テクノロジーが予測する未来 web3、メタバース、NFTで世界はこうなる

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テクノロジーが予測する未来 web3、メタバース、NFTで世界はこうなる
伊藤 穰一(著)
SBクリエイティブ (2022/6/6)

伊藤穰一 いとう・じょういち
ベンチャーキャピタリスト、起業家、作家、学者として、主に社会とテクノロジーの変革に取り組む。民主主義とガバナンス、気候変動、学問と科学のシステムの再設計など様々な課題解決に向けて活動中。
現在は、千葉工業大学の変革センターの所長を務めるほか、2022年1月からは、千葉工業大学の評議員を務める。また、デジタルガレージの共同創業者取締役兼専務執行役員Chief Architectです。主にボランティアで運営され、オープンな環境データを公開・提唱する非営利団体セーフキャストの共同設立者であり、理事も務める。
2011年から2019年までは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの所長を務めた。また、米ピュアテック・ヘルス社の取締役会長、非営利団体クリエイティブコモンズの取締役会長兼最高経営責任者も務めた。ニューヨーク・タイムズ社、ソニー株式会社、ジョン・S・アンド・ジェームズ・L・ナイト財団、ジョン・D・アンド・キャサリン・T・マッカーサー財団、ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)、Mozilla財団、OSI(The Open Source Initiative)、電子プライバシー情報センター (EPIC)などを歴任した。
伊藤は投資家としての側面もあり、Flickr、FormLabs、Kickstarter、Twitter、PlayCoなど多くの新興企業の初期投資家でもある。

一部ではバブルと思われるように
盛り上がっているようです。

未来を考えるうえで、
新しいテクノロジーの動向を知っておくことは
大切です。

「おまかせ」にしない。

著者からのメッセージで響いた言葉でした。

テクノロジーが予測する未来

■web3と「クリプトエコノミー」

web3がWeb1・0、Web2・0と決定的に違っている点は、
ひとことでいえば「分散的=非中央集権的」ということに
つきます。

web3の重要なインフラは、
「ブロックチェーン」という技術です。

web3では、「クリプトエコノミー」という
新しい経済圏が形成されています。

法定通貨の世界、これを「フィアットエコノミー」と呼びますが、
そこでは経済や政治は
国による管理とトップダウンの決定、
企業などの組織運営は
経営者による管理とトップダウンの決定と、
あらゆることが中央集権的です。

特に日本に特異的な事情として
触れておかなければならないのは、
クリプトエコノミーに流入した資金が、
なかなかフィアットエコノミーに
戻ってこなくなっていることです。

なぜかというと、暗号資産を法定通貨に戻す際に、
暗号資産取引所の手数料がかかるうえ
フィアットエコノミーに戻った資金には
最大55%の税金がかかるからです。

クリプトエコノミーで資産を増やした人たちは、
あえて法定通貨に戻さず、
関心のあるプロジェクトDAOのトークンやNFTに投じたり、
DeFiに入れて運用したりしています。

■トークン

トークンは、まずファンジブルトークン(代替/交換可能なトークン)と
ノン・ファンジブルトークン(代替/交換不可能なトークン)に分けられ、
ファンジブルトークンには
通貨的なトークンと証券的なトークンがあります。

ファンジブルトークンのうち
通貨的なトークンには、
「ステーブルコイン」や
「ペイメントトークン(またはユーティリティトークン)」と
呼ばれるものがあります。

ビットコインやイーサは価格変動が大きく、
「お金」として使うには勝手が悪いものです。

そこで、ドルなどの法定通貨に価格を固定することで、
仮想通貨の価格が安定するよう設計されたのが
ステーブルコインです。

同じファンジブルトークンでも、
証券的なトークンとして「ガバナンストークン」があります。

ガバナンストークンとは、
自分が参加しているDAOの投票権になったり、
利益を還元する権利になったりするものです。

これは議決権や株主配当の機能に似ており、
フィアットエコノミーでいうところの
「株」のようなものです。

一方、ノン・ファンジブルトークン、すなわちNFTとは、
アートやゲームのアイテム、
トレーディングカードのような収集性のあるグッズ、
デジタルファッション、さらにはバーチャルな土地など
「代替不可能な価値」を表すトークンです。

