ルポ 食が壊れる 私たちは何を食べさせられるのか? ⭐️1

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ルポ 食が壊れる 私たちは何を食べさせられるのか?
堤未果(著)
文藝春秋(2022/12/16)

堤未果 つつみ・みか
ジャーナリスト、東京生まれ。ニューヨーク市立大学大学院で修士号取得。
2006年『報道が教えてくれないアメリカ弱者革命』で
黒田清日本ジャーナリスト会議新人賞を受賞。
2008年『ルポ 貧困大国アメリカ』で
日本エッセイスト・クラブ賞、新書大賞を受賞。

「どちらの側から見るかによって、
世界は180度姿を変える。

だが、方向を定め、その先の未来へギアを入れるのは、
私たち自身なのだ。」

私たちは、子どもたちに何を食べさせたいのか。
どういう環境を残したいのか。

きちんと考えて決める必要があります。

それは、何を買うのかという消費者の選択で
決めることができます。

安いものがよいのか。
農薬をどんな方法で削減したものがよいのか。
肥料をどんなふうに与える、または与えないのがよいのか。
どんなふうに育てられた牛を選ぶのか。あるいは牛を選ばないのか。

ひとつひとつの選択の結果が、
私たちの未来を作っていきます。

そのために、何が起こっているのかを知ることも
大切だと考えます。

ミミズとコンポストで作られた土で、
ニンニクやネギと一緒に、
すくすくと育つプランターのイチゴを毎日眺めていると、
私たちの進む方向は生物の多様性を信頼することではないかと
考えています。

ルポ 食が壊れる 私たちは何を食べさせられるのか?

2020年6月。
オンラインで開かれた世界経済フォーラムで、
全ての人の運命を変える、ある計画を発表した。

<グレートリセット>だ。

新型コロナウィルスに気候変動、人口は増え続け、
森も水も大気も動物たちも虫の息、
化石燃料は枯渇し、
増え続けるための人口を養うための食料生産はとても追いつかず、
もはや地球は限界だ。

今こそ全てを壊してガラガラポン、
新しい仕組みを作らねばならない。

食システムをリセットするための組織「EAT」を基に、
米国、EU、アジア、南米、アフリカ、オーストラリアなど、
世界各地をつないだ、新しい食システムの大計画が
進められてゆく。

資金協力で顔を並べるのは
マイクロソフト創業者のビル・ゲイツに、
穀物のカーギル、
種子のシンジェンタ、
畜産のタイソンに、
化学のバイエルにユニリーバ、
ワクチン大手のグラクソ・スミスクライン、
流通のアマゾン、
そしてテクノロジー最大手のグーグルだ。

<食のグレートリセット>に沿って、
ヨーロッパでは、政府が畜産頭数を制限し、
家畜の出す温室効果ガスに課税し、
肥料を危険産業廃棄物に分類し、
農家による伝統的な種子保存を犯罪化し、
農地を回収する政策が始まった。

日本でも菅義偉元総理・岸田文雄総理共に
グレートリセットへの協力を宣言しており、
農水省がロボットやAIなどのテクノロジーとバイオ技術を軸にした
「みどりの食料システム戦略」を打ち出している。

真実を知り、大切なものを守るのは今しかない。

あなたの家の食卓が、
知らぬ間にすっかり入れ替えられてしまう前に。

こうした流れが進む一方、
近代化した工業的手法や気候変動で
ボロボロになった食と農を、
テクノロジーとは真逆の形で救おうとする、
もう一つのリセットも世界各地で進んでいる。

こちらのプレイヤーは、
小規模農家や先住民、ささやかな規模で生産する農村や、
子どもたちの食を守ろうとする親たちに教育関係者、
自治の力で立ち上がる地方行政や協同組合、
誰もが役割を持つ共同体を作り、
微生物の声を聞き、
私たちの想像を超えた勇気と知恵で、
壊れた地球を再生しようと試みる人々だ。

どちらの側から見るかによって、
世界は180度姿を変える。

だが、方向を定め、その先の未来へギアを入れるのは、
私たち自身なのだ。

先日、「敷島製パン」のコオロギパウダー入り商品が
大きな話題になっていました。

また、コオロギ粉末入りの給食が徳島県で
提供されたということも同じように話題になっていました。

ネットでは、大きな血税が補助金に使われたという情報が
拡散されていましたが、
こちらはデマの様子。

実際の農水省のページを調べてみると、
令和5年度予算のこちらのページが見つかりました。

「みどりの食料システム戦略」の一環です。

「ムーンショット型農林水産研究開発事業」
https://www.maff.go.jp/j/budget/pdf/r5kettei_pr38.pdf

【令和5年度予算概算決定額 160百万円】
ーーーーーーーーーーーーー
ムーンショット目標5
「2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、
地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出」

【実施プロジェクト概要】
〇食料供給の拡大と地球環境保全を両立
する食料生産システムの開発
・作物デザインによる環境に強靱な作物の開発
・土壌微生物機能の解明と活用
・細胞培養による食料生産
・化学農薬に依存しない害虫防除
・牛からのメタン削減と生産性向上の両立

〇食品ロス・ゼロを目指す食料消費システム
・食品残渣等を利用した昆虫の食料化と飼料化
・3D-AIシェフマシンによるパーソナライズド食品の製造
・未利用生物資源を活用した未来型食品の開発
ーーーーーーーーーーーーー

