監視資本主義:人類の未来を賭けた闘い

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監視資本主義:人類の未来を賭けた闘い
The Age of Surveillance Capitalism: The Fight for a Human Future at the New Frontier of Power

ショシャナ・ズボフ(著), 野中 香方子(翻訳)
東洋経済新報社(2021/6/25)

ショシャナ・ズボフ Shoshana Zuboff
ハーバードビジネススクール・チャールズ・エドワード・ウィルソン名誉教授
シカゴ大学にて心理学の学位を、ハーバード大学にて社会心理学の博士号を取得。1981年よりハーバードビジネススクールに参画、同スクールの教授陣のなかでテニュア(終身在職権)を取得した最初の女性の一人であり、寄付講座を持った最も若い女性である。2014-15年にかけて、ハーバードロースクールのバークマン・センターでファカルティ・アソシエイトを務めた。著書にIn the Age of the Smart Machine: The Future of Work and Power, The Support Economy: Why Corporations Are Failing Indivisuals and the Next Episode of Capitalism(James maxminとの共著)がある。

野中香方子 のなか・きょうこ
翻訳家。お茶の水女子大学教育学部卒業。メディナ『ブレイン・ ルール 健康な脳が最強の資産である』(東洋経済新報社)、カーツワイル『ポスト・ヒューマン誕 生』(共訳)、レイティ& ヘイガーマン『脳を鍛えるには運動しかない』(以上、NHK出版)、ブレ グマン『隷属なき道』(文藝春秋)、ピルズベリー『China 2049』、ランダース『2052』(以上、日 経BP)などの話題作を多く手がける。直近の訳書にイヤール& リー『最強の集中力』(日経BP)ほ か、訳書多数。

監視資本主義:人類の未来を賭けた闘い

■監視資本主義とは何か?

監視資本主義は人間の経験を、
行動データに変換するための無料の原材料として
一方的に要求する。

これらのデータの一部は、
製品やサービスを向上させるために使われるが、
残りは占有的な行動余剰と宣言され、
「人工知能」と呼ばれる先進的な製造プロセスに送られ、
わたしたちの行動を予測する予測製品へと加工される。

最終的にこれらの予測製品は、
新種の行動予測市場で取引される。

その市場をわたしは行動先物市場と名づけた。

監視資本主義者はこうした取引から莫大な富を得た。

なぜなら、わたしたちの未来の行動に
賭け金を投じようとする企業は
無数にあるからだ。

監視資本主義:人類の未来を賭けた闘い

先日、メルマガでとりあげた、
『PLG プロダクト・レッド・グロース』は、
この監視資本主義が生み出したものの
一つではないかと考えています。

インターネット上でであれば、
行動データを取得できるように、
製品に仕組みを作っておくことは可能であり、
その行動データを分析し、予測することで、
誘導に導くことも可能です。

しかし、IoTの時代、行動の捕捉は、
オンラインに限らなくなってきました。

スマホには、歩数計がついていて、
どれくらい歩いたか、
どれくらい階段をのぼったか、
常に計測しています。

本人には、必要ないデータでも、
行動余剰として、データ蓄積されています。

もし、スマートスピーカーを使っているならば、
さらに多くの行動データを蓄積することが
できます。

腕につけているウォッチもしかり。

運動データだけでなく、
睡眠データも蓄積されているのです。

最新のApple Watchは、
体に取り込まれた酸素のレベルを測定。

これらが、そのうち、行動を指示するようになったら、
どんな人生になってしまうのでしょう。

すごい便利でいいんじゃない?
なんとなく、いやだなあ、、、

どう感じますか。

あなたは、自分の行動データをどれくらいデジタルで蓄積していると考えていますか。

20220131 監視資本主義:人類の未来を賭けた闘い(1)vol.3305【最幸の人生の贈り方】

第1の近代、第2の近代がもたらしたもの

人類の歴史の最後の数分まで、
人生は、血筋と地理、性と親族、地位と宗教によって
ほぼ決まっていた。

200年ほど前、わたしたちは最初の近代へと進み始め、
以来、生き方が村や氏族の伝統に従って
世代から世代へと伝えられることはなくなった。

この「第1の近代」は、
多くの人が伝統的な規範や意味や原則から離れて
「個人化」された時代だ。

この変化により、人生は、
決まりきった道を歩き通すことではなく、
先の見えない旅になった。

第1の近代から生まれたわたしたちは、
「第2の近代」という新しい精神性を生み出した。

伝統的な生活様式から
近代的な生活様式への移行として始まったものが、
生まれながら個人という感覚を備え、
解放と必要性という両刃の生得権を持つ人々からなる、
新しい社会へと発展した。

わたしたちは自分の人生を選ぶ権利と、
そのために必要な要件の両方を経験している。

わたしたちはもはや
大衆の匿名のメンバーでいることに満足せず、
自己決定権を、明白な真実にして
当然の権利と見なしている。

第1の近代は集団による解決を支持し、
自己の発達と表現を抑制したが、
第2の近代では、
自己がわたしたちのすべてになった。

家族、宗教、性別、ジェンダー、道徳、
結婚、地域社会、愛、自然、社会的つながり、
政治参加、職業、食べ物など、あらゆるものを、
自分にとって意味のある言葉を用いて見直し、
再交渉し、再構築しなければならない。

実のところ、インターネットと
急成長する情報機器を日常生活に招き入れたのは、
こうした精神性と、その要求である。

決められた運命のない人生という重荷を
背負った人々は、
新しいデジタル環境の豊かな情報の源へと
向かった。

監視資本主義:人類の未来を賭けた闘い

2011年8月9日のできごととして、
3つ取り上げられています。

1つは、アップルがエクソンモービルを超えて
世界最大の資本を持つ企業になったこと。

もう1つは、イギリス各地の暴動。

最後の1つは、スペイン市民がグーグルに
「忘れられる権利」を要求したことです。

これらが、監視資本主義の土台の象徴として、
語られています。

産業革命による近代化により、
多くの人が伝統的な規範や意味や原則から離れて
「個人化」することになりました。

つまり、生まれたときから決められた人生を
歩くことがなくなったのです。

そして、大量生産、大量消費のすえに、
私たちは、あらゆるものを、
自分にとって意味のある言葉を用いて見直し、
再交渉し、再構築しなければならない時代に
入ったのです。

