有機物を分解するもう一つの手段だ。

ただし適切な微生物が必要だ。

たとえばバクテロイデス・テタイオタオミクロンは、
複合糖質をばらばらにする酵素を
二六〇種類以上作る。

対照的に、ヒトのゲノムは
ほんの少ししかコードしていない。

私たちは複合糖質を分解する酵素を
二〇ほどしか作れないのだ。

土と内臓

消化は消化酵素によってのみ行われるということが
間違いだったということがよくわかります。

食物繊維は、消化されないから、
とっても意味がない、
食物繊維は、腸を傷つけるから、
とらないほうがいい、
ということを聞いたこともあります。

いずれも間違いだったということもわかります。

大腸は、消化でも免疫でも
大きな役割を果たしているのですね。

そして、興味深いのは、
大腸内層の細胞は、血液からより、
代謝された酪酸から多くのエネルギーを
受け取ることです。

ということは、大腸内の微生物が
活発に動かなければ、大腸の細胞にも
エネルギーが十分いかないことになります。

そして、その微生物の餌が食物繊維です。

さて、動物の消化管の違いが気になったので、
調べてみました。

●反芻動物
https://ja.wikipedia.org/wiki/反芻
ウシ・ヤギ・ヒツジ・キリン・バイソン・シカ・ヌー・アンテロープ(反芻亜目)
ラクダ・ラマ(ラクダ亜目)

反芻亜目とラクダ亜目は同じように4つの胃をもちますが、
遺伝的にはあまり近くなく、並行進化だとのこと。

そして、テングザルも反芻に近い行動をしていて、
胃が4つにくびれているそうです。

「霊長類のテングザルが反芻に極めて類似した行動を行うことが発見」
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/archive/prev/news_data/h/h1/news6/2011/110413_1

●後腸をもつ動物

シロアリ
https://www.riken.jp/press/2014/20140709_1/

シロアリは、自身がもつセルロース分解酵素に加えて、
原生生物による代謝経路と、
共生バクテリアの代謝を介したセルロース代謝経路があるようです。

セルロースを分解することに特化したような生体ですね。

ウマ
人間の腸は体長のおよそ5倍に比べて、
馬の腸は30mもあり、その体長の12倍だそうです。

ちなみに牛の腸は、体長の25倍でさらに長い。

牛とは違い胃が1つの後腸発酵動物であり、
盲腸がとても長く結腸も発達していて、
馬はその発達した盲腸や結腸の中の
微生物やバクテリアの力を借りて分解します。

子馬の食糞は親のそれしか食べないとされ、
微生物相を移植するためだろうといわれています。

コアラ
コアラも巨大な盲腸でユーカリの葉を発酵させることで
有毒成分を無毒化し、また糞食も行なっています。

ゴリラ
ゴリラの大腸は広い管腔幅と発達したハウストラがあります。
(大腸のボコボコした隆起をハウストラといいます。)

人類に近いとされているサルでも、
種類によって、消化器官が大きく異なるようです。

とても興味深いです。

個人的には、5分搗きの米が、
消化器官のどこで消化されているのか、
気になるところです。

もともとは、米ぬかに含まれている栄養を
半分だけでも摂りたいということで、
5分搗きにしていたのですが、
消化器官にとっては、白米と玄米は、
まったく別物のようです。

歴史を調べてみると、精米というのは労力がかかり、
白米は奈良時代から食べられているものの
貴族階級に限られていました。

白米を庶民が食べられるようになったのは、
江戸時代頃のようです。
結果として、脚気が増えたのもこの頃。

といって、玄米をそのまま食していたかというと
そうでもなさそうです。

玄米を1日水に浸して、
発芽玄米にしていたらしい、
とか、
5分づきか7分づき程度で食べていたらしい、
とか、
まあ、玄米がそのままではおいしくないというのは、
みんな思っていたようです。

じゃあ、主食は、5分搗き+雑穀のままでいいかな。

あなたは、お米をどのようにして、食べていますか。

20220915 胃・小腸・大腸の役割_土と内臓(9)vol.3532【最幸の人生の贈り方】

プレバイオティクスとプロバイオティクス

■プレバイオティクス

プレバイオティクスは
細菌が発酵させる多糖類の別名である。

ある意味で、プレバイオティクスは、
園芸愛好家が花壇の地面に敷く
マルチのようなはたらきをするのだ。

しかし私たちの体内では、
それは微生物の錬金術師の餌となり、
私たちは恩恵を受ける。

栄養学者は、プレバイオティクスとは食物繊維だと言い、
ほとんどのアメリカ人はそれが足りていないと嘆く。

面白いのは、プレバイオティクスの価値が、
食物繊維の消化のしにくさにあることだ。

ある種の多糖類は、
セルロースのように構造多糖類であり、
植物の葉の部分に豊富に含まれる。

また別の多糖類は、
アミロースのように植物の貯蔵エネルギーで、
ジャガイモやニンジンなど根菜類に広く見られる。

リンゴやナシはまた別の多糖類、ペクチンを含み、
タマネギやニンニクはイヌリンというありふれた
プレバイオティクスの源だ。

こうした多糖類を腸内微生物相は発酵させ、
それによって生きていく。

植物由来でない発酵性糖質もある。

人類にとって重要な穀物は、イネ科植物の種子だ。

それはセルロースに富み、
他の発酵性糖質も少しだが含んでいる。

全粒の形で食べれば、素晴らしいプレバイオティクスになるが、
精製すると単糖になって、大腸に届く前に吸収されてしまう。

食事にプレバイオティクスを増やせば、
有益な腸内微生物相を維持し、変えることさえできる。

■プロバイオティクス

だが、自分のマイクロバイオームに
何か起きたときにはどうするのか?

