人間の発達段階1:古代的段階(インフラレッド)

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段階1:古代的段階(インフラレッド)とは

  • 基本的な生存活動の段階である。
  • 食べ物、水、暖かさ、セックス、安全を重視する。
  • さまざまな習性や本能を用いるが、それはすべて生き残るためである。
  • 明確な自己はほとんど現れておらず、現れたとしても維持することができない。
  • 生存のための集団を形成することで、生命を永続させようとする。

生まれたばかりの子どもは、基本的に、分離した自己感覚を持っていません。母親や周りの環境とひとつになっており、純粋な溶融状態にあります。

古代的段階は、精神分析における「口唇期」にあたり、アブラハム・マズローの欲求階層理論における「生理的欲求」の段階に対応しています。

太り過ぎ、肥満と感じている人は

この記事は、インテグラル・マインドフルネスについて、簡単に説明したものです。出典の書籍は、この記事の下の方をご覧ください。

この段階に関するインテグラル・マインドフルネスとして、
食物への欲求」 を扱うことにしましょう。
 
食べ物を食べたいという欲求に、
今ここで、触れてみましょう。
 
もしお腹がすいているのなら、
その空腹感に意識を向けてみましょう。
 
もしお腹がすいていなければ、
空腹のときの感覚を思い出しましょう。
 
ここにあるのは、深い、とても深い渇望であり、
極めて原始的な衝動です。
 
食べたい、満腹になりたい、空腹感から解放されたいという、
最も基本的な欲求に基づく衝動です。
 
もしあなたがこの衝動を
十分に「超えて含む」ことができていないならば ──
すなわち、この段階に対する何らかの執着が残っており、
口唇期的な欲求だけでなく口唇期への固着があるならば──
この衝動が自分の中に生じたとき、
あなたはこの衝動に一時的に「乗っ取られる」ことに
なるでしょう。
 
世界とは食べ物であり、あなたとは口なのです。
 
他のあらゆる関心は脇に追いやられてしまい、
飢えに基づく衝動の感覚だけが、
あなたの意識を完全に支配しています。
 
この段階に未だ同一化している程度に応じて、
あなたは「食物中毒」(food addiction) に陥っている
といえます。
 
太り過ぎになっているかもしれませんし、
もしかすると、肥満であると診断されているかもしれません。
 
もしあなたが太り過ぎであるならば─
自分のアイデンティティの一部が
この段階に固着し続けているということでしょう。
 
この段階における衝動が、
自分そのものの一部分として、
しかし隠れた一部分として、
作動し続けているのです。
 
 
言い換えれば、そうした衝動は
今もあなたの主体の一部であり続けているのであり、
だからこそ、マインドフルネスによって
客体として見つめることで、
それを実際に手放し
それと「脱同一化」することができるのです。
 
それによって世界を見るのではなく、
それを見るようになり、
それに所有されるのではなく、
それを所有するようになります。

空腹感のマインドフルネス

それでは、次に空腹感が生じたら
(あなたが太り過ぎだろうとそうではなかろうと)、
その感覚に対して、正直に意識を向けてみましょう。
 
マインドフルネスによる気づきを与えてみましょう。
 
それは ちょうど、ビデオカメラで録画するようなものです。
 
あなたは、完全に中立なビデオカメラになって、
どのような価値判断も加えずに、
全てのものをただあるがままに見つめます。
 
批判したいとも、非難したいとも、
同一化したいとも思いません。
 
中立的に、隅々まで、あらゆる角度から、
ただ、起こっていることに気づきましょう。
 
 
食べたいという衝動は、
身体のどのあたりに感じられますか?
(頭、口、胸、胃、腸、手、足など)
 
その衝動はどんな色をしていますか?
(どんな色が心の中に浮かんできますか?)
 
どんな形で、どんな匂いですか? 

 
その衝動にそなわっている原始的な感じ、
差し迫っている感じ、
そして、その衝動に駆り立てられている感じを、
本当に感じてみてください。
 
どうしようもなく欲しいという感覚とともに、
ただそこに在りましょう。

 
主体となっている衝動を、
気づきの対象にしましょう。

 
長い時間をかけ、揺らぐことなく、
その感覚を本気で見つめてみましょう。
 
感じながら気づくこと──
それが「マインドフル」であることの意味です──
によって、直接に、その衝動を感じてみましょう。

過食症や拒食症、低体重だったら

さて、あなたはこの段階に固着してはいないけれど、
逆に、この段階から脱同一化しすぎているかもしれません。
 
しかし、 こうした脱同一化の過程が
行き過ぎてしまうことがあります。
 
ただ脱同一化するだけではなく、
そうした欲求や衝動をもつことそのものをやめ、
自分から切り離し、抑圧してしまうのです。
 
口唇期においてこうした行き過ぎが起こると、
結果として生じるのは、食物中毒ではなく、
食物アレルギー」(food allergy) です[訳注]。
 
過食症拒食症として現れているかもしれませんし、
慢性的な低体重になっているかもしれません。
 
 
[訳注]本書で定義される食物アレルギーは、
医学的な意味での食物アレルギーとは異なる。
 
 
そして、気づくこと〔意識すること〕そのものにも、
「超えて含む」という性格があります。
 
それゆえ、もしあなたが「飢えの衝動」を捨て去り、
否定してしまっているなら、
優しく、注意深く、しかし直接に、この衝動を探し出して、
ただそれに、揺らぐことなく気づいていましょう。
 
 
とはいえ、あなたが飢えの衝動と
永遠に同一化し続けることはありません。
 
鏡にどんな対象が映ろうとも、
鏡がその対象と同一化して動けなくなることはないからです。
 
鏡はただ、現れては消えていくがままに、
すべてを映し出すだけです。

他の生理的欲求にも

中毒を終わらせるには「超える」ことが必要であり、
アレルギーを終わらせるには「含む」ことが必要なのです。
 
これと全く同様のことを、他の根本的な生理的欲求──
食物への欲求だけでなく、水への欲求
暖かさへの欲求(寒いとき)涼しさへの欲求(暑いとき)
休める場所への欲求
睡眠への欲求──に対しても、おこなってみましょう。

スパイラル・ダイナミクス

出典


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