これを支えたのが、GAFAとも言えるでしょう。

私たちは無料でこのプラットフォームを
使用する代わりに、
プライバシーを引き渡すことになったのです。

これは、人類の歴史上、かつてなかった
画期的な変化ともいえるでしょう。

その人が発信していれば、
いつどこに旅行に行ったか、
前日、何を食べたか、
簡単に無料で検索することができます。

そして、発信していなくても、
検索したり、購買したり、
オンライン上で勉強したり、
動画や音楽を視聴したりしているデータはすべて
記録されているのです。

「サービス利用規約」のもと、
私たちは喜んで、そのデータを提供しているのです。

そして、一度、発信された情報を
完全に消去することは、不可能です。

20年前には考えられなかった世界に
私たちは存在しています。

あなたの名前をエゴサーチすると、どんな情報が公開されていますか。

20220201 第1の近代、第2の近代がもたらしたもの_監視資本主義(2)vol.3306【最幸の人生の贈り方】

開拓者グーグル

■監視資本主義の論理と運営の概要

●1 論理

グーグルの運命を支える行動余剰は
監視資産と見なせる。

監視収益を追求し
それを監視資本に転換するという流れにおいて、
これらの資産は重要な原材料になる。

この資本の蓄積という論理全体は、
監視資本主義と見なすのが最も正確だ。

わたしたちはグーグルの予測工場で
原材料を抽出・没収される物にすぎない。

わたしたちの行動に関する予測が
グーグルの商品であり、それらを買うのは、
グーグルの真の顧客である広告主であって、
わたしたちではない。

わたしたちは他者の目的を達成するための
手段なのだ。

●2 生産の手段

グーグルの機械知能は行動余剰を餌とし、
より多くの余剰を食べるほど、
より正確な予測製品を生み出す。

グーグル流の監視収益を追求する企業が
増えるにつれて、
世界中のデータサイエンスおよび関連領域の、
相当数の天才が、
ターゲティング広告のクリック率を上げる
予測製品の製作に取り組むようになった。

●3 製品

機械知能は、行動余剰を予測製品に変換する。

それらの製品は、今か、少し先か、その先の、
わたしたちの感情や思考や行動を
予測するように設計されている。

その変換や設計は、
グーグルが最も厳重に守る秘密だ。

●4 市場

予測製品は、新しい種類の市場で売られる。

その市場では未来の行動だけが売買される。

監視資本主義の利益は主に、
こうした行動先物市場から生じる。

監視資本主義:人類の未来を賭けた闘い

GoogleやFacebookに自分がどのように認識されているかは、
表示されている広告を見ると、
すぐにわかります。

GoogleやYoutubeは、複数アカウントを
使い分けているので、
そこに表示される広告がまったく異なるので、
とても興味深いですね。

Facebookは、複数アカウントを
使い分けられないので、
だからこそ、効果の高い広告を表示できるのだと
思います。

「わたしたちは誰よりも良い情報を持っています。
ユーザーの性別、年齢、所在地を知っています。
他の人が推測するのと違って、
わたしたちのデータは本物です」

サンドバーグの言うとおりです。

あなたのWeb画面には、どのような広告が表示されていますか。それは自分のどの行動の結果だと予想できますか。

20220202 開拓者グーグル_監視資本主義(3)vol.3307【最幸の人生の贈り方】

監視資本主義の濠と要塞

■コストゼロで資源を手に入れる自由を築く

グーグルの創業者たちは、
自社の活動を完全に掌握するための株式構造を築く一方、
公的な領域では自由を追い求めた。

その自由戦略の鍵は、
法律がまだ及んでいない未開発な領域を見つけ、
あるいは築き、その領域を我が物にすることだった。

オンライン世界は真の意味で、
現実世界の法律に縛られない……
それは世界最大の無法空間だ。

グーグルの創業者らは、
政治制度の及ばないそのスペースを
我が物にするための取り組みを自賛する。

彼らにとってサイバースペースは、
19世紀にヨーロッパの投機家を惹きつけた
「暗黒大陸」の21世紀版なのだ。

監視資本主義は自ら創造したロジックのせいで
無法状態を追求せざるを得なくなった。

グーグルとフェイスブックは
オンライン上の個人情報保護をやめさせ、
規制を制限し、プライバシー保護を強化する法案を
阻止、あるいは骨抜きにし、
その他、自分たちの行動を制限しようとする
あらゆる試みをくじくために、
精力的にロビー活動を行っている。

なぜなら、そのような法律は、
行動余剰の滞りない流れにとって
脅威になるからだ。

この資本蓄積のロジックが成功するには、
情報の採石場が無防備であることと、
コストゼロで情報を入手できることが
必須の条件だ。

新たな法律が適用される可能性は、
監視資本主義にとって脅威であり続ける。

その法律が抽出操作を禁止すれば、
監視資本モデルは破綻する。

■4つの要塞

グーグルを始めとする監視資本家を
政治的な干渉や批判から守るために、
重要な4つの領域で要塞が築かれた。

(1)グーグルは選挙で候補者に優位性をもたらす
自らの能力を証明した。

(2)グーグルが重要な成長を遂げた
2009年から2016年までの間に、
選択的親和性で結ばれたグーグルとオバマ政権との間では、
多くの人材が行き来した。

(3)グーグルはコネと積極的なロビー活動を通じて
官民の関心を意図的にぼかした。

(4)政策立案と世論と政治認識の形成に
欠かせない学術的活動、および、
より大きな文化的会話に影響を及ぼすために、
グーグルは強力なキャンペーンを打った。

監視資本主義:人類の未来を賭けた闘い

監視資本主義という枠組みで、
捉え直してみると、
とてもわかりやすく見えてきますね。

人類の歴史から見れば、
天然資源は、もともと誰のものでも
ありませんでした。

それを資源として取り込み、
市場を形成したことで、
資本主義が発展してきました。

資本家は、天然資源を確保する(略奪する)ことから
はじまったのです。

これと同様に、監視資本主義では、
人間の行動データというものを資源として、
市場を新たにつくったものだという
見方です。

それらをゴミとかパンくずとか、
価値のないように見せかけて、
ただ同然で手に入れ、
それを価値あるものにして、
市場でもうけていくという仕組みです。

複数議決権株式を導入することで、
オーナーの決定権を強固にし、
時代の後押しのおかげで、
政府や軍事を味方につけ、
もはや、市場で正当に競争する必要すら
なくなったのです。

オバマ元大統領が、グーグルのデータで選挙戦を勝ち取り、
トランプ元大統領が、フェイスブックのデータで
選挙戦を勝ち取ったのは、
これらの時代の流れに乗ったからです。

この20年ほどの流れが、
監視資本主義という枠組みで
とてもよく整理されていきます。

よくある陰謀論よりも、興味深いです。

日本の動きについては、また別に
調べようと思います。

あなたは、1日の中で、どれくらいネットで行動していますか。

20220203 監視資本主義の濠と要塞_監視資本主義(4)vol.3308【最幸の人生の贈り方】

アンドロイドとサイトトラッキング

■アンドロイド携帯

グーグルがアンドロイド携帯に注力したことは、
グーグルにとって余剰の強奪と
そのルートを守ることがいかに大切かを語る。

スマートフォンとタブレットの台頭によって、
インターネットの利用がモバイル化されたため、
グーグルは検索を通じての行動余剰の供給網を
モバイルの世界に拡げる方法を
見つけなければならなくなった。