web3とは、つまり、これら3種類のトークンが 行き交う世界です。

テクノロジーが予測する未来

技術の最新情報をアップデートしておこうと思って、
この本を手にとりました。

この本でとりあげられるのは、
web3、メタバース、NFT
これらが人の交流の仕方を変えていくと
いうことです。

日本の場合、いったん、暗号通貨にお金が流れると、
戻す時に、手数料と税金で、半分以下に減ってしまうので、
還流しないとのこと。

暗号通貨内での、運用、流通が
行われることになります。

また、暗号通貨といっても、
ビットコインとイーサリアムでは、
思想的背景がかなり異なるようです。

信じないことを前提に、
頑強なセキュリティのあるビットコインと
コミュニティのやりとりを前提にした
イーサリアムは、とても対照的です。

どちらが正解ということはないと思うので、
どちらが多く人に支持されるかですね。

そして、さまざまなトークンを実現しているのは、
イーサリアムのほうです。

これらを使って、どんな世界が作られていくのか、
興味深いです。

あなたは、新しい技術で、どのように世界が変わると考えますか。

20220628 テクノロジーが予測する未来 web3、メタバース、NFTで世界はこうなる(1)vol.3453【最幸の人生の贈り方】

働き方がどう変わるか

■「組織ベース」から「プロジェクトベース」

web3では、個人の働き方は「組織ベース」ではなく
「プロジェクトベース」になっていきます。

その主体は「DAO」です。
DAO ──Decentralized Autonomous Organization=分散型自律

DAOは会社組織ではなく、
プロジェクトごとに立ち上げられるので、
個人は、自分が興味を持ち、
貢献できそうなDAOを見つけるごとに
「参加する」というかたちで
働いていくことになります。

DAOならば、すべては
ブロックチェーン上で行われるので、
感覚的には「Facebookグループをつくる」くらいの手軽さです。

ただし、これほど手軽につくれるからといって、
DAOは決して信頼性に欠けるわけではありません。

DAOが発行するトークンは、
すべてブロックチェーンに記録されます。

ブロックチェーンならば、誰もが簡単に参照できて、
しかも事実上、改竄されることはありません。

そういう意味では、通常の企業よりも
取引や履歴の透明性が高く、信頼性も担保されている
といえるのです。

また、いったん立ち上げてしまえば、
そのなかでのプロジェクト管理が非常に効率的になる。

これもDAOの魅力的なところです。

僕らの「Henkaku」というDAOでは、
いろんな人のタスクをToDoリストで管理しており、
コンプリートされると、その人への報酬が
$HENKAKUで支払われるようになっています。

■新しい働き方

近年、エンジニアなどの専門職では、
フリーランスとして複数の会社の仕事を受注するという
働き方を選択する人が増えています。

DAOが広がると、それがもっと幅広い職種で
起こるようになるでしょう。

DAOに参加するというのは、
「この魅力的なプロジェクトで、
何か自分に手伝えることはないだろうか」
と役割を探しに行くような感じです。

自分から「これ、やります」と
手を挙げられるようになっているので、
嫌いなことや苦手なことを
割り振られることはありません。

テクノロジーが予測する未来

どうなんでしょう?