こちらもまとまっていたので、共有します。

「みどりの食料システム戦略実現技術開発・実証事業」
https://www.maff.go.jp/j/budget/pdf/r5kettei_pr37.pdf

【令和5年度予算概算決定額 3,186(3,466)百万円】

ーーーーーーーーーーーーー
<対策のポイント>
食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立の実現に向け、
スマート農業における優れた技術の横展開のための
導入実証等を推進するとともに、
品種開発の加速化、環境負荷低減等、
みどりの食料システム戦略実現に資する研究開発など
国主導で実施すべき重要な分野の研究開発等を推進します。

<事業目標>
○ 農業の担い手のほぼ全てがデータを活用した農業を実践[令和7年まで]
○ 重要課題に対応する技術を開発し、
農林漁業者等がその開発された技術を実践[令和9年度まで]
ーーーーーーーーーーーーー

ちなみに令和5年度農林水産予算全体については、
こちらで見ることができます。
https://www.maff.go.jp/j/budget/r5kettei.html

著者は、二つの方向から世界の食に関する動向を
まとめています。

そして、以下のように書いています。

「どちらの側から見るかによって、
世界は180度姿を変える。

だが、方向を定め、その先の未来へギアを入れるのは、
私たち自身なのだ。」

私たちは、子どもたちに何を食べさせたいのか。
どういう環境を残したいのか。

きちんと考えて決める必要があります。

それは、何を買うのかという消費者の選択で
決めることができます。

安いものがよいのか。
農薬をどんな方法で削減したものがよいのか。
肥料をどんなふうに与える、または与えないのがよいのか。
どんなふうに育てられた牛を選ぶのか。あるいは牛を選ばないのか。

ひとつひとつの選択の結果が、
私たちの未来を作っていきます。

そのために、何が起こっているのかを知ることも
大切だと考えます。

■「人口肉」は地球を救う?──気候変動時代の新市場
・もう牛は殺さない<人工肉バーガー>
・学校給食に進出する<インポッシブルバーガー>
・<培養肉>の大量生産、大量消費時代が来る
・<タンパク質危機>を煽られ各国が参入

■フードテックの新潮流──ゲノム編集から<食べるワクチン>まで
・<遺伝子組み換えサーモン>
・”ふるさと納税”デビューした<ゲノム編集魚>
・〈原子力ムラ〉の次は〈ゲノム編集ムラ〉!?
・粉ミルクはもう古い! 赤ちゃんは<培養母乳>で
・DNAごとハイジャックせよ──<合成生物>
・注射嫌いの子もOK<ワクチンレタス>

■土地を奪われる農民たち──食のマネーゲーム2.0
・アグリビジネスとGAFAに乗っ取られた国連サミット
・気候変動と飢餓対策に<化学肥料ファースト>
・飢える小規模農家、儲かる肥料メーカー
・加速する農地の買い占め
・畜産農家を廃業に追い込む政府──オランダ
・農業やめたら現金支給──イギリス
・日本の農地はどんどん売られる

■気候変動の語られない犯人──”悪魔化”された牛たち
・環境を破壊するのは牛ではなくその飼い方
・温室効果ガスを出さないよう牛の遺伝子を組み換えよ
・「脱炭素なら牛と牧草のタッグが最強です」
・感染症に弱くなる牛たちと農家の悲鳴
・「健康な土の上の動物は、感染症にかからない」
・「牛をうまく使えば、日本の山はすごい資産になる」

■<デジタル農業計画>の裏──忍び寄る植民地的支配
・”みどりの食料システム戦略”
・害虫の遺伝子を破壊して農薬を減らせ
・土壌微生物の遺伝子を操作して、もっと脱炭素を!
・世界にばら撒かれるデジタル農業アプリ
・炭素クレジットが農家のデータを吸い上げる
・モンサントの<デジタル農業計画>

■日本の食の未来を切り拓け──型破りな猛者たち
・「有機給食革命」
・「農薬・肥料・草取り不要!」
・「食の予防原則」のトップランナーになった愛媛県今治市
・「国産小麦を取り戻せ」
・「ゴミなんかない、宝の山だ」──土壌再生の炭革命
・「主役は微生物なんです」
・「土も野菜も子どもたちも、菌で育てば皆元気」
・「自然栽培のシャリで大成功した回転寿司店」
・「世界一のスーパー土壌を持つ日本」

■世界はまだまだ養える──次なる食の文明へ
・「畑を裸のままにするな」
・「再生型農業で甦る土」
・「農薬不使用なだけでは、ダメなのです」──アルゼンチン
・「農村に戻ってきた若者たち」──西アフリカ
・「安全な給食と小規模農家はコインの表と裏」──ブラジル
・「在来種を手放すな」──韓国
・「食べ物を知る権利を取り戻す」──日本
・問題は肉食はベジタリアンかではなく「循環しているか」
・「水田という生命体は日本人の生命の礎」

目次は、私の独断で、私が選択するものを「」
選択しないもの<>で区別してみました。

私の選択は、あくまで私のものであって、
他の人に押し付けるものではありません。

しかしながら、
ミミズとコンポストで作られた土で、
ニンニクやネギと一緒に、
すくすくと育つプランターのイチゴを毎日眺めていると、
私たちの進む方向は生物の多様性を信頼することではないかと
考えています。

あなたは、どんなふうに作られた食べ物を食べたいですか。

20230303 ルポ 食が壊れる 私たちは何を食べさせられるのか?vol.3701【最幸の人生の贈り方】

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