アンドロイドはたちまち同社にとって
2番目に重要な、行動余剰の供給ルートになった。

■サイトのトラッキング

2015年にペンシルベニア大学の
ティモシー・リバートが指揮し、
上位100万のサイトを対象にした分析では、
その90パーセントがユーザーデータを
平均9つの外部ドメインに漏洩させ、
それらのドメインはデータを商業目的で
追跡し、獲得し、利用していることがわかった。

これらのサイトの78パーセントが、
グーグルが所有するドメインにデータを転送しており、
34パーセントは、フェイスブック所有のドメインに
転送していた。

■アプリの追跡

天気予報、懐中電灯、ライドシェア(車の相乗り)、
日付アプリといった、
最も無害に見えるアプリにも、
多数の追跡プログラムが「侵入」しており、
それらのプログラムは、
広告のターゲティングに役立てるために、
ますます奇妙で攻撃的でわかりにくい戦略を用いて、
大量の行動余剰を収集している。

監視資本主義:人類の未来を賭けた闘い

Chromeを使うときは、用途に応じたアカウントでログイン。

以前は、ログインしなければ、
ユーザーデータが蓄積されなかったのですが、
今は、ログインしなくても、
勝手にカスタマイズされるので、
困ったものです。

が、そんなことはあまり意味がないことも
わかりました。

そもそものWebサイトが、
GoogleやFacebook、Twitterのドメインに
データを転送しているのです。

あらゆるところで、網が張られているわけです。

Facebookは、「いいね」と顔写真をベースに、
個人情報と個人行動による人間関係や
場所との結びつけデータを量産しています。

数年前の記事や写真を引き出してくるのは、
どういう目的なのでしょう。

あちこちに行動確認のしかけが
用意されていますね。

あなたは、携帯のプライバシーをどのように設定していますか。

20220204 アンドロイドとサイトトラッキング_監視資本主義(5)vol.3309【最幸の人生の贈り方】

ストリートビューの真の目的

■ストリートビューの真の目的

2010年、ドイツのデータ保護に関する連邦委員会は、
グーグルのストリートビューは、
実際にはデータ収集を目的としており、
その車は、個人のWi‐Fiネットワークから
密かに個人データを収集している、と発表した。

ストリートビュー撮影車が
暗号化されていない個人情報を
各家庭から集めていたことが裏づけられた。

グーグルは、暗号化されていないWi‐Fi通信から、
個人情報「ペイロードデータ」を傍受し、
保存したことを、しぶしぶ認めた。

謝罪のブログ投稿にあるように、
「場合によっては、すべてのメールとURL、
およびパスワードが捕捉された」。

カナダ、フランス、オランダのテクノロジー専門家は、
収集されたペイロードデータには、
氏名、電話番号、クレジット情報、パスワード、
メッセージ、eメール、チャットの記録が含まれ、
さらには、オンラインの出会い系の記録や
ポルノ閲覧記録、医療情報、位置データ、
写真、ビデオ、オーディオファイルまでもが
含まれることを突き止めた。

■建物の内部へ

2011年の発表によると、グーグルは、
「空港、ショッピングモール、あるいは店舗内にいる」人を
見つけて追うことのできる「屋内測位システム」を導入して、
「新たなフロンティア」を開いた。

グーグルは、消費者志向の企業に
「顧客を中に呼び込む」よう勧めた。

「ビジネスビュー」があれば、
消費者は何千ものホテル、レストランといった
目的地の内部を見られるようになる。

■ストリートビューの新たな目標

その目標とは、オンラインデータソースから
実世界のモニター、アドバイザー、
強力な守り手への移行、および、知識から影響、
コントロールへの移行である。

やがてストリートビューの緻密なデータは、
グーグルの壮大な侵入を支えるもう1つの複合体、
自動運転車と「グーグルシティ」の基礎になる。

グーグルは行動余剰に独占的にアクセスし、
等しく独占的にそれを分析して得た知識によって、
その人がどこでどのようにお金を使うかを、
「ここで食べる」、「これを買う」といった具合に
予測する。

グーグルはさまざまな手を使って、
あなたの人生の副操縦士になろうとする。

あなたがコマーシャルや商業的な刺激に反応するたびに、
新たなデータが生成され、予測はより正確になっていく。

そうしたコマーシャルや商業的な刺激を発信する
オンラインの広告市場を牛耳っているのもグーグルだ。

これが行動の未来における、
リアルタイムのリアルワールド(実世界)の取引、
つまり、あなたの未来である。

この市場のフロンティアでは、
予測不可能な行動は収益の損失に等しい。

したがってグーグルは何一つ、運任せにしない。

地図製作者についての真実は、
グーグルと監視資本家がすべての人に送る
メッセージを明らかにする。

それは、わたしたちの地図上にいなければ、
あなたは存在しないというものだ。

監視資本主義:人類の未来を賭けた闘い

昨年末に、あるサイトの運営を担当することになりました。

まずは、サイトの状況を確認するために、
Google Search Consoleと、Bing Webmaster Toolsの設定を行い、
(Analyticsはすでに使っていたので)
次に行ったのが、Google マイビジネスへの登録でした。

Google検索で、企業名を入れたときに、
名前も場所も違う他の企業名が、
地図付きで表示されるのを発見しました。

企業名検索で他の名前の違う企業が
出てくるなんて、最悪です。

これは、Google マイビジネスに登録することで、
他のサイトに流れていくのを止めました。

Googleで検索されないと、
存在しないも同然ということが
すでに現実になっているわけです。

あなたは、建物の場所の確認と、そこまでのルート探索のために、どんな手段を使っていますか。

20220205 ストリートビューの真の目的_監視資本主義(6)vol.3310【最幸の人生の贈り方】

知力と知識の集中

■2つのテキスト

監視資本主義の特殊なメカニズムにおいて、
「電子テキスト」は必然的に2つ作られる。

第1のテキスト(ファーストテキスト)について言えば、
わたしたちは著者であり、読者である。

この公開されているテキストの大半は、
わたしたちがページに載せるものからなる。

しかし、監視資本主義の体制下では、
このテキストは単独のものではなく、
第2のテキスト、つまり、
「シャドウテキスト」(影のテキスト)に
情報を供給する役目を担っているのだ。