すでに私が自分が望むかたちで、
自分が望む時間だけ働いているとも言えるので、
著者のいうスタイルは、
よく理解できるのですが、、、

社会のインフラを支える仕事は、
プロジェクトベースでは
難しいかなとも思います。

組織ベースのほうが、
安定して効率的です。

どんな仕事もプロジェクトベースでいいかというと
そんなことはないと考えます。

また、誰もがプロジェクトベースで
働きたいわけではないと思うし、
誰もが組織ベースで
働きたいわけではないと思うし。

とはいえ、選択肢が増えるということは
歓迎していいと思います。

選択には、自由と責任が伴います。

そもそも、今は、誰でも株主になれる時代です。

誰もが資本家にも労働者にもなれるということであれば
すでに実現しているのではないでしょうか。

コミュニティの運営も各人の価値観や意図があるため、
調整は必要です。
そんなに容易なことでもありません。

著者のいうほど、理想的とは考えていませんが、
社会を構成する一人ひとりの考えで、
全体の方向性が決まっていくと考えます。

ですので、どんな働き方をしたいのか、
一人一人が考えてよいと思うし、
一生の間、ずっと固定的でなくてもよいと
考えています。

あなたは、どんな働き方が理想的だと考えますか。

20220629 働き方がどう変わるか_テクノロジーが予測する未来(2)vol.3454【最幸の人生の贈り方】

NFTの意義

■NFT(Non Fungible Token)

もとは取引履歴を記録する仕組みとして生まれた
ブロックチェーンの技術を使って、
デジタルデータが「本物かどうか」「誰のものか」などを
証明するようにしたものがNFTです。

NFTは大量生産・大量消費のモノではありません。

ブロックチェーン技術によって
「世界に1つしかない、複製不可能なデジタルデータ」
が可能になったからです。

現在、NFTがもっとも盛り上がっているのは
デジタルアートやゲームのジャンルです。

■消費・所有からコミュニティへ

NFTによって、文化の本質は
「消費するもの」から「コミュニティに参加するもの」へと
変化しつつあります。

BoredApeのように、
最初はNFTアートを販売していたところから、
トークン(Ape Coin=APE)を発行・上場するなど、
1つの経済圏を形成するほどの大規模コミュニティへと
成長するケースも出てきています。

こうして、アートは単に「所有するもの」から
「コミュニティに参加するもの」、
自分は単なる「お客さん」から
「コミュニティの一員としてコミュニティを
一緒に盛り上げていくメンバー」へと、
性質が変わってきました。

2021年ごろから急に流行りだしたNFTは、
購入して価値が上がったら転売するという
投機対象として見られているところが大きいようです。

しかし今後、大事になってくるのは、
むしろ所有者が転売せずに持ち続ける、
長期的な価値を持つNFTです。

■NFTアートを所有するということ

NFTのマーケットでは
「いつ価値が上がるか、いつ売るか」という
トレーダー的な動機づけが
働きやすくなっているのですが、
一方、投機目的の人ばかりではなく、
純粋にNFTアートを楽しんでいる人が
たくさんいることも事実です。

おすすめは、「好きだから買う」という感覚を
最優先させることです。

いろいろなNFTのアーティスト、コレクターたちに
意見を聞いてきたなかで、
僕がいちばん共感したのは
「値段が上がらなくても、持っていて
自分がハッピーなものしか買ってはいけない」
「値段は上がらなくて当然、
上がったらラッキーと思うこと」
という意見でした。

自分が応援しているアーティストが
高く評価されるようになったら、
純粋にうれしいものです。

NFTは「誰に所有されているか」が明確なので、
作品の価値が上がることは、
自分の先見性やセンスの証明にもなります。

NFTアートを買うのは、
アーティストのパトロンになるようなものです。

自分のウォレットの中身は、
アドレスさえ知っていれば誰でも見ることができます。

これからのweb3時代、
僕たちはウォレットの中身で評価されるというのも、
実は重要なポイントです。

テクノロジーが予測する未来

公開されたウォレットの中身で
評価される社会というのが、
居心地よいのかどうか、
これも評価が分かれるところです。

寄付した先や寄付した金額を
わざわざ公開したいと思わない人は
多くいます。

何を所有しているか、
何を買ったかで、評価される社会って、
どうなんでしょう???