何しろ、抗生物質の最大の問題は、
有害な細菌と一緒に役に立つものまで
殺してしまいかねないことなのだから。

ここでプロバイオティクスの登場だ。

プロバイオティクスは生きた細菌株あるいは細菌種で、
身体の特定の場所に入って有益な効果をもたらすものだ。

プレバイオティクスが今いるものに餌を与えるのに対して、
プロバイオティクスはいなくなったかもしれないものを
再び取り入れるのに役立つ。

中東やアジアの文化は、
生きた細菌を含む食品を食べると
体にいいことを知っていた。

現在使われている、あるいは実験の対象となっている
プロバイオティクスのほとんどは、
ラクトバチルス属とビフィドバクテリウム属を
含む集団から出たものだ。

この二つのグループに属する細菌は特に、
肥満の人間とマウスのマイクロバイオームに
きわめて少ない。

プロバイオティクスはそれぞれ違う効果を表わした。

B・アニマリスは脂肪細胞が分泌する
炎症性サイトカインの値を下げ、
内毒素の値を下げる効果が
ラクトバチルスより高かった。

しかしラクトバチルス種は別の面で
B・アニマリスより優れていた。

細菌が発酵の副産物として作りだす
三つの有益な短鎖脂肪酸の一つ、酢酸を増やした。

もう一つの変化は、
プロバイオティクスを与えたマウスの
三グループすべてに起きた。

すべて同じ量の高脂肪の餌を食べていたにもかかわらず、
脂肪細胞は小さくなり、
脂肪組織にあるマクロファージは少なくなった。

つまり炎症が軽減されたのだ。

実験者は意図的にプロバイオティクスを
食事に入れてはいないのに、
いくつかの型のラクトバチルスが、
動物性食品のグループにいた人の便サンプルで
かなり増加していた。

チーズを作ったり肉を保存したりするのに
使われる培養菌だ。

さらに、便の中に見つかった二種の菌類が、
動物性食品のチーズと植物性食品の野菜に
由来していた。

キャベツが近頃では人気の発酵性野菜だ。

新鮮なキャベツを水とたくさんの塩に漬け、
ラクトバチルスを放すと、
そこはすぐに生命で満ちあふれる。

ザワークラウトやキムチを食べれば、
その中のラクトバチルスの一部が、
大腸内にいるものと合流する──
そして中には、ほかの場所に現われるものもいる。

土と内臓

プロバイオティクスとして、
私が最近取り入れているのは、
納豆菌と手作りケフィア豆乳ヨーグルト。

納豆菌は、Bacillus subtilis var. nattoで
フィルミクテス門バシラス科枯草菌の納豆菌。

豆乳ヨーグルトの種菌に入っているのは乳酸菌で、
・ラクトコッカス ラクティス
・ロイコノストック メセンテロイデス
・ラクトバチルス ケフィラノファシエンス
・ラクトバチルス ケフィリ
・ストレプトコッカス サーモフィラス

ラクトコッカスは、
フィルミクテス門レンサ球菌科

ロイコノストックは、
フィルミクテス門乳酸菌科

ラクトバチルスは、
フィルミクテス門乳酸菌科

ストレプトコッカスは、
フィルミクテス門レンサ球菌科

どうやら、摂っているのは、フィルミクテス門の細菌のようです。

私は日常的に摂っていないけど、
よく聞く名前のビフィズス菌は、
放線菌門という別の門で、
フィルミクテス門とはまったく別の系統です。

ということは、ビフィズス菌も摂ってみる価値は
ありますね。

そもそも腸内細菌は、どんな分類がされているのか。
https://www.biofermin.co.jp/nyusankin/knowledge/bacteria/
https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/fiber/for-body/intestinal-flora/

●主な善玉菌
・ビフィズス菌
主に大腸にすみつき、乳酸や酢酸をつくって腸内環境のバランスを整えます。

・フェーカリス菌
腸内での増殖が速い乳酸菌で、
ビフィズス菌やアシドフィルス菌の増殖をサポートします。
主に小腸にすみつきます。

・アシドフィルス菌
乳酸菌のなかでも特に乳酸をつくる能力にすぐれ、
悪玉菌の増殖を抑えるはたらきがあります。
主に小腸にすみつきます。

●主な悪玉菌
・ウェルシュ菌
腸内のタンパク質などを腐敗させ、有害物質をつくります。
・ブドウ菌
・大腸菌(有毒株)

●主な日和見菌
・バクテロイデス
・大腸菌(無毒株)
・連鎖球菌

善玉菌、悪玉菌も気になるけれど、
日和見菌もおもしろい。

無党派層ということですよね。

私個人の考えでは、
二大政党で、あっちかこっちか選択を迫られるよりも、
無党派層が結構いて、
わちゃわちゃしているほうが、
安定的な政治になるんじゃないかなあと
思っています。

そうすると、腸内環境は、
善玉菌:日和見菌:悪玉菌=2:7:1
と言われていて、
だから、安定しているのではないかとも
推論できるわけです。

なかなか興味深いですね。

あなたは、どんな生きた微生物を腸に取り入れていますか。

20220916 プレバイオティクスとプロバイオティクス_土と内臓(10)vol.3533【最幸の人生の贈り方】

この記事は、メルマガ記事から一部抜粋し、構成しています。

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