この余剰がシャドウテキストのページを埋める。

それはわたしたちの目には触れない。

読むのは監視資本家だけだ。

余剰から導かれるグーグルのアルゴリズムは、
検索結果を選択し、順位づけており、
等しく余剰から導かれたフェイスブックのアルゴリズムは、
ニュースフィードのコンテンツを選択し、
順序づけている、とだけ言っておこう。

この第2のテキストは
あらゆる貴重な情報の源であり、
わたしたちについて語るが、
わたしたちのためのものではない。

それはわたしたちには知り得ない場所で、
他者の利益のために作られ、
保持され、利用されている。

監視資本主義:人類の未来を賭けた闘い

昨日、朝日新聞で、こんな記事を見つけました。
https://www.asahi.com/articles/ASQ2434TDQ1SUHBI001.html?iref=comtop_Opinion_03


「フェイスブック文書が暴いた内幕 
利益追求がもたらしたゆがみとは」

 「フェイスブック(FB、現メタ)は、
利用者よりも天文学的な利益を優先している」。

2021年10月、米上院の公聴会で
元FB従業員のフランシス・ホーゲン氏が指摘した。

ホーゲン氏が重くみた問題の一つが、
FBが18年におこなった、
投稿を表示する順番を決める際の
アルゴリズムの変更だ。

アルゴリズムとは、コンピューターが
膨大なデータをもとに問題を解決する際の手順のことだ。

FBは当初、友人や家族間のやりとりが
多く見込まれる投稿の表示順位を上げて
「有意義な社会的交流」を生むと説明していた。

だが実際には「どの投稿がシェアされそうか」
という要素を重視していたことから、
挑発的で質の低い投稿が優先されていた。

19年4月の内部文書は「欧州中の政党が、
FBのアルゴリズムの変更は
政治の性質を悪い方に変えたと訴えている」
と指摘している。

フェイスブックのタイムラインが、
非常に偏っていて、
私が見たいようにはどうにも表示されないので、
すっかり遠ざかっています。

見かけ上無料で使わせてもらっていて、
文句の言いようもないのですが、
行動データを無償で提供するだけの価値が
あると思えないので、
イライラするよりは、
見たいものに時間を使ったほうがいいです。

あなたは、各サービスにログインしたときに表示される情報は、自分のどういう行動によって引き出されたものだと考えますか。

20220206 知力と知識の集中_監視資本主義(7)vol.3311【最幸の人生の贈り方】

モノのインターネットと保険

■保険

自動車保険業者は、監視資本主義の戦略を売り込む
コンサルタントや自称テクノロジー・パートナーに
包囲されている。

保険契約者が運転している時の時間、場所、道路状況と、
急な加速や高速運転、速度超過をしているかどうか、
どれだけしっかりブレーキをかけているか、
またどのくらい急速に曲がるか、
方向指示器を使っているかどうかを記録する」ことによって
「保険業者はドライバーの行動を直接監視できる」
とデロイトは提案する。

さらに、モバイルアプリには、
スマホを持つドライバーの行動や能力を
直接収集できるという利点もある。……
査定の対象を全方位から観察できるのだ。

その行動査定が用いる機械処理は、
利益が最大になる方向へ
行動を修正するよう設計されており、
リスクの削減を約束する。

行動余剰は、リアルタイムの保険料の引き上げ、
罰金、外出禁止、エンジン停止などの罰や、
保険料の割引、クーポン、ポイントといった
報酬のきっかけとして使われる。

これらのコンサルティング企業にとって
医療保険会社はもう1つの標的だ。

「ウェアラブル加速度計」は、
被保険者が処方された運動療法を
実行しているかどうかの「追跡可能性を改善」できる。

「消化センサー」は、
被保険者が指示された食事と
投薬スケジュールを守っているかどうかを追跡し、
「当人の手帳より正確で詳細な情報を提供できる。

監視資本主義:人類の未来を賭けた闘い

「あなたは、安全運転を続けたら、
自動車保険の保険料が安くなりますよ。

そのためには、スマホアプリを入れてくださいね。

あなたが、きちんと運動をして、
きちんと食事をして、
指示通りに薬を飲んだら、
医療保険の保険料が安くなりますよ。

そのためには、ウエアラブルデバイスを
つけてくださいね。

このアプリを入れると、ゲームをするかのように
楽しみながら目標達成することができます。

いやいや、あなたは、もうこの仕組みから
逃れられないんですよ。
やるしかないんです。」

モノのインターネットが進むと、
オンラインの行動だけでなく、
現実世界の行動も分析され、予測され、
誘導されるようになるという実例です。

あなたが、スマホアプリやウエアラブルデバイスで
日々の行動を記録しているとすると、
着実にその方向に進んでいます。

あなたは、自分の行動記録を何で管理していますか。

20220207 モノのインターネットと保険_監視資本主義(8)vol.3312【最幸の人生の贈り方】

家の中のルンバとスマートベッドとサーモスタット

■ルンバ

あらゆる部門の製品とサービスは
例外なく監視収益をめぐる競争に加わる。

たとえば、2017年7月、自律型掃除機ルンバを
製造するアイロボットのCEOコリン・アングルは、
スマートホームに関するデータベースの
ビジネス戦略をロイターに語り、
メディアを賑わせた。

それは、ルンバにマッピング機能を搭載し、
顧客の家の間取り図を取得し、
売却するというものだ。

アングルは、2年以内に
グーグル、アマゾン、アップルに間取り図を
売却できるようになるとほのめかした。

監視競争への参入に備えて、
すでにルンバの主力製品には
カメラ、センサー、ソフトウェアが搭載されており、
自分の位置を追跡しながら地図を作成するなど、
新たな機能が使用できるようになっている。

ユーザーがマッピングサービスを
オプトインしなくても、
ルンバはマッピングデータと
使用状況データを取得する。

とは言え、クラウドに送られるのは、
使用状況データだけで、それは、
「ユーザーがモバイル機器で
チェックできるようにするためだ」。

アングルがあえて語らなかったのは、
自宅内のマッピングデータを
アイロボットと共有することを拒んだユーザーは、
ルンバのスマート機能の大半を
利用できなくなることだ。

その機能には、
携帯電話で掃除の開始や停止を指示する、
掃除のスケジュールを立てる、
「クリーン・マップ・レポート」を閲覧する、
自動的にソフトウェアの更新を受信する、
「特に汚れた場所を集中的に掃除する
スポット・クリーン」を開始する、
などが含まれる。

データ共有にはユーザーのオプトインが
求められることを強調しながら、
オプトインを拒否した顧客に対しては、
製品の機能とデータの安全性を制限する、
というものだ。

この投降勧告型の関係では、
征服者の「降参せよ。さもなくば殺す」
というメッセージの代わりに、
「降参せよ。さもなくば、おまえが買ったものを劣化させる」
というメッセージが送られる。