ちょうど昨日のプレスリリースで、
「日本のアニメ・コミック・ゲーム文化に特化した
NFT プロジェクト 「PolkaFantasy」 が
NFT マーケットプレイスを【aimée】(アイミー)として
世界市場に本日リリース!」
というのを見つけました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000084153.html
https://aimee.polkafantasy.com

日本のアニメ・コミック・ゲーム文化に目をつけるのは、
なかなかいいですね。

「公式サイトは、日本語・英語・中国語の多言語で展開し、
Telegram、Twitter他SNSは12カ国語でプロモーションを展開中。」

いいじゃないですか。

ちなみに、この会社の本社は、中央アメリカのベリーズにありました。

NFTバブルのあとに、何が生き残っていくのか。

なかなか興味深い動向ですね。

あなたは、NFTについて、どのように関わっていきたいですか。

20220630 NFTの意義_テクノロジーが予測する未来(3)vol.3455【最幸の人生の贈り方】

アイデンティティ・教育・民主主義

■アイデンティティ

これからのweb3の時代、
とりわけ「レピュテーション(評判)・マネジメント」としての
「アイデンティティ・マネジメント」が
重要になってくるでしょう。

メタバースには、そもそも
「1つの肉体に1つのアイデンティティ」
という条件がありません。

そのため、複数のアイデンティティを
場ごとに使い分けるということが、
現実世界よりも簡単にできます。

これは先に述べてきたウォレット、アバターをはじめ、
その場ごとの立ち居振る舞いや言葉遣いにも
いえるでしょう。

しかも、その場のコンテクストに必要な情報だけを、
アイデンティティに紐づけることも可能です。

裏を返せば、その場のコンテクストに
必要ない情報は伏せたまま、
存在できるということです。

■「本当は何者なのか」が関係ない世界

いま、クリプトエコノミーでは、
ある興味深い現象が起こっています。

いくら現実世界の銀行で評価の高い人でも、
クリプトエコノミーでは認められない場合が
あるのです。

逆に、大きなベンチャー・キャピタルが、
偽名の人物のビジネスへの投資を
決めたりしています。

クリプトエコノミーでは、
「何をしたか」という貢献度が重視されます。

テクノロジーが予測する未来

「42」は知らなかったので、調べました。
https://42tokyo.jp/curriculum/

42 Tokyoは学歴や職業に関わらず、
挑戦したい人には質の高い教育を提供すべきだと考えています。

そのため私たちは、
「学費完全無料」
「24時間利用可能な施設」
「問題解決型学習」等の、
誰もが挑戦できる環境を用意しました。

東京は、2年前の2020/6/22に開校したそうです。

入学試験は1ヶ月間。

おもしろいシステムですね。

スポンサー企業として、
多くの企業が名前を連ねています。

山古志地域の「デジタル村民」についても調査しました。

ノートにまとめられたものがこちら。
https://note.com/yamakoshi1023/n/n6560e0bf425f

デジタル村民のサイトはこちら。
https://nishikigoi.on.fleek.co

800人のリアル住民に対して、
10000人のデジタル村民を募集しています。

発信は英語で行われているので、
日本人でなくてもいいということです。

世界から募集したいと書かれていました。

サイトを見るまで、無意識に
デジタル村民も日本人と思い込んでいた自分に
気づきました。

Twitterも英語配信ですね。
@nishikigoiNFT

国境にこだわらないということが
ポイントだと思いました。

経済だけでなく、政治も国境を超えていくのが、
これからの時代の方向性かもしれません。

すると、やはり英語と中国語での発信は
大切ですね。

地域の村おこしとして、
山古志地域の取り組みを横展開しようとしたとき、
障害はいくつもあると思いますが、
言語もその一つになるかもしれません。

デジタル村民会議も、英語なのでしょうか。

デジタル投票のページを見つけました!
https://snapshot.org/#/nishikigoi.eth/proposal/0xe8f5e54539ca5400328a50dccfe2652c7fbd2226b6214bc67ac80cd07171c1f8

英語がメインで、日本語併記ですね。

ひとり、1票ということでもなさそうです。

新しい取り組みとして興味深いです。

あなたは、NFTについて、どんなところに興味がありますか。

20220701 アイデンティティ・教育・民主主義_テクノロジーが予測する未来(4)vol.3456【最幸の人生の贈り方】

この記事は、メルマガ記事から一部抜粋し、構成しています。

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