地雷復(ちらいふく) 一陽来復、復帰
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物不可以終盡。剥窮上反下。故受之以復。
物は以て終に尽くべからず。剥は上に窮まって下に反る。故にこれを受くるに復を以てす。
ものはもってついにつくべからず。はくはかみにきわまってしもにかえる。ゆえにこれをうくるにふくをもってす。
物は最後までなくなってしまうことはありえない。剥の卦において、陽気がだんだん駆逐されて、上に一本だけ陽気が残り、その陽気がなくなったとたんに、下に再び帰ってくる。だから、剥の後には復の卦が続く。
復、亨。出入无疾、朋来无咎。反復其道、七日来復。利有攸往。
復、亨。出入无疾、朋来无咎。反復其道、七日来復。利有攸往。
復は、亨る。出入疾无く、朋来りて咎无し。其の道を反復し、七日にして来復す。往く攸有るに利ろし。
ふくは、とおる。しゅつにゅうやまいなく、ともきたりてとがなし。そのみちをはんぷくし、なのかにしてらいふくす。ゆくところあるによろし。
願いごとは通る。進んでも退いても害はない。友達が集まってきても、友達全体に災難はないであろう。やって来た道を繰り返すであろう。なくなったものは七日で帰って来る。前進してよろしい。
彖曰、復亨、剛反也。動而以順行。是以出入无疾、朋來无咎。反復其道、七日來復、天行也。利有攸往、剛長也。復其見天地之心乎。
彖に曰く、「復は亨る」とは、剛反るなり。動いて順を以て行く。是を以て出入疾无く、朋来りて咎无し。「其の道を反復し、七日にして来復す」とは、天行なり。「往く攸有るに利ろし」とは、剛長ずるなり。復は其れ天地の心を見るか。
たんにいわく、「ふくはとおる」とは、ごうかえるなり。うごいてじゅんをもってゆく。ここをもってしゅつにゅうやまいなく、ともきたりてとがなし。「そのみちをはんぷくし、なのかにしてらいふくす」とは、てんこうなり。「ゆくところあるによろし」とは、ごうちょうずるなり。ふくはそれてんちのこころをみるか。
初九。不遠復。无祗悔。元吉。
初九。不遠復。无祗悔。元吉。
初九。遠からずして復る。悔に祗ること无し。元いに吉。
しょきゅう。とおからずしてかえる。くいにいたることなし。おおいにきち。
失せ物、行方不明になった人は、遠からず帰って来るであろう。後悔するまでになることはない。結果は、大いに吉であろう。
六二。休復。吉。
六二。休復。吉。
六二。休く復る。吉。
りくじ。よくかえる。きち。
見事に帰って来る。結果は吉。
六三。頻復。厲无咎。
六三。頻復。厲无咎。
六三。頻りに復る。厲うけれども咎无し。
りくさん。しきりにかえる。あやうけれどもとがなし。
道に帰ろうとしては失敗し、失敗してはまた帰って来る。立場は危ういが、咎はない。
六四。中行獨復。
六四。中行獨復。
六四。中行にして独り復る。
りくし。ちゅうこうにしてひとりかえる。
中途から一人で帰って来る
六五。敦復。无悔。
六五。敦復。无悔。
六五。敦く復る。悔无し。
りくご。あつくかえる。くいなし。
前なる道に帰ろうとする志が厚い。結果において悔いはないであろう。
上六。迷復。凶。有災眚。用行師、終有大敗、以其國君、凶。至于十年不克征。
上六。迷復。凶。有災眚。用行師、終有大敗、以其國君、凶。至于十年不克征。
上六。復るに迷う。凶。災眚あり。用て師を行れば、終に大敗有り、其の国君に以ぶ、凶。十年に至るまで征する克わず。
じょうりく。かえるにまよう。きょう。さいせいあり。もってしをやれば、ついにたいはいあり、そのこくくんにおよぶ、きょう。じゅうねんにいたるまでせいするあたわず。
帰ろうにも迷って帰れない。凶である。災難がある。この爻によって戦を行えば、ついには大敗することがあろう。この爻によって国を治めようとすれば、君主の身に災いがあるであろう。十年経っても前進できない。