監視資本主義:人類の未来を賭けた闘い

半ば嫌がらせのために、
長くなっているサービス利用規約は、
理解しようとすると45分かかるものの
実際は14秒しかかけておらず、
74パーセントの人は、読みすらしないとのこと。

私はルンバを使用していませんが、
気になったので、サービス利用規約を確認しました。
https://www.irobot-jp.com/policy/

転載しようと思ったけれども、
あまりに長いので、断念しました。

ルンバ所有者は、一度は熟読したほうがよいのではないでしょうか。

ほとんどの人が読まないと思って、
書きたい放題ですね。

あなたが便利に使えるように、
いろんなデータを取得しますよ。

そのデータは、個人情報として、
第三者とも共有しますね。

私たちのグループ会社のほかに、
ターゲット広告やウェブサイトを運営する会社、
「お客様にお楽しみいただけると
当社が考える製品またはサービスを提供する第三者。」、
Amazon Alexa、Google アシスタントなどです。

まさに、個人情報が売られているわけです。

あなたは、使っているスマート機器がどんなデータを第三者と共有しているか、どのくらいご存じですか。

20220208 家の中のルンバとスマートベッドとサーモスタット_監視資本主義(9)vol.3313【最幸の人生の贈り方】

身体の情報が広告に使われる

グーグルのほうが、電話会社の情報より
はるかに詳細だ。

アンドロイド携帯端末が2017年初頭以来、
最寄りの携帯電話基地局の三角測量によって
位置情報を収集してきたことを発見した。

位置サービスが無効にされ、アプリが作動せず、
契約者のSIMカードがインストールされていない時でさえ、
位置情報は収集されている。

位置データのサービスには
プライバシーと管理に関するおなじみの契約が付属する。

「あなたのタイムラインは個人専用で、
あなたしか見ることができません。
また、保存する位置情報をあなたは選択できます」。

しかし、グーグルはあなたの位置データを
ターゲティング広告のために使っている。

実際、それはグーグル広告市場において
最も重要な余剰源であり、
クリック率に直接影響する。

公開記録から容易に入手できる
わずか3つのデータ──
誕生日、ZIPコード[郵便番号]、性別──から
「不安になるほど容易に」個人を特定(再識別)できることを、
ある研究は示した。

2013年、MITとハーバードの
コンピュータ科学者のグループは、
個人の移動パターンには一定の傾向があるので、
適切なツールで分析すれば、
大規模な匿名のデータセットから、
特定の人の移動パターンを
容易に抽出できることを示した。

監視資本主義:人類の未来を賭けた闘い

子どもたちのほうがプライバシーについては、
よくわかっているようで、
「お母さん、スマホは、位置情報サービスは
オフにしておくものだよ。」
と教わりました。

それ以来、本当に使いたいときだけ、
オンにしていますが、
それでもうっかりカメラで写真を
撮ってしまうことがあります。

そういう写真データには、
位置情報が埋め込まれています。

位置情報サービスがオンのまま、
うっかり写真を撮ってしまい、
オフにしている間に、
空の虹が消えたり、
夕焼けの空の色が薄暗くなったり、、、

それで、Facebookに写真をアップするのを
断念したこともたびたびあります。

しかし、アンドロイド携帯は、
「位置サービスが無効にされ、アプリが作動せず、
契約者のSIMカードがインストールされていない時でさえ、
位置情報は収集されている。」
と知りました(O_O)

iPhoneは、どうなんでしょう?

あなたは、位置情報サービスをどういうときにオンにしていますか。

20220209 身体の情報が広告に使われる_監視資本主義(10)vol.3314【最幸の人生の贈り方】

パーソナル・アシスタントが子どもたちをねらう

■パーソナライゼーション

機械による人間の深層への侵入は、
「パーソナライゼーション」という旗印の下で
遂行される。

そのスローガンの裏にあるのは、
第2の近代の要求と不安を利用して
莫大な利益を得ようとする邪悪な計画だ。

予測要求の観点から言えば、
パーソナライゼーションとは、
人間の深層からの行動余剰を、継続的に、
かつ確実に得るために、供給の操作を
「個人化(individualize)」するための手段である。

このプロセスは、承認と評価、支援を得ようとする
わたしたちの渇望があって初めて成立する。

■玩具の会話

世界最大級の玩具会社であるマテルは、
会話型バービーとバービー・ドリームハウスによって、
インターネット対応の対話型・機械知能玩具の
先駆として強固な地位を築いた。

この未来では、子どもたちは
ワンボイス──すなわち、新たなインターフェースにして
ランタイム──の原理を学ぶ。

それはどこでも利用可能で、
ユーザーの命令を実行し、
願望を予期し、可能性を形にする。

かつては子どもの自由な想像力を映し出す
愛らしい鏡だった人形が、
他のおもちゃとおもちゃ箱と、
その箱のある部屋とその部屋のある家とともに、
レンディション、計算、接続、収益化の道具に
なることが運命づけられた。

2017年、ドイツ連邦ネットワーク庁は、
カイラ人形を違法な監視デバイスであるとして禁止し、
子どもが所有するそのような人形を破壊することを、
強く親に勧めた。

監視資本主義:人類の未来を賭けた闘い

人類の歴史をさかのぼれば、
つい最近まで(2、3世代前まで)は、
自分の思い通りの人生なんて、
送ることはできませんでした。

しかし、産業革命により、
家やコミュニティと引き離された時から、
自分の人生を選ぶ必要が出てきました。

そこで、新たに、
「自分らしさ」「人生の目的」
「自分の思い通りの人生を歩むにはどうしたらよいか」
を考える必要がでてきました。

その結果、注目されるようになったのが、
承認欲求です。

「あなたはそれでよい」
「あなたの人生はそれでよい」
と認められないと、不安になるようになったのです。

その不安を解消してくれるものとして、
パーソナル・コーチングという職業が生まれ、
さらに、
デジタル・パーソナル・アシスタントの需要が
生まれてきたのだと考えます。

私たちの子どもが生まれたときは、
すでにインターネットがあり、
デジタル・ネイティブと呼ばれています。

しかし、これから生まれてくる子どもは、
デジタル・パーソナル・アシスタント・ネイティブかも
しれません。

子どもが疑問に思ったことは、
親が答えられないけれど、
おもちゃの人形は答えを教えてくれるかもしれません。

欲しいと思ったことをすぐに叶えてくれるのは、
親ではなく、
おもちゃの人形かもしれません。

そんな世界を私たちは望んでいるのでしょうか。

あなたは、デジタル・パーソナル・アシスタントをどのように使っていますか。

20220210 パーソナル・アシスタントが子どもたちをねらう_監視資本主義(11)vol.3315【最幸の人生の贈り方】

読み取られるパーソナリティーと感情

■IBM

IBMは、その2000人のツイッターユーザーに、
場所か製品に関する質問をすることによって、
その予測モデルを「訓練」した。

この実験の結果が示すのは、
パーソナリティの情報から、
応答の傾向が予測できることだ。

機械が「道徳的、信頼しやすい、友好的、
外向的、同調的」と評価した人々は、
「用心深く、心配性」と評価した人々に比べて
応答率が高かった。

つまり、わたしたちが理想とし、
自らの行動のモデルにしたり、
そうなるよう子どもを導いたりしている
人格の特徴の多くは、
隠れた機械によるレンディションに
強奪の機会を提供しやすい特徴なのだ。

この新しい世界では、被害妄想や不安症が、
機械による侵略から身を守る防壁になる。

わたしたちは子どもに、
不安になれ、疑い深くなれと
教えなければならないのだろうか。

■アフェクティバ

「サービスとしての幸福」もすぐそこに迫っている。

「もしわたしたちがあなたの感情的経験に関する
情報を持っていれば、
あなたが前向きな気分になれるよう、
手助けできるでしょう」とカリウビは言う。

彼女は、顧客の幸福度に応じて
ポイントを還元する感情認識システムを考えている。

なぜなら、幸福な顧客ほど「動かしやすい」からだ。

監視資本主義:人類の未来を賭けた闘い

戦後、私たちは、モノで豊かになりたいと、
高度成長期に、懸命に働きました。

「より安くより早く効率的に」

こうして生まれてきたのが、
化学肥料と農薬を効率的に使った農業であり、
f1種子を使った農作物であり、
機械的な畜産です。

「熱、痛み、かゆみを早く抑える、事前に起こらないようにする」

こうして発展したのが、西洋医療です。

「より安くより早く効率的に」することが、
みんなの豊かさにつながる

「熱、痛み、かゆみを早く抑える」ことが
QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を高める

出発点は悪くないのです。

しかし、農業は、商業主義の一部になりました。
農家は、自分が農薬で肝臓を痛めたので、
子どもたちに継がせたくないという職業に
なってしまっています。

急性症状を自己免疫力で治さないで、
薬により症状(免疫システム)を抑えることにより、
病気は慢性化し、
メンタルにも影響を与えます。

私たちは、こういうことを望んでいたのではないと
思います。

が、同じようなことが今、
また起こっているように思いました。
 
「より簡単に思い通りの人生を送りたい」
「困っている人を助けたい」

もともとは、悪くない欲求や欲望を実現しようと
始まったものが、
いつしか、常時監視され、自分の知らないところで分析され、
そして、「思い通りの人生に」誘導される。

そんな世界を私たちはどんどん実現させようと
しているように感じます。

「道徳的、信頼しやすい、友好的、外向的、同調的」で
「幸福な人」が、「思い通りの人生」を
より実現しやすいのです。

なぜなら、広告に応答するからです。

あなたは、フェイスブックでどれくらいの量の自己開示を行っていますか。

20220211 読み取られるパーソナリティーと感情_監視資本主義(12)vol.3316【最幸の人生の贈り方】

フェイスブックとポケモンGOで実証された行動の修正

■ポケモンGO

ポケモンGOは、2016年7月に
アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドで
発売が開始された。

わずか1週間で、アメリカで最も多くダウンロードされ、
最も売り上げが多いアプリとなった。

ゲーム開始から数日のうちに、
ポケモンを特定の場所におびき寄せる仮想アイテムで、
ポケモンをバーのスツールやトイレの個室に出現させた。

ゲームが始まった最初の週末、
そのバーの売り上げは30パーセントも伸び、
後には平均を70パーセント上回ったと報告された。

「このゲームは、最新の携帯電話やデータ技術を頼りに
拡張現実に命を吹き込むが、
ゲームによって生まれるものは、
実世界で起きることも変える」。

「スポンサー付きの場所」という概念が生まれ、
これらのスポンサーは、
グーグル検索広告で用いられているクリック単価と同様の
訪問単価ベースで広告費を支払うことになる。

真の顧客とは、保証された結果という約束に引き寄せられ、
実世界のゲーム盤で遊ぶために金を払う企業だ。

ナイアンティックの成果の特徴は、
ゲーミフィケーションを、
真の顧客にとっての結果を保証する手段にしたことだ。

この顧客とは、同社が確立し主催する
行動先物市場に参加する企業である。

ハンケのゲームが証明したのは、
監視資本主義は、実世界でも仮想世界でも、
規模も範囲も極端に多い知識を利用して
あなたの今の行動を形作り、
そうすることで未来のあなたの行動を
正確に予測できるということだ。

ポケモンGOの驚くべき才は、
あなたが遊ぶゲームを、
監視資本主義のためのゲームに変換した。

都市というゲーム盤の上で、
公園やピザ屋を徘徊するプレーヤーは、
そうとは知らないまま、この第2の、
まったく異なる種類のゲームの構成要素になった。

第2のゲームのプレーヤーは、
第1のゲーム盤で楽しそうに遊ぶ人々を追い立て、
彼らが落とした現金を回収していく。

監視資本主義:人類の未来を賭けた闘い

ポケモンGOが日本で利用できるようになってすぐ、
私も子どもたちのアドバイスをもらいながら、
ゲームを始めました。

手始めに近所のポケモンを集めに、
子どもたちと一緒に散歩に出かけました。

私はジム戦をやるまでに至らず、
もっぱらポケモンを集めることと、
歩数でポケモンを育てることを
楽しんでいました。

たまたまその頃、シリコンバレーの視察に行ったので、
日本には出現しない、アメリカ大陸だけで集められる
ポケモンもゲットしてきました。

この後ろには、どういうビジネスモデルが
動いているのだろうと興味をもっていたのですが、
当時はほとんど開示されず、
実際のビジネスモデルを
ようやく知ることができました。

このアプリのおかげで、
多くの人が出歩くようになったということですから、
確実にリアルの世界に影響を与えたのは、
間違いありません。

さらに若年層だけでなく、
シニア層も巻き込んだのが
大きな”進化”(ポケモンだから)だと思います。

実際のところ、子どもたち自身は、
ポケモンGOで遊ぶことはありませんでした。

単純に、子どもたちはスマホを
持っていなかったからです。

今でもポケモンGOは、稼ぎ続けていますね。
https://ja.wikipedia.org/wiki/Pokémon_GO

コンビニのセブンイレブンが
2021年10月末までスポンサーになっていて、
その後、ファミマがスポンサーになっているとのこと。

提携店舗は入れ替えながらも、継続しています。
 

また、コミュニティイベントが、
今日も開催されるようです。

さらに興味深いのは、メリットとして、
うつ病などのメンタルヘルスの改善、
地域活性化、健康効果が謳われていることです。

これは、確実に行動に影響を与えている結果の
あらわれだと思います。

そして、スポーツ庁の『Sport in Life』プロジェクトで
ポケモンGOが認定第1号になったとのこと。

私たちの行動が監視されるだけでなく、
操作されていることがわかる、よい事例だと考えます。

あなたは、クレカや〇〇ペイのポイントを稼ぐために、どんなふうに行動を変えましたか。

20220212 フェイスブックとポケモンGOで実証された行動の修正_監視資本主義(13)vol.3317【最幸の人生の贈り方】

20世紀の全体主義と21世紀の道具主義

■全体主義

全体主義という新たな力に名前をつける試みが
本格的に始まったのは、
ナチスが敗北した後のことだ。

ジャーナリストや学者や西洋の政府が
全体主義の極悪非道な行為の全体像を
一向に把握できなかったことについて
最も説得力のある説明は、
実際に起きていたことが
あまりにも「ありそうにない」ことばかりだったので、
専門家でさえその真実を認めるのが難しかった、
というものだ。

実際、1914年以前は誰も、西洋文明を追い抜く
その成長の道筋を予見できなかった。……

当時、歴史、法律、社会科学の優秀な学者の誰も、
それが全体主義に至ることを予測できなかった。

予見に失敗したのは、
それが理解を超えていたからだ。

ハンナ・アーレントは
「全体主義は、人間を内側から支配し、
恐怖に陥れる手段を発見した」と記した。

全体主義は「人間性の破壊」と「人間の本質」に
狙いを定めた。

全体主義にとって必要なことは、
「その活動」以外を意味するものとのつながりや情報を、
一切消し去ることだった。

「完全な忠誠心、つまり支配するための心理的基盤は
完全に孤立した人間だけに期待できる。

それは、家族や友人、同志、あるいは単なる知人とさえ
心理的なつながりを持たず、
党のメンバーとして活動することによってのみ
世界に居場所があると感じられる人間だ」。

■道具主義

わたしはこの種の力を「道具主義」と名づけ、
修正・予測・収益化・支配を目的として、
行動を計装し、道具化することと定義した。

計装とは本来、
「計器を装備して、監視や制御を行うこと」だが、
この定義においては、
「人間を操り人形にすること、
すなわちわたしたちを、
人間の経験を視覚化し、解釈し、操るコンピュータと
常時つなげておくこと」を意味する。

「道具化」とは、監視資本がわたしたちを
他者の市場目的を果たす手段へと変えるために、
わたしたちの経験を操ることを意味する。

道具主義は、デジタルを取り込んで、
独自の社会的支配を実現しようとする
市場プロジェクトである。

監視資本主義:人類の未来を賭けた闘い

ヒトラーを悪者と切り離すのではなく、
自分にも全体主義の要素があると考えることで、
それを止められることができるだろうか、
ということが、私が投げ続けている問いです。

いままた、新たな形で、監視社会がやってきたとして、
それが、人間本来の思考や行動を「他者の目的のために」
修正されるのだとしたら、、、

自分はそれを喜んで受け入れるのでしょうか。

他の人にそれを強制するのでしょうか。

これが、新たに立てた問いです。

あなたが、全体主義の歴史から学んだことは、なんですか。

20220213 20世紀の全体主義と21世紀の道具主義_監視資本主義(14)vol.3318【最幸の人生の贈り方】

中国の信用システム

■伝統的な信頼と絆から個人信用スコアへ

中国共産党は、家族、宗教、市民社会、学問、
政治的自由といった、
伝統的に信頼と絆と社会的意味の拠り所に
なっていた領域を破壊した。

しかし、中国政府は、不信を減らすために
伝統的な道徳への回帰を促すのではなく、
技術による修復にエネルギーを
投じることにした。

2015年、中国人民銀行は、
試験的プロジェクトとして、大手eコマース企業が
個人信用スコアリングのための
データ統合とソフトウェア開発をすることを
発表した。

その中で最大のものは、
アリババの「アント・フィナンシャル」と
個人信用スコアリング操作の
「セサミクレジット」だ。

両システムは、ローン返済履歴などより
はるかに幅広いデータを用いる
学習アルゴリズムによって、
「人格」の「包括的」評価を生成する。

その評価の仕組みは
ユーザーにはよくわからないので、
スコアを向上させる方法は推測するしかない。

たとえば、スコアの低い友人を排除したり、
スコアの高い友人を増やしたりすると
いったことだ。

セサミクレジットは、
わずか2年で4億人以上のユーザーを獲得し、
それらのユーザーの生活のほぼすべての側面を
把握するようになった。

道具主義者と国家権力の融合によって
生み出される社会の感覚は、
「判決不履行者リスト」からだ。

そのリストに載っている人は、
飛行機、新幹線、あるいは
ファーストクラスやビジネスクラスの
鉄道チケットを購入できなくなる。

家の売買、建築もできず、
学費の高い学校に子どもを入学させることもできない。

党や軍隊への加入、昇進、
名誉や称号を受けることも制限される。

債務不履行者が企業である場合、
株式や債券の発行、外国からの投資の受け入れ、
政府プロジェクトへの参加の道は
おそらく閉ざされる。

ブラックリストに載っている可能性のある人は、
その信用システムが自分のスコアを
無慈悲な下降のスパイラルに送り込むことを知る。

「まずスコアが下がる。

あなたの友人たちは、
あなたがブラックリストに載っていると聞いて、
自分のスコアが悪い影響を受けることを恐れて、
黙ってあなたとのつながりを断つ。

信用システムのアルゴリズムがそれを知ると、
あなたのスコアはさらに低くなる」。

中国政府は信じられないほど
野心的な計画を抱いているようだ。

その計画とは、オンライン、オフラインを問わず
あらゆる領域の民間および公的リソースから
続々と届くデータを漉し取る。

アルゴリズムによって
完全な認識と完全な確実性を実現することだ。

また、アルゴリズムは報酬や罰則によって、
その結果を15億の個人の生活に跳ね返す。

こうして、バス切符の購入に至るまで、
人々の社会的行動が自動的に形成されていくのだ。

しかし、これまでのところ、
このプロジェクトはテクノロジー企業内でも、
都市や地域においても、
多くの試験的テストに分割されており、
政府が想定する規模でのテストは行われていない。

監視資本主義:人類の未来を賭けた闘い

中国では、キャッシュレス経済が浸透し、
顔認証技術も広がっています。

スマートフォンのロック解除、
飲食店での注文や支払い、勤務先への入居、
ショッピングモールの買い物、銀行、空港、
ホテル、さらには帰宅時のマンションの入り口…。

1日に何度も顔認証を求められるのは、
日常化しているようです。さらには、、、

横断歩道で赤信号を渡った歩行者の顔が撮影され、
1週間個人の身分証写真とともに晒される。

トイレで顔認証すると、
トイレットペーパーが供給される。

マスクをつけていても顔認証される。

など、その応用範囲はかなり広いようです。

これらの動きに対して、不満が増え、
最高人民法院は2021年7月28日、
人工知能(AI)で個人の顔を識別する
顔認証技術の使用に関する規定を公表。

ホテルや商店、駅などでの顔認証技術の使用は違法とし、
アプリなどで使用する場合は
消費者の同意を得るよう求めた、とのことです。

技術の応用例として、中国についての動向は、
私たちも知っておいたほうがよいと思います。

あなたは、顔認証と指紋認証をどういうときに使っていますか。

20220214 中国の信用システム_監視資本主義(15)vol.3319【最幸の人生の贈り方】

個人がなくなる

■ペントランド

MITメディアラボ内のヒューマンダイナミクス・ラボの
ディレクター、アレックス・ペントランドは
学生や研究者と協力して、
道具主義社会の理論を積極的に研究し、
普及させると同時に、
数々の技術革新と実践的応用を行ってきた。

ペントランドは啓蒙主義と政治経済学から
受け継いだ概念や枠組みに対して批判的だ。

地位、階級、教育、人種、性別、世代という
「古い」社会的カテゴリは、
エネルギー、食物、水システムと同じく、
時代遅れで不適切だと彼は主張する。

これらのカテゴリは、
歴史、権力、政治のレンズを通して社会を説明するが、
ペントランドは社会よりも「人口」、
意味よりも「統計」、
法よりも「計算」を好む。

彼が見る「階層」は、
人種、収入、職業、性別によってではなく、
「行動パターン」によってコード化される。

行動パターンは、「行動サブグループ」と
新たな「行動統計」を生み出し、その統計は、
疾病、財務リスク、消費者の好み、政治的見解を、
標準的尺度の「5倍から10倍の正確さ」で予測する。

最終的な問いは、
「どうすれば人間をこれらのシステムに組み込み、
その計画に参加させることができるか」
というものだ。

ペントランドの答えは、説得や教育ではなく、
行動の修正である。

彼は、「人間の意思決定を予測する新たな理論」と、
「動機メカニズム設計」が必要だと言う。

監視資本主義:人類の未来を賭けた闘い

ペントランドは、『ソーシャル物理学』の著者でもあります。
https://amzn.to/3oNLD4c

私は、この本を覚えていましたが、
読んだ記憶は残っていませんでした。。。

しかし、amazonで2015/9/14の購入記録を発見、
さらにメルマガ vol.1174(2016/3/31)で
取り上げていました。

デジタルの記録、恐るべし。

私の購入記録、読書記録は、
デジタルに残されていました。

・・・

予測ではなく、
生活が誘導されていきます。

そして、「半額で手に入った!ラッキー!!」
と喜ぶ自分と
「このタイミングでこの提案で商品を買った」
というデータが残るのです。

自分がいつはちみつを買ったか覚えていなくても、
何をきっかけに購入したかというデータとともに
デジタルデータは残ります。

あなたは、どのくらい便利な社会を望みますか。

20220215 個人がなくなる_監視資本主義(16)vol.3320【最幸の人生の贈り方】

とりこまれた若者たち

■社会的比較の歴史

人類の歴史の大半を通じて、
人々は小さな飛び地に住んでおり、
周囲にいるのは、自分によく似た人々だった。

そのように差の小さい社会的比較が、
多大な心理的リスクを伴うことは
ほとんどなかった。

20世紀になってテレビが普及したことが
社会的比較の強度と悪影響を
劇的に増大させたことを示唆する研究は多い。

なぜならテレビは、自分の生活とは大違いの、
さまざまな生活があるという鮮明な証拠を
もたらしたからだ。

ソーシャルメディアは、
社会的比較の強度、密度、および普及に関して、
新時代を開いた。

特に、自分のアイデンティティや意見や道徳観が
成長の途上にある年頃に、
「ほぼ常にネットにつながっている」若者にとって、
その影響は甚大だ。

また、現実に会えばこそ、
わたしたちは相手の内面を感じ、
自分の何かを共有して、
共同体としてのつながりを確立できるのだが、
テレビとソーシャルメディアは
どちらも現実の出会いを奪う。

ソーシャルメディアの自己紹介では、
人気や自尊心や幸福感を得るために、
略歴、写真、更新を、実際より
良く見えるように修正する。

プロフィール・インフレーションは、
他者との比較において、
よりネガティブな自己評価を引き起こし、
そのせいでさらに
プロフィール・インフレーションが起きる。

とりわけ、「遠くの友人」を含む
大きなネットワークの中で、それは起きがちだ。

2017年に発表された注目すべき研究では、
5万人以上のフェイスブックデータと、
「実世界のソーシャルネットワーク」に関する
自己報告データを3年にわたって精査した。

研究者らの要約によると、
「他者のコンテンツに『いいね!』することと、
友人の投稿へのリンクをクリックすることは、
一貫して幸福度の低下と相関し、
ステータスの更新数は、精神的健康の低下と相関した」。

監視資本主義:人類の未来を賭けた闘い

のコロナウイルス禍で、
子どもたちは、リアルな大学生活を
奪われました。

授業のほとんどはオンライン授業です。

次男は、サークルや部活に入る機会を
失いました。

幸いだったのは、下宿することなく、
家族と一緒に住んでいたことです。

私の仕事もほぼリモートで完結します。

そこで、私は”ホーム”を維持することを
優先しました。

結局は、リアルが最も影響力があります。

とにかく、家にいていい。
将来もどうにかなるから、だいじょうぶ。

私が出しているメッセージは、これだけです。

構造化された内省、対立、不調和、危機、失敗は、
飛躍のために、大切です。

しかし、これらに耐えるための精神的土台は、
もっと大切だと考えます。

これらの土台を揺るがしかねないのが、
監視資本主義だと考えます。

私たちは、簡単に自分の行動の主導権を
他に渡してはいけないのです。

そして、次の世代にも同じ権利を
つないでいきたいと思います。

この本をとりあげるのは、今日が最終回です。

今までとはまったく異なる、世界の眺め方を
教えてくれる本でした。

”簡単に”自分の希望を実現してしまう世界の代償に
私たちは何を手放さなくてはいけないのか、
考えさせられました。

あなたは、次の世代に何を残したいですか。

20220216 とりこまれた若者たち_監視資本主義(17)vol.3321【最幸の人生

この記事は、メルマガ記事から一部抜粋し、構成しています。

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